比較レビュー

マイクロフォーサーズ高倍率ズームレンズ3本(外観・機能編)

ついにタムロンが参入!オリンパス、パナソニックとの違いは?

 登場したばかりのころは色ものでしかなかった高倍率ズームレンズだが、今ではその便利さ、使い勝手のよさを知らないひとはほとんどいないだろうし、最初の1本として選ぶ人も少なくない。

 そんな高倍率ズームをこの世に生み出したタムロンが、この6月にマイクロフォーサーズ用として新発売したのが「14-150mm F/3.5-5.8 Di III」(Model C001)だ。

左からパナソニック「LUMIX G VARIO 14-140mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.」(装着ボディはLUMIX DMC-GX7)、タムロン「14-150mm F/3.5-5.8 Di III」、オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6」(同OLYMPUS PEN E-P5)

 しかし、マイクロフォーサーズ用の高倍率ズームには、すでにオリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6」やパナソニック「LUMIX G VARIO 14-140mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.」、「LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH. MEGA O.I.S.」がラインナップされており、いずれも高く評価されている。

 そんな中に割って入ってきたタムロン14-150mmの実力はどれほどなのか、2回にわけてチェックしていきたい。

 なお、パナソニックのG HD 14-140mm F4-5.8は、動画撮影への適性を重視したモデルであるため、今回は残りの3本をメインに紹介する。まずは、外観やスペック、使い勝手を比較してみよう。

実用上、サイズや重量に大きな差は無い

 タムロン14-150mmとパナソニック14-140mmは、広角端で外から見える部分は金属製で、ズーミングで伸びる部分は樹脂製。一方、オリンパス14-150mmはすべて樹脂製だ。

マイクロフォーサーズ用高倍率ズーム。左からパナソニック「LUMIX G VARIO 14-140mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.」、タムロン「14-150mm F/3.5-5.8 Di III」、オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6」

 ズームリングの回転方向は、オリンパス14-150mmとパナソニック14-140mmが逆方向となっており(どうして統一していないのか不思議である)、タムロン14-150mmはパナソニック14-140mmと同じである。

 また、タムロン14-150mmだけは前玉側にズームリング、マウント寄りにフォーカスリングという構成を採用している。

タムロン14-150mm。残念ながらレンズシフト式の手ブレ補正機構は省略された
オリンパス14-150mm。前枠よりも鏡胴がやや細身のデザイン。フードは別売
パナソニック14-140mm。ほかの2本に比べると、ややずんぐりした外観。手ブレ補正機構を内蔵する

 スペック上では、タムロン14-150mmとオリンパス14-150mmは最大径が63.5mmと同じだが、オリンパス14-150mmは前枠だけがやや張り出した形状で、それ以外の部分は若干スリムだ。

 鏡胴部の太さは、オリンパス14-150mmが約59.8mm、タムロン14-150mmが63.3mm、パナソニック14-140mmが66.8mmだった(ズームリング部の実測値)。

 マウント面から鏡胴前縁までの長さは、パナソニック14-140mm、タムロン14-150mm、オリンパス14-150mmの順に短い。望遠端でもっとも長くなるのはオリンパス14-150mmで、広角端との長さの差は約59mmだった。タムロン14-150mmは同約44mm、パナソニック14-140mmは同約43mmだった。

 フードを装着した状態で比べると、パナソニック14-140mmがもっとも長い。また、フードの直径もいちばん大きい。画角外から入射する有害光をカットする効率から考えれば、フードは大きく、深いほうがいいが、なにぶんにも高倍率ズームである。望遠が300mm相当(パナソニック14-140mmは280mm相当)まであるのに、フードは28mm相当なのだから多くは期待できない。

フードを装着したところ。パナソニック14-140mmはフードがもっとも長く、フード付きではいちばん大きくなる

 レンズの口径が大きい場合、フードが大きめだとバッグへの収まりが悪くなる心配があるが、レンズ自体がコンパクトなので、フードもかさばるようなことはない。ただ、前玉を下にして立てるときに不安定になりやすく、レンズ交換の際などにひょいっと立てて置いたときに転倒することがある。そのあたり、パナソニック14-140mmは注意したほうがいいかもしれない。

花形フードは尖っているほうが遮光効率はいいが、逆向きに置いたときには不安定になりやすい。レンズ交換時などには注意が必要だ

 重さは、オリンパス14-150mmが最軽量の260g。タムロン14-150mmが265g、パナソニック14-140mmは285g。25gの差は、率でいえば10%に近いが、数値自体が大きくないので、実用上は気にならない。

 フィルター径は、タムロン14-150mmだけが52mmで、オリンパス14-150mmとパナソニック14-140mmは58mm。

 最短撮影距離はタムロン14-150mmとオリンパス14-150mmがズーム全域で0.5m、パナソニック14-140mmは広角端から21mmまでが0.3m、22mmから急に長くなって望遠端までの範囲は0.5mとなる。最大撮影倍率は、タムロン14-150mmが1:3.8(約0.26倍)でトップ。パナソニック14-140mmは0.25倍、オリンパス14-150mmが0.24倍と、大きな開きはない。

手ブレ補正の動作に注意

 試用したカメラボディは、「OLYMPUS PEN E-P5」とパナソニック「LUMIX DMC-GX7」の2機種で、E-P5には電子ビューファインダー「VF-4」を装着している。

 カメラに装着した状態でのホールディングバランスは、3本とも大きな違いはない。また、レンズが軽量なため、ズーミングによる重量バランスの変化も気にならないレベルだ。タムロン14-150mmのみ、電源オン時に絞りが動作する音がする。それほど大きな音ではないが、気にする人もいるかもしれないので記しておく。

E-P5との組み合わせ

タムロン14-150mm
オリンパス14-150mm
パナソニック14-140mm

GX7との組み合わせ

タムロン14-150mm
オリンパス14-150mm
パナソニック14-140mm

 オリンパス14-150mmとパナソニック14-140mmとでは鏡胴の太さが約7mm違うが、取っ替え引っ替えしながら使い比べでもしないかぎり、その差が気になることはないだろう。

 ズームリングは、パナソニック14-140mmがもっとも軽く(太さの分もある)、次いでオリンパス14-150mm、タムロン14-150mmの順となる。3本ともズーム域によるトルクの変化は小さいので、スムーズな操作が行なえる。

タムロン14-150mmの広角端
タムロン14-150mmの望遠端
オリンパス14-150mmの広角端
オリンパス14-150mmの望遠端
パナソニック14-140mmの広角端
パナソニック14-140mmの望遠端

 なお、タムロン14-150mmのみ、ズームロックレバーを備えているが、試用していて自重落下による鏡胴の伸びはなかった。

タムロン14-150mmのみズームロックレバーを備えている。が、ロックしなくても勝手に伸びてしまうようなことはなかった

 シングルAFモードでのAFスピードは、どの組み合わせでも申し分のないレベルで、ストレスを感じることはまったくなかった。コンティニュアスAFでも、純正と非純正の違いがあるような感じはない。このあたりはマイクロフォーサーズ規格のいいところだと思う。

 手ブレ補正は、パナソニック14-140mmのみ内蔵しており、側面にオンオフスイッチを備えている。試用した両カメラともセンサーシフト式手ブレ補正を内蔵しているが、組み合わせによって挙動が異なる。

パナソニック14-140mmには手ブレ補正のオンオフを切り替えるスイッチがある

 ボディがE-P5の場合、タムロン14-150mmとオリンパス14-150mmはボディ側の手ブレ補正が使用できる。もちろん、「半押し中手ぶれ補正」も作動するので、安定した像を見ながらの撮影が可能だ。

E-P5はボディ側に手ブレ補正機構を持っているので、どのレンズでも補正が可能。パナソニック14-140mm装着時はどちらの手ブレ補正を利用するか選択できる
E-P5やE-Mシリーズは「半押し中手ぶれ補正」が可能なので、ライブビュー時も安定した像が見られる

 パナソニック14-140mmはレンズ側とボディ側のどちらの手ブレ補正機構を使用するかを選択できる。両方がオンのときはレンズ側が優先となり(露光中もレンズ側のみ作動しているようだ)、レンズの手ブレ補正スイッチをオフにするとボディ側が作動する。三脚撮影時など、手ブレ補正を停止させたいときはレンズとカメラの両方でオフにする必要がある。

GX7とパナソニック14-140mmの組み合わせでは、レンズ側の手ブレ補正のみが使用できる

 ボディがGX7の場合、タムロン14-150mmでは手ブレ補正が使用できなくなる。メニュー項目もグレーアウトして選択できなくなる。今後のファームウェアアップデートで作動できるようになって欲しいと思う(なお、試用ボディのファームウェアはVer.1.3で、これは原稿執筆時点では最新のものだ)。

GX7とタムロン14-150mmの組み合わせでは、手ブレ補正は使えなくなる。ここはなんとか対応して欲しいところだ

 オリンパス14-150mmとの組み合わせではボディ側の手ブレ補正が作動する。パナソニック同士の組み合わせではレンズ側の手ブレ補正のみが作動し、ボディ側のみを作動させることはできない。

GX7とオリンパス14-150mmの組み合わせでは、ボディ側の手ブレ補正が利用できる

まとめ

 大手量販店での実売価格は、もっとも安いタムロン14-150mmが6万1,560円。レンズフードは同梱だ。オリンパス14-150mmは7万1,080円だが、別売のフードも買うと7万4,290円になる。パナソニック14-140mmはフード、ソフトケースが付属していて7万6,210円。単純にコストパフォーマンスで考えれば、1万円以上安いタムロン14-150mmがベストとなる。

 が、手ブレ補正が欲しいかどうかによって、答えは違ってくる。オリンパス機のユーザーは3本のどれを選んでも手ブレ補正は可能だが、パナソニック機はGX7以外はボディ内手ブレ補正がないため、選択肢は純正のみに限られる。

 GX7のユーザーにしても、タムロン14-150mmでは手ブレ補正は作動しない。また、オリンパス機でも、E-PLシリーズ、E-PMシリーズは「半押し中手ぶれ補正」機能がないため、望遠撮影時にも安定したライブビュー映像を求めるのであれば、パナソニック14-140mmを選ばないといけないことになる。

 とはいえ、レンズ選びをスペックだけ、機能だけで決めることはできないわけで、実写での画質の良し悪しもチェックする必要がある。そのあたりは回を改めて紹介したい。

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら