写真展

伊勢谷浩一写真展「未来へ繋ぐ・東北復興の記録」

(オリンパスギャラリー)

©伊勢谷 浩一

中越地震の時はカメラマンのアシスタントだった。いつか同じような災害が起きた時には写真家として撮りに行くことを自分に誓っていた。そして2011年3月、東日本大震災が起きる。東京で足下が常に揺れるなか、自分の決意も揺らぐ。行かなければと思いながら時間が経ち、1年が経とうとする手前でようやく被災地に入った。

仙台の南、山元町から入って岩手の宮古まで車中で寝泊まりしながら走る。しかし、現状を知りたいという目線に映る風景は衝撃が大きく、被災した風景を切り取ることしかできなかった。

ただ一度、人の写真を撮った。南三陸町志津川。逆光の夕日が射すオレンジ色の光景のなか、向かい側からおばあさんがふたり歩いて来た。写真を撮らせてもらうと、彼女たちの住む仮設住宅を案内してくれた。仮設ではめっきり来なくなった東京からの来訪者に沸き、他のおばあさんたちも集まって来た。「撮って」と言われるままに撮影会が始まる。仮設によって生まれたコミュニティーを残して欲しかったのだと思う。

冷たい被災地の中での心温まる風景だった。

あれから季節ごとに何度も被災地を訪れたが、見えてきたのは悲惨な光景にしばらく佇んだ後に残る美しい残像の数々だった。大きな傷跡を残しながら再生と復興に向かうとき、そこに際立つ輝きがある。空に舞う大漁旗、水面に咲く灯籠の灯り、神輿に宿る乱反射。追悼・苦難・日常・エネルギー、全てが凝縮された空間の中で美しさを持って迫ってくるものを写真に収めた。

(写真展情報より)

  • ・会場:オリンパスギャラリー東京
  • ・住所:東京都千代田区神田小川町1-3-1 NBF小川町ビル1階
  • ・会期:2014年9月4日木曜日~2014年9月10日水曜日
  • ・時間:10時~18時(最終日15時まで)
  • ・休館:日曜日・祝日
  • ・入場:無料

  • ・会場:オリンパスギャラリー大阪
  • ・住所:大阪府大阪市西区阿波座1-6-1 MID西本町ビル1階
  • ・会期:2014年9月26日金曜日~2014年10月2日木曜日
  • ・時間:10時~18時(最終日15時まで)
  • ・休館:日曜日・祝日
  • ・入場:無料

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