写真展

苅込佑写真展「母校が亡くなる美しい村」

(コニカミノルタプラザ)

©Tasuku Karikomi

「美しい村」は、千葉県南部の山あいの旧曽呂村(現鴨川市)が舞台である。資料によると、曽呂は戦国時代すでに曽呂郷という地名があったらしい。明治22年の町村制の制定で、合併により曽呂村が誕生した。同時に曽呂尋常小学校が開設され、分教場も置かれた。私の父が通ったのが、この分教場(後の分校)である。1960年代高度経済成長を担った元大蔵大臣水田三喜男の学び舎でもあったことから、地元住民が今も分校と生家の保存管理を行っている。当地は寺院が非常に多く、たくさんの僧侶が住んでいたことから「曽呂」と名付けたという伝承もある。細やかな人情味や律儀な土地柄から分かる気がする。

村の中央を流れる曽呂川、326mの高鶴山、そして美しい棚田と水仙の里、子供たちは「宝物」という。しかし、過疎には勝てない。かつて昭和30年代初頭には430人余りいた生徒数は昨今一割に減少した。そして平成27年3月曽呂小学校は閉校となった。

日々を平穏に繰り返すことの幸せを実感しながら、小学校の最後の1年を見守った記録である。

苅込 佑 写真展「母校が亡くなる美しい村」

会場・スケジュールなど

  • ・会場:コニカミノルタプラザ(ギャラリーA)
  • ・住所:東京都新宿区新宿3-26-11新宿高野ビル4階(フルーツの高野4階)
  • ・会期:2016年5月3日(火)~5月13日(金)
  • ・時間:10時30分~19時(最終日15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

作者プロフィール

1943年生まれ 千葉県鴨川市在住。日本写真芸術専門学校で暗室実技を学ぶ。以降、銀塩モノクロとの共生を続けている。

<写真展>
2004年 「終の棲家」 ニコンサロン bis新宿
2007年「街の贈りもの」 ニコンサロン bis新宿
2010年「刻を包む空間」 ニコンサロン bis新宿
2013年「絆の絆―7人の海女」 ニコンサロン bis新宿
2014年「絆の絆―7人の海女」 ニコンサロン bis大阪

日本写真協会会員
ニッコールクラブ(千葉支部)会員
写団モノクロ所属

(本誌:河野知佳)