ベルボン「ジオ・カルマーニュ創業55周年限定モデル」

ちょっと変わった特典付き。カーボン三脚の数量限定商品

 ベルボンが3月19日に発売した「同社創業55周年限定モデル」は、通常のカーボン三脚「ジオ・カルマーニュ」に特典をつけたものだ。

ベルボン創業55周年限定モデルのひとつ、ジオ・カルマーニュE645L。左からグリーン、白、迷彩色

 ベースとなったレギュラーモデルは、レバーロック式の「ジオ・カルマーニュE」のうち、「E645L」、「E645」、「E635」、「E545L」、「E545」、「E535」の6製品。限定モデルの主な仕様と価格は次の通りだ。

製品名価格段数全高縮長パイプ径耐荷重重量
E645L107,940円42,010mm674mm284kg2.54kg
E645104,790円41,690mm574mm284kg2.37kg
E635101,220円31,760mm689mm284kg2.38kg
E545L83,790円41,740mm582mm253kg2.30kg
E54580,640円41,530mm517mm253kg1.92kg
E53577,175円31,690mm630mm253kg1.96kg

 いずれもいわゆる中型三脚に分類されるクラスで、35mm一眼レフカメラの使用において汎用性が高く、装備にも過不足はない。付属の3ウェイ雲台PHD-61Qも定評あるロングセラーだ。ちなみに、635が3段、645が4段、645Lが4段ロング脚という分類になっている。

 限定モデルならではの特典は、次の3点。

  • 伸縮式サイドティルトハンドル
  • 特製三脚グリップ
  • 特製マイクロファイバークロス

 このうち実物で目をひくのが、特製三脚グリップだろう。ジオ・カルマーニュはすべての脚に標準でウレタングリップを備えているが、そこにかぶせる形でつけるカラーグリップがそれで、購入時にグリーン、白、迷彩色の3カラーから選ぶことが可能だ。パッケージに同色の三脚グリップ3本が付属し、違う色の三脚グリップの組み合わせは選べない。

 今回は白の特製三脚グリップを試したが、かぶせるだけで三脚の見た目が一変。明るい雰囲気になったと同時に、とてもカジュアルなイメージになった。三脚といえば質実剛健な見た目が好まれそうだが、こうしたライトなたたずまいも、また良いものだと感じる。K-xホワイトなど、白いデジカメやレンズと組み合わせると楽しそうだ。

限定モデルのE635。特製三脚グリップを装着した状態(左)と、外した状態(右)
特製三脚グリップは、ウレタングリップの上からジッパーで留める
エレベーターを最も高く伸ばした状態最も低いポジションにしたところ

 三脚グリップの取付けは、ウレタングリップにかぶせるようにはめた後、ジッパーで締める。脚への巻き付けもしっかりしており、試用中にずれて困ることはなかった。ちなみに試用した白い三脚グリップは革素材ではないものの、竹刀の柄革を思わせる手触り。ウレタングリップよりも滑りにくくなるところは、移動の多い撮影でメリットなりそうだ。

 もうひとつの特典である伸縮式サイドティルトハンドルは、その名の通りティルトハンドルが伸び縮みするというもの。撮影時は伸ばして操作、移動時は縮めて持ち運ぶといった利用を想定しているという。操作は引き出す、または押し込むだけのワンタッチで可能。それでいてしっかり止まる。今までなぜなかったのか不思議なくらい合理的な機構だ。

左がサイドティルトハンドルを伸ばした状態。右が縮めた状態
従来通り、パンハンドルの後ろに取付けることが可能

 

 ベルボンには、ティルトハンドルを外すことなく収納できる三脚ケース「4W #830L」、「4W #840L」、「4W #740L」、「4W #630L」、「4W #640L」が別売で用意されているが、ケースに入れずに持ち運ぶストラップ派やレッグポシェット派にとって、移動時により横幅が小さくまとまるのは歓迎したい。

 なお、3つ目の特製マイクロファイバークロスは、三脚のお手入れ用として封入されている。55周年のロゴが入る特別なデザインとなっている。

 三脚そのものについても簡単に紹介しておこう。使用したE635はレバーロック式の3段三脚で、脚径は28mm、最大積載重量は4kg。レバーロックの操作感は軽快かつしっかりしたものだ。

 エレベーターのロックには、ジオ・カルマーニュ独自の「イージーロックレバー」を採用。レバーを上げるとロックが解除、レバーを下ろすとロックが掛かる仕組みだ。開脚は3段階。センターコラムを外すことで、ローアングルにも対応できる。ストーンバッグ用のエンドフックや、ストーンバッグ/レッグポシェット/ポーチとして使えるSuper 3Wayポーチなどが付属するところも通常モデルと同じだ。

 なおジオ・カルマーニュについては、藤井智弘氏によるレポート「ベルボンの“新生カルマーニュ”を試す」が詳しいので、そちらを参照いただきたい。

 価格は通常モデルと同じ(定価ベース)。数量限定での販売なので、店頭ではしかるべき時期になると、通常モデルに切り替るのだろう。なお、いまのところナットロックを採用するジオ・カルマーニュNに同様の限定モデルはないので、ナットロック派には残念に感じられるかもしれない。

 特典により三脚そのものの基本性能が大きく変わることはないが、ジオ・カルマーニュの購入を考えていた人には良いタイミングの企画ではないだろうか。

エレベータをロックする「イージーロックレバー」。操作に慣れるととても扱いやすい
雲台のPHD-61Q。写真はサイドティルトハンドルを引き出したところクイックシュー式。3軸の水準器を搭載している



(本誌:折本幸治)

2010/4/7 12:00