バンガード「BBH-200」

〜素早く水平垂直がとれる自由雲台

 バンガード(VANGUARD)ブランドの「BBH」シリーズは、一見すると一般的なクイックシュータイプの自由雲台だ。特徴は、カメラを素早く水平垂直にセットできること。12月1日に公開したこの記事の反響が予想以上に大きく、水平を容易にとるためのニーズの強さに改めて感心していた。このたび現物をガードフォースジャパンよりお借りできたので、もう少し詳しく解説してみたい。

BBH-200

 ラインナップは、耐荷重30kgの「BBH-300」(4万8,000円)、同20kgの「BBH-200」(3万9,700円)、同10kgの「BBH-100」(3万6,400円)。発売は2012年1月10日。今回はミドルクラスのBBH-200を試用してみた。

 外観はこれまでのバンガード製品を踏襲したもので、ブラックにオレンジのアクセントを配したデザイン。最初見たときは驚いたが、日本市場での存在感も増したことで、最近は見慣れた感もある。

 目玉となる水平垂直をとる機能、「ラピッドシステム」は、意外と単純な仕組みだ。雲台手前の「ラピッドレベルスイッチ」をオンにしてからカメラをグリグリ動かしていると、「カチッ」と止まる瞬間に出くわす。そのスポットで手を離すと、カメラは雲台に対し、自然と水平垂直になっている。

手前のオレンジのスイッチが「ラピッドレベルスイッチ」

 つまり、ボールと雲台本体にそれぞれに、水平垂直ポジションでのみ有効になる噛み合わせが設けられているわけ。ボールの最低面にあるのだろう。ラピッドレベルスイッチをオンにすると噛み合わせが有効になり、オフにするとフリーとなる。オフにした場合は、一般的な自由雲台と同様に動かせる。

 一見すると便利そうな機能だが、この機能に頼って水平垂直を出すには、まずは三脚がまっすぐ立っていることが前提になる。接地面が傾いていたりして、三脚が直立していない場合、ラピッドシステムをオンすると、かえって水平垂直を損なうことになる。つまり先に三脚側の水準器で、三脚本体が水平になっているか確認してから利用するのが正しい使い方だ。

 カメラを縦位置にすると、ぴったり90度になるのもBBHの特徴。ただしこれも、三脚がまっすぐになっている必要がある。今回は、水準器を備えるバンガードの三脚「Actus Plus 323CT」と組み合わせて使用したので、そのあたりもスムーズに行なえた。

同じくバンガードの三脚「Actus Plus 323CT」との組み合わせ例

 一方、雲台そのものの操作性はすこぶる良い。各レバーの「絞める」「緩める」の感触も悪くなく、オイルレスタイプのボールの滑りもちょうど良い。。傷がつきにくいというOXコーティングが施された表面処理も高級感があり、ラピッドシステムの存在を抜きにしても、魅力的な自由雲台だと感じた。

大型の操作レバー類シューに水準器を装備
シュープレート。左はBBH-200およびBBH-100に付属、右はBBH-300に付属するもの

 ラピッドシステムの有効な活用場面は、床面など水平な場所で撮影する場合だろう。パノラマ撮影や動画撮影にも使えそうだ。ラピッドシステムである程度の水平垂直をとり、その後水準器を見ながら微調整するのも効率が良い。また、レバーを緩めても噛み合わせは外れないので、重い機材を載せているとき安心感が高いのは発見だった。

 電子水準器を搭載するデジタルカメラが増えているものの、水平方向だけの検出だったり、搭載していても瞬時にぴったりあわせるのは難しかったりする。同社のSBHシリーズのようなフリクションコントロールがないのは残念だが、自由雲台で水平垂直を意識した撮影を重視するなら、検討に値する製品だ。





本誌:折本幸治

2011/12/7 12:23