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【CP+】カメラ愛好者向けPCを展示したマウスコンピューター

取り込みから現像までを高速処理 出張カラーマッチングサービスも

2月12日よりパシフィコ横浜で開催されているCP+2015。カメラ関連メーカーが一堂に集結する展示会だ。そこに最近、スティックPCなど、個性的なPCを発売するなどして多くの注目を集めているPCメーカーであるマウスコンピューターが出展。

カメラ愛好者向けに特化した仕様となるデスクトップPCを展示するとともに、古いPCと比べたときのRAW現像のスピードなどをデモなどが体感できた。

オープン初日の午前中にもかかわらず、ブースには多くの方が訪れていた

展示のメインとなっているのは、CP+2015に先立つ2月10日に発表した「MDV For Photo」シリーズのデスクトップPCだ。2015年に企画しているクリエーター向けPCの第一弾として、フォトグラファー向けのPCを提案。非常に容量の大きな写真データの転送や保存、レタッチの速さ、そしてカラーマッチングなど、写真を扱う上で重要な要素にフォーカス。写真を扱う上でのさまざまな煩わしさから解放するための仕様となっているという。

ブース中央に設置されていた最上位モデルの「X99-7モデル MDV-QX700S-DP」ではプロセッサに6コアで動作するCore i7-5820Kを採用。64GBのメモリ(DDR4 PC4-17000・8GB×8)と、3TBのHDDを搭載し、グラフィクスにはNVIDIA社のQuadro K220を採用するなど、ハイエンドな構成となっていた。

ハードウエア構成などを担当するマウスコンピューターの森裕貴氏と最上位モデルの「MDV-QX700S-DP」。
ミドルクラスとなるクアッドコア動作のCore i7とGeForce GTX750を採用したモデルのデモも用意。

同製品のハードウエア構成などを担当したのがマウスコンピューターの森裕貴氏によると

「高画質写真のレタッチには高いCPUパワーを求められます。なので、最上位クアッドコアよりも処理性能が高いオクタコア(6コア)のCPUを選びました。また写真を保存する、HDDもこのシリーズなら、容量のカスタマイズも可能。最大6TBまで内蔵できるほか、リムーバブル(脱着式)や外付けのソリューションも用意しています」

とのこと。

さらにストレスなく写真を取り込めるよう、USB 3.0の高速カードリーダーと、USB 3.0インターフェイスを本体前面に装備。撮影した写真をより短時間で取り込むことができるのだ。

PC本体のフロントベイにはUSB3.0接続のカードリーダーなどを配置。メモリから素早くデータを転送できる。
上位2モデルでは独立型グラフィックスを採用。特に最上位モデルではクリエーター向けのNVIDIA Quadroを搭載している。

「カメラ好きの方には、カメラには非常に詳しいものの、古いPCをそのまま使っている方が少なくありません。そういった方に向けて企画しました」(森氏)

そこで早速、RAW現像速度を比較するデモを見させてもらった。対戦するのは約3年前のノートPCを想定したという同社の「Luvbook-S210」。プロセッサに「Core i3-2350Mを採用し、4GBメモリを搭載。HDDは500GBでグラフィックスにはCPU内蔵機能を採用している。

キヤノンEOS 50Dで撮影したという20枚のRAW画像を「Adobe Photoshop Lightroom」で選択し、現像(JPEG書き出し)をスタートする。「X99-7モデル MDV-QX700S-DP」ではスタートして数秒ですでに1枚、2枚と現像が完了、わずか23.5秒で20枚のRAW現像ができた。それに対して古いノートPCでは20枚のRAW現像が完了するのに2分以上かかった。この処理速度の差が毎日のレタッチ作業の時間短縮に繋がるのだ。

ノートPCと比較したデモ。毎日の積み重ねを考えるとこの時間差は非常に大きい。

本体のパーツ構成以外でも、「MDV For Photo」には写真向けとしてさまざまな提案が懲り込まれている。まず、写真愛好者なら多くの方が使っているAdobe Photoshop Lightroom 5をプリインストール。RAW画像の現像や写真の加工などをより手軽に行うことができる。

さらに写真を本気で追求するうえで避けて通れないのが、ディスプレイやプリンターとのカラーマッチングだ。「MDV For Photo」シリーズでは、ハードウエアキャリブレーションに対応し、Adobe RGB色域を99%サポートする液晶ディスプレイ「EIZO CX241-CNX」や、キヤノンの写真向けインクジェットプリンター「PIXUS PRO-10S」などを組み合わせたセットを用意。出張での初期設定やカラーマッチングサービスなども用意しているという。

EIZOのブースにも「MDV For Photo」とのセットの「EIZO CX241-CNX」が設置。ハードウエアキャリブレーション用のセンサーも付属するという。

「MDV For Photo」3グレードのCPUを採用し、計6モデルの基本構成を用意している。最上位モデルである「X99-7モデル」は上記構成で本体価格は37万900円。標準的な構成といえるクアッドコア動作の「Core i7-4790K」を採用した「Z97-i7」モデルはグラフィックス機能にNVIDIA社の「Geforce GTX750」を採用し17万9000円から選択可能。最もコストパフォーマンスの高い「Z97-i5モデル」では、CPUに「Core i5-4460」を採用。12万9000円から選択できる。

ディスプレイ&プリンターセットモデルは2モデル用意。クアッドコアの「Core i7-4790K」とNVIDIA「Gefoce GTX750」を搭載する「MDV-GZ7000S-DP-PP」が42万9000円、6コアの「Core i7-5820KとNVIDIA「Quadro K620」を搭載する「MDV-QX7000B-DP-PP」が47万9000円だ。これらディスプレイ&プリンターセットでは前述の液晶ディスプレイやインクジェットプリンターのほか、CX241 用遮光フード「CH7」や色評価用蛍光灯スタンド「Z-208-EIZO」なども付属。環境光に左右されないカラーマッチング環境が手軽に入手でできる。

この「MDV For Photo」シリーズはすべて長野県にある飯山工場で生産、出荷されるという。また、マウスコンピューターではサービスセンターを埼玉に、コールセンターを沖縄に構えるなど、すべて日本国内で一貫してサービスを展開しているという。

ブースに用意されている「MDV For Photo」PCでは、実際に手持ちの写真を使ってRAW現像やレタッチを試してみることもできる。

(コヤマタカヒロ)