写真展告知

郡川正次写真展:工場外町、周游紀行

それは人々の顔に刻まれている。

その町の時間は、人々の顔と、その生活に残されている。

遠い鉄槌の音、くぐもった破裂音や蒸気音、子らの歓声、母たちの笑い声、鉄路のきしみ、ふかすエンジン、流れるキッチンの食の匂い、酌み交わすグラスの擦れる音、そしてタイヤが跳ね上げる小石。

それらはみんな時が積み重なった深く低い音となって今もなお町に響く。

人の生活が町を作り、町が人の生活を練り上げてきた。

人々の顔にだけではない。建屋の壁にもそれを見てとることができる。もし、壁を雑巾のように絞ることができたなら、きっとさまざまな色が混ぜ合わさって暗いセピア色となった液体が出てくるに違いない。

地層を形作るような重くて厚い時を積み上げてきた K市、K区の工場の周りには、その経験のたゆたう町が連なっている。そこは時間が、陽炎のように揺れてただよっている町だ。

写真展情報

会場

オリンパスギャラリー東京
東京都新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビル地下1階

開催期間

2017年9月8日(金)~9月12日(水)

開催時間

11時~19時(最終日は15時)

休廊

木曜日

作者プロフィール

1946年 奈良市生まれ
日大芸術学部写真学科中退。写真家助手を経てフリー。
2013年 写真展 「土地の記憶、時の名残り」 オリンパスギャラリー東京
2014年 写真展 「二つの町 木更津・富士」 コニカミノルタプラザ
2015年 写真展 「対岸/東京湾を挟んで」  オリンパスギャラリー東京