交換レンズ実写ギャラリー

キヤノンEF-S 55-250mm F4-5.6 IS STM

光学系を一新した普及クラスの望遠ズーム

EOS 70D / 1/125秒 / F5 / +1EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 100mm

 本レンズは「EF-S 55-250mm F4-5.6 IS II」の後継モデルにあたる、APS-Cサイズ対応の望遠ズームレンズだ。入門機や中級機のキヤノン製デジタル一眼レフに用意された、いわゆるダブルズームキットの一端を担う普及クラスのレンズであるため、多くの人が実際に手にして撮影する実用頻度の高いレンズでもある。

EOS 70Dに装着したところ。発売は9月12日。実勢価格は4万4,630円前後。

 前モデルからの大きな変更点のひとつがAFの駆動にSTM(ステッピングモーター)を採用したことで、動画撮影時でも静止画撮影時でも静寂性の高いスムースなAFが実現されている。また、AFでピントを合わせた後にスイッチの切り換えなしでピントの微調整をMFで素早く行なえるフルタイムマニュアルフォーカスが可能となったほか、前玉枠が回転せず偏光フィルターなどの操作が快適に行なえるなど、操作性は大きく向上している。幅の広いフォーカスリングが鏡筒最前部にあり、MFの操作性に配慮されているのも嬉しいところだ。

 大きさは、フィルター径こそ58mmと変更がないが、前モデルが全長108mmだったのに対し本レンズは全長111.2mmと、わずかであるが長くなった。とはいえ、今回使用したEOS 70Dとのコンビネーションでは、特に大きさや重さにストレスを感じるようなことはなく、35mm判換算で焦点距離400mm相当に達する望遠レンズとは思えない軽快さで、手軽に望遠撮影を楽しむことができた。

 手ブレ補正機構であるISも引き続き搭載されている。カタログ値で効果を見比べると旧レンズが4段分、新レンズが3.5段分とあり、一見効果が弱くなっているように見えるが、この数字は直接比較できない。なぜなら、新レンズは計測方法がCIPA基準に変更(旧レンズは同社基準)されたためだ。キヤノンによると旧レンズをCIPA基準で計測した場合、3段分になるとのこと。新レンズの方が手ブレ補正効果は高いということだ。

 描写性能は確実に向上している。光学系は一新され、望遠レンズ特有の色にじみ(軸上色収差)を抑えるUDレンズ1枚を含む12群15枚となり、最短撮影距離は前モデルの1.1mから0.85mに短縮された。最短撮影距離付近こそ極わずかに甘さが見られるものの、画面周辺まで非常に解像感が高くヌケのよい画像をズーム全域で得ることができ、いい意味で予想を裏切る高い描写性能に驚いたのが正直な感想である。逆光にも強く、フード未装着の状態でもハレーションによってコントラストが低下するようなことはなかった。

 普及クラスの望遠ズームというと、かつては描写性能もそこそこ、開放F値が暗いため晴天日中の屋外でしか活躍の場がなかった。しかし低価格でも高い描写性能をもち、手ブレ補正機構とデジタルカメラの高感度性能が飛躍的な進化をとげたいま、本レンズは幅広い撮影シーンで活躍する、コストパフォーマンスに優れた“使える望遠ズーム”だといえる。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
EOS 70D / 1/2,000秒 / F5 / +0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 79mm
EOS 70D / 1/2,000秒 / F5.6 / +1EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 250mm
EOS 70D / 1/1,600秒 / F5 / -1EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 55mm
EOS 70D / 1/400秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 250mm
EOS 70D / 1/320秒 / F4 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 55mm
EOS 70D / 1/1,000秒 / F5 / 0EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:オート / 113mm
EOS 70D / 1/60秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 55mm
EOS 70D / 1/160秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 250mm
EOS 70D / 1/125秒 / F5.6 / -1EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 79mm
EOS 70D / 1/250秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 250mm
EOS 70D / 1/800秒 / F4.5 / +0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 70mm
EOS 70D / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO1250 / 絞り優先AE / WB:オート / 227mm
EOS 70D / 1/80秒 / F4 / 0EV / ISO125 / 絞り優先AE / WB:オート / 55mm

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「エイレホンメ 白夜に過ぐ」(リコーイメージングスクエア新宿)など。