デジカメアイテム丼

クリップオンストロボ用の多機能ソフトボックス

(バウンスライト)

ソフトボックスディフューザーの「バウンスライト(Bounce Lite)」。クリップオンストロボの光をボックス内で散光し、さらに乳白スクリーンで拡散するため硬い光がソフトになる。価格は2万1,500円(税込)。

Kカンパニー扱いで国内販売される「バウンスライト(Bounce Lite)」とは、ほとんど全てのクリップオンストロボに取り付けることができるソフトボックスディフューザーの商品名である。

ディフューザーというのはストロボの硬い光を透過・拡散させることで、自然な柔らかい光を均一に被写体にまわす半透明のスクリーンのことで、ストロボを使ったライティングではよく使われるテクニックのひとつである。

モデル撮影会などで、クリップオンストロボのヘッドに小型のディフューザーを取り付けて撮影しているシーンを見かけることがあるが、こうした簡易型のディフューザーは思ったほどの効果を得られることはほとんどなく、正直なところ“気休め”程度の意味で装着している場合がほとんどだろう。

ところが今回紹介する「バウンスライト」は、そうした簡易型ディフューザーとはだいぶ様相が異なる。

ニコンD810とニッシンDi866MarkIIの組み合わせに装着したところ。“Lite”ではあるがだいぶ大柄な印象になる。

まず、(Liteを謳っているところ申し訳ないが)サイズが相当に大きく、それだけに、光の拡散効果も大きいことが期待できる。この大きなボックスの中でストロボ光は反射を繰り返し(ミキシング)、側面片側に開いた乳白スクリーンでディフューズ(拡散)され、被写体へと照射される。考えただけでも柔らかな光が得られそうだ。

さらに、ボックスの上部にはドアが装備されており、開閉角度を無段階で調整することが可能である。ドアが開くのはバウンス撮影(白い天井や壁にストロボ光を反射させて光を和らげるテクニック)のためであり、ドアの内側には白の反射板が貼られているので、開口角度を調節すればディフューズ光とバウンス光の割合を変化させることもできるというわけである。

ボックスの上部がバウンスドアになっており、開閉して角度を調整できる。ドアの内側は白の反射板が貼られており、開閉角度によってバウンス光とディフューズ光の配分を調整可能。

また、屋外など天井も壁もなくバウンス効果が得られない場合には、ドアを開いた分だけ光が逃げることになるので、ドアの開閉角度はディフューズ光の柔らかい光の強さを調整するように働くことになるだろう。

「バウンスライト」のストロボヘッドへの取り付けは、ある程度の柔軟性をもった樹脂製のベルトで行う。ストロボヘッドとの接合部用に、サイズの異なる2種類のゴム製のマウントが同梱されているので、サイズによらずほとんど全てのクリップオンストロボに、簡単かつしっかり固定することができるので安心だ。

柔らかい樹脂製のベルトでストロボのヘッド部に固定する。
ゴム製のマウントが2種類同梱されており、装着するストロボのサイズによって使い分ける。ほとんどのクリップオンストロボにしっかりと取り付け可能だ。
オリンパスOM-D E-M1、オリンパス エレクトロニック フラッシュ FL-600Rの組み合わせに装着してみた。小型カメラにも問題なく取り付けできる。

テスト撮影

そんな「バウンスライト」の実力はどれほどのものか?さっそく実写で試してみることにした。撮影場所は天井も壁も白い8畳程度の小部屋で、モデルには壁の30cmほど前に立ってもらい、「バウンスライト」の使い方によってフラッシュ光の質がどのように変わるかを確認するとともに、壁に映る影の変化にも注意してみた。

ストロボ光を直射(バウンスライト非装着)

はじめに、「バウンスライト」を装着しない条件で撮影。ヘッドをモデルに直接向けた、ディフューズもバウンスもしない、いわゆる生の直射光である。硬い光が直接あたっているため、コントラストが必要以上に強く、光のムラも大きい。一言でいえばギスギスしい写真であり、確実にクッキリ撮りたいという場合以外はなるべくこうした撮り方は避けたいものだ。

天井バウンスで撮影(バウンスライト非装着)

次に、「バウンスライト」を装着しない条件で、天井バウンスによって撮影。ストロボ光が天井の反射で拡散されるため、直射の場合よりも格段に光は和いで自然になり、壁の影も消えた。これでも十分に思えるが、天井から降り注ぐ光が強いため、モデルの上部と下部で輝度差が大きいことがやや気になる。

バウンスライトで直射

ここで、いよいよ「バウンスライト」を装着して撮影。バウンスドアは全閉した状態で、「バウンスライト」でディフューズされた光を100%照射している。

光は直射の場合よりも柔らかく均質に当たっており、ディフューズの効果は確実に見られた。さすが大型のソフトボックスディフューザー! といいたいところだが、まだまだ光の硬さは残っており、壁の影も強く目障りな印象。これならば普通に天井バウンスをした方が、綺麗なように感じてしまう。

バウンスドアを45度開いて撮影

そこで、今度はバウンスドアを45度だけ開いて撮影。この状態だと一部の光は上部に逃げて天井バウンスとなり、残った光はスクリーンを通したディフューズ光となる。

結果は、バウンス光によって全体に適度な光がまわり、直射的なディフューズ光によってモデルが適度にシャープに写った。壁の影の濃さも自然に和らいでいることが分かる。2種類の拡散光を調整できる「バウンスライト」の本領が発揮されたといっていいだろう。

バウンスドアを90度開いて撮影

バウンスドアを90度まで開いて撮影すると、今度はバウンス光の配分の方が多くなるため、全体にまわった光はさらにソフトになり、それでいてディフューズ光も残っているため、モデルのシャープな写りも維持されている。バウンスドアの開閉角度を変えるだけで、ストロボ光の拡散具合が変化するため、好みに合わせてライティングを簡単に調整できるのは便利だ。

その後、バウンスドアを全開(180度ほど)にしての撮影も試してみたが、これは90度の場合とほとんど違いを感じられなかった。どうやら、バウンスドアの開閉は全閉から90度の間で調整すると効果的なライティングを得られるようだ。

付属のカラーフィルターを使用

また、「バウンスライト」には、差し込み式のフィルターカセットが装備されており、6色(CTO FULL, CTO 1/2, CTO 1/4, BLUE 1/2, BLUE 1/4, GREEN)の専用カラーフィルターが同梱されている。カラーフィルターを差し込んで使えばストロボ光の色調を簡単に変換することが可能で、色温度の補正をしたり、クリエイティブなミックス光などの演出をしたりすることができる。

背面にスリットがありフィルターカセットを差し込めるようになっている。フィルターカセット自体にもディフューズの役割があるようだ。
6色のカラーフィルターが同梱されており、ストロボ光の色調を好みで変えることができる。
フィルターカセットのスリットにカラーフィルターを差し込み、さらにそれを本体のスリットに差し込む。フィルターカセットは2個付属するので、色違いのカラーフィルターを用意しておけば直ぐに交換可能。

6色のカラーフィルターのうち「CTO FULL」(一番濃いオレンジ色)をセットして撮影した例

まとめ

バウンスドアを閉めた状態でのディフューズ効果は「まあそこそこ」といった印象だったが、バウンスドアの開閉角度を調整することで適度なライティングを作り出せるアイデアは思ったよりもずっと効果的、なかなかに使えるアイテムではないかと感心する結果であった。

ヘッドの向きや角度を調整できるクリップオンストロボとの組み合わせなら、同じ被写体でもディフューズやバウンスの向きを変えて撮ることで、より変化に富んだ効果を得ることができるだろう。

さまざまなクリップオンストロボに簡単に取り付け可能で、バウンスライトの開閉操作も容易。はじめは大きな撮影アイテムだなあと思ったのであるが、このくらい効果的であれば十分に許容範囲の“Lite”だといえる。

ただひとつ問題なのは2万1,500円という価格であるが、撮影会でのポートレートや結婚式など、機動力がいる条件でのストロボ撮影では価格相応の働きをしてくれるスグレモノなのではないかと思うのだ。

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「エイレホンメ 白夜に過ぐ」(リコーイメージングスクエア新宿)など。