交換レンズ実写ギャラリー
パナソニックLUMIX G X VARIO 35-100mm F2.8 POWER O.I.S.
Reported by 大浦タケシ(2013/8/8 08:00)
広角、標準、望遠の各F2.8ズームレンズをマニアの間では一括りに“大三元”という。パナソニックのマイクロフォーサーズ用レンズをこれに当てはめると、広角ズームの明るさに目をつぶれば、さながら「LUMIX G VARIO 7-14mm F4 ASPH.」、「LUMIX G X VARIO 12-35mm F2.8 ASPH. POWER O.I.S.」、「LUMIX G X VARIO 35-100mm F2.8 POWER O.I.S.」となるだろう。今回レビューをお届けするのはそのうちの望遠ズームレンズで、F2.8通しの開放F値とコンパクトな鏡筒を特徴とする。
LUMIX G X VARIO 35-100mm F2.8 POWER O.I.S.は、パナソニックのマイクロフォーサーズ用望遠ズームとしては最高の明るさを誇る。さらにその大きさは、ほぼ同じ画角を持つ35mmフルサイズ用70-200mm F2.8クラスとくらべると圧倒的ともいえる小ささだ。元々マイクロフォーサーズのコンセプトのひとつにレンズのコンパクト化があるが、あらためてそのことを強く知らしめるものといえる。
実際、本レンズの最大径×長さは67.4×99.9mm、重量は360gで、これは代表的な70-200mm F2.8と比べたとき、最大径で20mm前後、長さで100mm前後小さく、質量に至っては何と1.1kg以上も軽い。実焦点距離の違いから、同じ画角、同じ絞り値の場合ボケは小さくなるものの、この鏡筒の大きさ重さは実に魅力的だ。
光学系には、EDレンズなどのほかパナソニックご自慢のコーティングテクノロジー「ナノサーフェスコーティング」を採用する。描写性能の高いものを同社では「Xレンズ」として差別化しているが、本レンズもその1本だ。その特徴といえば、まずシャープネスの高さだろう。線が細いうえにエッジが強く立っている。コンクリートや岩などの粗い表面など高周波領域といわれる部分のディテールもたいへん鮮明。
撮影では「LUMIX DMC-GH3」を使用したが、仕上がり設定がシャープネスの高いものになっているのではないか? と撮影した画像を見て疑ってしまったほどである。コントラストも高く、描写は締まったものとなる。さらに画面全域、ズーム全域とも描写の偏りなどないのも優れた部分といえる。ボケ味については若干硬めに感じられなくもないが、ズームレンズであることを考えると、不満を感じるようなことはない。唯一、口径食がやや多めに見受けられるのが気になる程度といってよいだろう。
フォーカシングは静かなうえに、レンズが前方に繰り出すことのないインナーフォーカスおよびインナーズームを採用する。光学式手ブレ補正の効きも上々で、レンズの解像感の高さにも寄与している。最短撮影距離はズーム全域で85cmだ。
マイクロフォーサーズの魅力のひとつにレンズを小さくできることがある。文中でも触れているようにこのレンズも例外ではなく、35mmフルサイズ用の同クラスのレンズにくらべハンドリングよさは圧倒的だ。優れた描写特性とともに、マイクロフォーサーズの大三元レンズに相応しい望遠ズームといえる。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
【2013年8月11日】記事初出時、ズーミングで全長が変化するとの記載がありましたが、実際には長さが変化しないインナーズーム式です。