写真展告知
植田正治写真展「もうひとつの風景」
(Books and Modern)
2017年3月2日 17:00
植田正治(1913-2000)は、鳥取県境港市を拠点に生涯にわたって遊び心あふれる写真世界を提示し続けた作家です。
とりわけ砂丘を背景とした演出写真は、ユーモアとシュールな詩情、ポリフォニーを湛えたイメージで、70年代フランスを始めとするヨーロッパでの評価を不動のものとし、Ueda-cho(植田調)は世界共通語となりました。
しかし、ピクトリアリズム、シュールレアリスム、ストレートフォト……あらゆる表現領域を自由自在に横断した作家は、当然ながら過ぎ去る一瞬の美を捉える天才でもありました。
本展では『植田正治作品集』(16,000円・税別/河出書房新社)の出版を記念して、演出写真で知られる植田正治のあまり知られていないストレートフォトの名作品集『音のない記憶』(1974年)を取り上げます。
植田正治59歳、初のヨーロッパ旅行から生まれた優雅でみずみずしいイメージと、いくつかの代表的な作品──息をのむような美しいゼラチンシルバーのオリジナルプリント……作家が捉えた、過ぎ去る一瞬の美、“もうひとつの風景”をご覧ください。
会場・スケジュールなど
- ・会場:Books and Modern
- ・住所:東京都港区赤坂9-5-26パレ乃木坂201
- ・会期:2017年3月8日(水)~4月8日(土)
- ・時間:12時~19時
- ・休廊:日曜日・月曜日
「雑誌の中の植田正治」by 金子隆一氏(写真史家)
日時:3月11日(土)16時~17時30分
参加:2,000円(ドリンク付き)
金子隆一
1948年生まれ。写真評論家、写真史家、写真集コレクター。本業は僧侶。立正大学文学部地理学科卒業。元東京都写真美術館学芸員。武蔵野美術大学非常勤講師。日本写真史、特に日本の芸術写真(ピクトリアリスム)を専門とし、東京都写真美術館の企画展はもちろん、国内の様々な写真展を企画している。主な著書に『植田正治 私の写真作法』 (編著)(CCCメディアハウス 2000)『日本写真集史1956-1986』 (共著)(赤々舎 2009)などがある。
「植田正治とは何者か?」by 飯沢耕太郎氏(写真評論家)
日時:4月1日(土)16時~17時30分
参加:2,000円(ドリンク付き)
飯沢耕太郎
写真評論家。きのこ文学研究家。1954年、宮城県生まれ。1977年、日本大学芸術学部写真学科卒業。1984年、筑波大学大学院芸術学研究科博士課程修了。主な著書に『写真美術館へようこそ』(講談社現代新書 1996)『デジグラフィ』(中央公論新社 2004)『きのこ文学大全』 (平凡社新書 2008)『写真的思考』(河出ブックス 2009)『現代日本写真アーカイブ』(青弓社 2015)『きのこ文学ワンダーランド』 (DU BOOKS、2013)などがある。
作者プロフィール
1913年 鳥取県西伯郡境町(現境港市)に生まれる。
1925年 鳥取県立米子中学校入学。中学3年生の頃から、写真に夢中になる。
1931年 同校卒業後、米子写友会入会。
1932年 上京し、オリエンタル写真学校に入学。卒業後、郷里に帰り19歳で営業写真館を開業。同年、日本光画協会会員となる。この頃より、写真雑誌や展覧会に次々と入選し、頭角を表していく。
1937年 中国写真家集団創立同人となる。以後同集団東京展に精力的に作品を発表し、《少女四態》などの群像演出写真が注目される。
1947年 銀龍社に参加。
1949年 この年に発表した「綴方・私の家族」のシリーズをはじめ、砂浜や砂丘を舞台とした作品で高い評価を得る。
1954年 第2回二科賞受賞。
1958年 ニューヨーク近代美術館でのエドワード・スタイケンによる企画展に出品。
1971年 写真集『童暦』刊行。
1974年 この年から12年間にわたり「小さい伝記」が雑誌『カメラ毎日』に掲載される。
1975年 第25回日本写真家協会賞年度賞受賞。九州産業大学教授(待遇)に就任(~1994年)。
1978年 文化庁創設10周年記念功労者表彰を受ける。
1978年 この年と1987年にフランスのアルル・フォト・フェスティバルに招待される。
1980年「風景の光景」展を開催。
1982年 西ドイツ「フォトキナ写真展」に選ばれる。
1993年 東京で大規模な個展が開催されるなど国内外で多数の展覧会が開催される。
1995年 鳥取県西伯郡岸本町(現:伯耆町)に植田正治写真美術館開館。
1996年 フランス共和国芸術文化勲章シュヴァリエ受章。
1998年 第1回鳥取県県民功績賞受賞。
2000年 7月4日、死去。