写真展告知

なぎら健壱写真展「すれ違う日常」

(オリンパスギャラリー)

眼に映るものがあり、それをカメラで切り取る。それは思いがけなく眼の前に現れた場景であり、二度と現われることはない。もし演出でそれを創り出そうとすれば、そこにあるものは似非の瞬間なのである。「撮らせてもらっていいですか?」そう言葉をかける。しかしカメラを意識した瞬間に自然体や、それに伴う趣は消滅してしまう。「真」を「写す」のが写真であるとすればだが……。

日頃、写真を撮ろうとカメラを構えて歩いているわけではない。偶然に遭遇した被写体が琴線にふれ、シャッターを切る。よってその一瞬の出合い、そしてその時カメラを持っていられたこと、それに対してシャッターが切れたこと自体がラッキーなのである。三脚を備えて何時間も粘ったり、被写体が現れるのをじっと待っているなど、到底私に出来ようはずもない。

そこにあるのは、ただラッキーな瞬間なのである。日常の中にラッキーがあったともいえる。いや、ラッキーな瞬間が日常だったのかもしれない。それに気づくかどうかである。そうした写真が好きなのである。街は面白い――だから歩く。日常は面白い――だから歩く。そしてシャッターを切る。ここにあるのはそうした写真たちである。

【オリンパスギャラリー東京】2月24日~3月1日 なぎら 健壱 写真展|オリンパスギャラリー東京 写真展一覧|ショールーム・ギャラリー&サービスステーション|オリンパス

会場・スケジュールなど

  • ・会場:オリンパスギャラリー東京
  • ・住所:東京都新宿区西新宿1-24-1エステック情報ビル地下1階
  • ・会期:2017年2月24日(金)~3月1日(水)
  • ・時間:11時~19時(最終日15時まで)
  • ・休館:木曜日
  • ・入場:無料

  • ・会場:オリンパスギャラリー大阪
  • ・住所:大阪府大阪市西区阿波座1-6-1MID西本町ビル1階
  • ・会期:2017年3月10日(金)~3月23日(木)
  • ・時間:10時~18時(最終日15時まで)
  • ・休館:日曜日・祝日
  • ・入場:無料

作者プロフィール

1952年東京銀座(旧・木挽町)に生まれ、以来、葛飾区、江東区など下町で育つ。フォークソングに傾倒し、1972年にファーストアルバム「万年床」を発表。これまでに10数枚のアルバムをリリースしている。カメラ歴は古く、写真集や写真を添えたエッセイ集等も上梓している。現在コンサート活動のほか、独特のキャラクターでテレビ、ラジオ、映画、ドラマの出演や、新聞、雑誌等の執筆でも活躍をしている。現在「日本カメラ」誌に〈町の残像〉、「デジタルカメラ マガジン」誌に〈酒場の場景〉を連載中である。

著書に、「下町小僧」「東京酒場漂流記」「日本フォーク私的大全」「東京の江戸を遊ぶ」「ぼくらは下町探検隊」「東京路地裏暮景色」(以上ちくま文庫)、「酒(しゅ)にまじわれば」(文春文庫)、「なぜ犬は『ポチ』なのか?」(PHP研究所)、「絶滅食堂で逢いましょう・その壱」「絶滅食堂で逢いましょう・その弐」(徳間書店)、「相談底なし沼」(コアマガジン)、「なぎら健壱の東京自転車」(作品社)、「五つの赤い風船とフォークの時代」(アイノア)、「町の忘れもの」(ちくま新書)など多数。写真集では2005年「東京のこっちがわ」と 2006年「町のうしろ姿」(岳陽舎)を発表。