写真展
小柳宣昭写真展「人工島」
(オリンパスギャラリー)
Reported by 本誌:河野知佳(2015/2/12 07:00)
大阪には、多くの人の知恵と労力により出現した人工島「咲洲(さきしま)」がある。
そこへ多くの物が運ばれ、建造物が造られ、人が移動し、動植物が宿った。
私は、先人たちが成し遂げた事業に敬意を表し、自然の恵みに謙虚に感謝し、静かに今の「咲洲」を記録する。
日本には「青写真」という言葉がある。
コピー機が普及するまで、土木や建築などの図面の複写に、鉄塩の化学反応を利用した、青図・青焼きが多用されていた。
その青焼きされた図面を広げて、住民説明会などのプレゼンテーションをしたことから、未来の構想を「青写真」と呼ぶようになったという。
人類の英知は自然界に対し、踏み込んではいけない領域まで踏み込んでしまった。
そのことに気がついたのは、東日本大震災による甚大な被害によってだった。
かつて描かれた「青写真」の多くが崩れた瞬間でもあった。
自然との関わりの中で私たちは、いかに弱い存在であるかを学んだ。
先人たちが描いた「青写真」は、私たちの世代が見直さなければいけない。
話を戻す。
東日本大震災の震源地から約 1000キロ離れた大阪の「咲洲」。
大阪府咲洲庁舎であるコスモタワーは、東日本大震災による長周期地震動の影響で、防火戸の破損、天井の落下や床の亀裂、エレベーターのワイヤロープが絡まるなどの現象が発生し、自然界への不安が露呈した。
私は、「咲洲」の風景を「青写真」の語源となった手法で、光画を定着させる。
私たちの世代が描く「青写真」は、以後の世代に負担を押し付けることを犯していないだろうかと、考えながら。
出展作品数:サイアノタイプ 約40点
(写真展情報より)
会場・スケジュールなど
- ・会場:オリンパスギャラリー大阪
- ・住所:大阪府大阪市西区阿波座1-6-1MID西本町ビル1階
- ・会期:2015年2月20日金曜日~2015年2月26日木曜日
- ・時間:10時~18時(最終日15時まで)
- ・休館:日曜日・祝日
- ・入場:無料