井上雅史写真展「続・海沿いに」

これらの写真は2012年の秋から2014年の春にかけて、私の住んでいる神戸市を中心に西は姫路から東は尼崎あたりまで、さらに対岸の淡路島北部を含めた地域の海岸部で撮影したものです。それより以前の数年間、やはり同じような場所を 6×6判の 2眼レフで撮影して回ったことがあるのですが、今回はその続編という意味で上のようなタイトルになりました。

海辺と言ってもこのあたりは瀬戸内海でも開発の進んだ地域で、叙情的な風景を求めるには良い場所ではありません。むしろ殺風景と呼べるほど今の日本の都市を構成するさまざまな要素が入り込んでいるのですが、それらが海を背景にして作り上げる、時には少しばかり不調和な景観は私にはとても魅力的なものなのです。

何らかのテーマに沿って撮影を進めるということはしないので、ただ大雑把な行先を決めただけで行き当たりばったり、その時々で興味を惹かれたものや風景を撮るだけです。場所を海沿いに限定したこともそのままではあまりにとりとめがなくなる自分の写真に多少のまとまりをつけるための方便とも言えます。そこに何か主題のようなものがあるとすれば、それは私なりの風景の見方、写真の楽しみ方といったようなものなので、そのあたりをこれらの作品から汲みとっていただければ幸いです。

出展作品数：カラー・A3　約30点

（写真展情報より）