管野千代子写真展「飯舘村の暮らし」から(ニコンサロンbis新宿)



作者と飯舘村との出会いは、仕事を通じてであった。作者は村民の優しい心遣いに触れ、高冷地でありながらも、村民一体となって村づくりに励む姿や、飾らない自然の中に、日本の原風景を見、大変魅力を感じた。

これからもっと撮り続けようとした矢先、東京電力福島原子力発電所の事故で、飯舘村は全村警戒区域となり、作者も村外に避難し、撮影は終わった。僅か半年余りの期間ではあったが、世話になった村の人たちが村を離れていったことを思うと、作者は胸が痛んだ。

原発事故は平穏な村の暮らしを一気に全て奪い去った。子供たちの喜々とした川遊び、のんびりと牧場で草を食む牛、馬。冬の厳しさに負けず元気に暮らす人々。このような光景が見られなくなったのは残念でならない。そして、笑顔の中に、突然村の暮らしを奪われてしまった憤り、怒り、悲しみ、不安、寂しさが見えてくる。

作者は、村の人たちの元気で素朴な笑顔が見たくて、「その後」の撮影を再開した。いつの日か飯舘村の人々の、心の底からの笑顔が見られる日が来ることを信じて。

本展は、一部「震災前」、二部「その後」の2部構成で作品を展示する。カラー40点。

(写真展情報より)


  • 名称:管野千代子写真展「飯舘村の暮らし」から
  • 会場:ニコンサロンbis新宿
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • 会期:2012年11月6日〜2012年11月12日
  • 時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休

(本誌:折本幸治)

2012/10/23 00:00