【 2016/05/27 】
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【 2016/05/23 】

【伊達淳一のレンズが欲しいッ!】ソニー「DT 30mm F2.8 SAM」「DT 50mm F1.8 SAM」

〜2本あわせて4万円弱! 小型軽量な“はじめてレンズ”

 一眼レフカメラでもライブビューができるのが当たり前の時代になってきたが、位相差AFに比べるとまだまだAFスピードが遅いのがネックだ。最初からコントラストAFを前提としてシステム設計されているマイクロフォーサーズ機であれは、広角から標準域にかけてはそれなりに快適なAF撮影が楽しめるものの、本格的なマクロ域での撮影や動く被写体を望遠で追いかけるといったケースでは、まだまだ一眼レフの位相差AFには及ばない、というのが素直な感想。一眼レフカメラのライブビューはまだまだ過渡期にあると言えるだろう。

DT 30mm F2.8 SAM DT 50mm F1.8 SAM

独自のライブビューが使いやすいα550

上下チルト式の液晶モニターを搭載するα550

 そんなライブビュー過渡期のデジタル一眼レフの中で、快適にライブビュー撮影が行なえるのが、ソニー「α550」、「α380」、「α330」だ。特に、α550(2009年10月発売)は個人的に結構お気に入りで、従来の「α350」(2008年3月発売)よりも連写が軽快で、液晶モニターも高精細できれいなのが魅力。また、AFは効かないが、センサーライブビューを行なう「MFチェックライブビュー」も搭載しているので、位相差AFが信頼できず、光学ファインダーでのMFもままならないような状況(例えば、大口径レンズを開放絞りで撮影したり、夜景など被写体がはっきり見えないような場合)には実に重宝する。そして、なにより背面の液晶モニターが上下に角度を変えられるので、ハイアングルやローアングル撮影も楽な姿勢で行えるのがイチバンの魅力だ。

 もちろん、作画を楽しむ一眼レフカメラとしてみると不満な部分も多い。光学ファインダーは倍率が低くお世辞にも見やすいとは言えないし、いくらエントリーモデルとはいえプログラムシフトすらできないのは疑問。「オートHDR」機能は手持ちでも意外と使い物になるものの、手動でHDR撮影をしようとするとブラケット撮影で設定できる最大ステップはわずか0.7EVだし、高感度ノイズ低減をオフにすることもできない仕様だったりする。そのため、α550を一眼レフカメラとして捉えると不満な部分がどうしても気になってイラッとさせられてしまうのだが、レンズ交換ができるちょっと大きめな“フルオートコンパクト”(笑)としてつきあうと、これほど楽しく、軽快に撮影できるカメラはないと思う。

 そんなこんなで、α350からα550に買い替えてからというもの、旅行や祭りなどイベントのお供に欠かせない存在となってしまい、なんとαレンズが4本も増殖してしまった。1本はα350を買ったときから気になっていた「Vario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSM」、もう1本は格安で売られていたタムロン「SP AF 11-18mm F4.5-5.6 Di II LD Aspherical」、そして残りの2本は、「DT 30mm F2.8 Macro SAM」と「DT 50mm F1.8 SAM」の“はじめてレンズ”だ。


Vario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSM SP AF 11-18mm F4.5-5.6 Di II LD Aspherical

猫撮りに最適な組み合わせ

 この「はじめてレンズ」というのは、一眼レフカメラを初めて購入した人にレンズ交換の楽しみを知ってもらえるように企画された低価格の単焦点レンズで、どちらも実売1万円台後半から2万円ちょっとと、実に手頃な価格を実現しているのが特徴。また、レンズキットの標準ズームよりも開放F値が明るく、単焦点レンズとしては最短撮影距離がかなり短いので、一眼レフならではの大きなボケ表現が楽しめる。

 価格が価格なのでマウントはプラスチックだし、フォーカスリングもそれほど幅広ではない。レンズ内モーター搭載ではあるが、超音波モーター(SSM)ではなく、DCモーターによるSAM(Smooth Auto-focus Motor)仕様なので、DMF(ダイレクトマニュアルフォーカス)にも非対応。フードは付属していないどころか、オプション品も用意されていない。

 まあ、α550自体がDMF機構を備えていないので関係ないと言えば関係ないのだが、「α700」クラスの中級機を使うユーザーにとっては、不満に感じる部分だろう。個人的にはそうしたチープな部分が気にならない、といえば嘘になるが、前述したように、α550をレンズ交換ができて、ローアングルやハイアングル撮影が楽な姿勢で楽しめる“お気楽フルオートライブビューカメラ”として捉えているので、普及タイプのズームよりも明るく、最短撮影距離も短く、思いっきり寄れるレンズが、お手頃価格で買えるのは大歓迎。最近は猫カフェ通いが増えてきたのだが、それほど明るくない室内でのネコ撮りには、明るく寄れるレンズと、高感度に強く、ローアングル撮影も楽な姿勢でこなせるカメラが理想的。α550と2本のはじめてレンズは、まさにこの要求を満たしてくれる最強の組み合わせだ。

 特に気に入っているのは、DT 50mm F1.8 SAM。DT 30mm F2.8 Macro SAMはマクロレンズだから思いっきり寄れるのは当然だが、DT 50mm F1.8 SAMは50mmの焦点距離(α550では75mm相当の画角)でF1.8の明るさを持ちながら、最短で34cmまで近寄れる。フルサイズ用50mm標準レンズの最短撮影距離は45cmが一般的なので、それに比べると10cm以上寄れるのが強み。F1.8の明るさとボケを活かしたポートレート撮影だけでなく、室内でのペット撮影やテーブルフォトなどにも威力を発揮するレンズだ。

 また、DT 30mm F2.8 Macro SAMは、等倍までのクローズアップ撮影が可能なAPS-C専用の標準マクロレンズで、最短撮影距離は12.9cm。等倍時のワーキングディスタンス(レンズ先端から被写体までの距離)はなんと2cmしかない。本来、マクロ撮影では同じ撮影倍率ならワーキングディスタンスが長いほうがカメラやレンズの影が被写体にかかりにくく、ライティングの自由度も高いが、コンパクトデジタルカメラやカメラ付きケータイは、“レンズ前数cmまで寄れる”のが当たり前。その感覚に慣れてしまうと、せっかくいい写真を撮れると思って一眼レフカメラを買ったのに、あまり被写体に寄れなくてがっかり、なんて不満を感じる層も増えてくる。このDT 30mm F2.8 Macro SAMは、ワーキングディスタンスが短いというマクロレンズとしてはやや不利な仕様を逆手に取り、むしろレンズ直前まで被写体に寄れるという特徴を強くアピールしている。

 これまでソニーαにはAPS-C専用の標準マクロレンズはなく、フルサイズ兼用の「50mm F2.8 Macro」しか選択肢がなかった(ちなみに、ペンタックスには純正の「DA 35mm F2.8 Macro Limited」、キヤノンやニコンにはトキナー「AT-X M35 PRO DX」(35mm F2.8 Macro)というAPS-C専用標準マクロレンズの選択肢が存在する)ことを考えると、α700ユーザーにも結構気になるレンズではないだろうか? ただ、マクロレンズにしては歪曲収差が残っていて、1/2倍から等倍ではさほど目立たなくなるものの、中・遠景では弱いタル型収差が残る。少し絞らないと中・遠景の描写も甘めだ(特に周辺部)。もちろん、並のズームレンズに比べれば上質な写りだが、マクロレンズとして過剰な期待はしないほうがいいかもしれない。

AT-X M35 PRO DX DA 35mm F2.8 Macro Limited

単焦点レンズを持っていないαユーザーはぜひ

 はじめてレンズの絞り羽根はどちらも7枚構成で一応“円形絞り”を謳っているが、9枚絞りに比べると角が残り、円形というよりも角の丸まった七角形。絞ったときの絞り羽根形状に過剰な期待は禁物だが、旧時代のMFレンズのように角張った五角形、六角形に比べれば、整った絞り形状だ。

 2本のレンズとも、飛び抜けて高性能とか、ボケ味が絶品というわけではないが、無理のない焦点距離と開放F値、そしてAPS-C専用設計ということで、1段ほど絞って撮影すればかなり安定した描写が期待できる。絞り開放では少しソフトな描写になるものの、MFチェックライブビューを併用するなどしてしっかりピンポイントで狙った箇所にピントを合わせれば、ピントの芯の周りにわずかなフレアをまとった軟らかな描写になるので、女性ポートレートや花マクロ、ペット撮影にもピッタリだ。それに、2本買っても実売4万円前後で済むし、小型軽量なので荷物にもなりにくい。単焦点レンズをまだ1本も持っていないというαユーザーには、ぜひ思い切って写りを試してみてほしいと思う。また、この2本だけでなく、「DT 85mm F1.8」や「DT 15mm F4」といったはじめてレンズもぜひお手頃価格(実売3万円台半ばから4万円弱を希望)で実現してほしいと思う。


「DT 30mm F2.8 Macro SAM」実写サンプル


●ボケ味

※共通設定:α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 4,592×3,056 / 30mm

F2.8 F4 F5.6
F8 F11
●歪曲収差&周辺減光

※共通設定:α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 4,592×3,056 / 30mm

F2.8 F4 F5.6
F8 F11
●そのほか
α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約4.0MB / 4,592×3,056 / 1/50秒 / F2.8 / 0EV / ISO1000 / 30mm α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約3.3MB / 4,592×3,056 / 1/60秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO200 / 30mm
α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約5.9MB / 4,592×3,056 / 1/320秒 / F5 / 0EV / ISO200 / 30mm α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約3.1MB / 4,592×3,056 / 1/50秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO320 / 30mm
α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約3.6MB / 4,592×3,056 / 1/50秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO500 / 30mm α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約7.5MB / 4,592×3,056 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 30mm
α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約4.7MB / 4,592×3,056 / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 30mm α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約4.5MB / 4,592×3,056 / 1/160秒 / F4.5 / +0.7EV / ISO200 / 30mm
α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約4.2MB / 4,592×3,056 / 1/50秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO250 / 30mm α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約4.6MB / 4,592×3,056 / 1/50秒 / F2.8 / 0EV / ISO500 / 30mm
α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約3.5MB / 4,592×3,056 / 1/30秒 / F2.8 / +1.7EV / ISO1600 / 30mm α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約3.3MB / 4,592×3,056 / 1/20秒 / F2.8 / +1.3EV / ISO1600 / 30mm
α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約3.7MB / 4,592×3,056 / 1/30秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO1600 / 30mm α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約4.8MB / 4,592×3,056 / 1/50秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / 30mm
α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約3.2MB / 4,592×3,056 / 1/60秒 / F4 / +0.3EV / ISO200 / 30mm α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約5.0MB / 4,592×3,056 / 1/50秒 / F2.8 / 0EV / ISO1600 / 30mm
α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約3.0MB / 4,592×3,056 / 1/20秒 / F2.8 / +1.7EV / ISO1600 / 30mm α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約4.3MB / 4,592×3,056 / 1/60秒 / F4 / +0.3EV / ISO200 / 30mm
α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約4.1MB / 4,592×3,056 / 1/50秒 / F2.8 / +1.3EV / ISO1000 / 30mm α550 / DT 30mm F2.8 Macro SAM / 約5.6MB / 4,592×3,056 / 1/50秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO250 / 30mm

「DT 50mm F1.8 SAM」実写サンプル


●ボケ味

※共通設定:α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 4,592×3,056 / 50mm

F1.8 F2 F2.8
F4 F5.6 F8
F11
●歪曲収差&周辺減光

※共通設定:α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 4,592×3,056 / 50mm

F1.8 F2.8 F4
F5.6 F8 F11
●そのほか
α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約3.2MB / 4,592×3,056 / 1/60秒 / F2 / +1.3EV / ISO1600 / 50mm α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約5.9MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F4 / +0.3EV / ISO1000 / 50mm
α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約3.8MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F2.2 / +0.3EV / ISO250 / 50mm α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約3.7MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F2.2 / +0.7EV / ISO320 / 50mm
α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約3.7MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F2 / +0.7EV / ISO800 / 50mm α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約4.2MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F1.8 / +0.7EV / ISO250 / 50mm
α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約4.2MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F2 / +0.7EV / ISO1250 / 50mm α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約3.9MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F2 / +0.3EV / ISO250 / 50mm
α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約3.4MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F2.2 / +1EV / ISO320 / 50mm α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約4.1MB / 4,592×3,056 / 1/50秒 / F2.2 / +0.7EV / ISO1600 / 50mm
α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約4.5MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F2.5 / +0.3EV / ISO400 / 50mm α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約3.5MB / 4,592×3,056 / 1/1,000秒 / F2 / -0.3EV / ISO200 / 50mm
α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約3.2MB / 4,592×3,056 / 1/2,000秒 / F2.2 / 0EV / ISO200 / 50mm α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約5.0MB / 4,592×3,056 / 1/800秒 / F7 / 0EV / ISO200 / 50mm
α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約5.2MB / 4,592×3,056 / 1/400秒 / F6.3 / 0EV / ISO200 / 50mm α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約6.8MB / 4,592×3,056 / 1/800秒 / F5 / 0EV / ISO200 / 50mm
α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約4.0MB / 4,592×3,056 / 1/500秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / 50mm α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約3.5MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F2.5 / +0.3EV / ISO200 / 50mm
α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約4.4MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F2 / 0EV / ISO1000 / 50mm α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約4.7MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F2 / 0EV / ISO800 / 50mm
α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約3.3MB / 4,592×3,056 / 1/400秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 50mm α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約6.9MB / 4,592×3,056 / 1/1,000秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / 50mm
α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約8.4MB / 4,592×3,056 / 1/160秒 / F11 / 0EV / ISO200 / 50mm α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約3.8MB / 4,592×3,056 / 1/200秒 / F3.2 / 0EV / ISO200 / 50mm
α550 / DT 50mm F1.8 SAM / 約4.4MB / 4,592×3,056 / 1/30秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO1600 / 50mm





伊達淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。ただし、鳥撮りに関してはまだ半年。飛びモノが撮れるように日々精進中なり

2010/3/24 15:53