バッファロー「おもいでばこ」に無線LAN対応の新モデル

〜「フォト蔵」やエプソン製プリンターとの連携も

 バッファローは、HDDを搭載したデジタルフォトアルバム「おもいでばこ」の新製品「PD-100S」(500GB)を11月下旬に、大容量モデル「PD-100S-L」(1TB)を12月中旬に発売する。いずれも価格はオープンプライス。店頭予想価格はPD-100Sが2万2,800円前後、PD-100S-Lが2万7,800円前後の見込み。

おもいでばこPD-100S

 2011年11月に発売した「おもいでばこPD-100」に続くモデル。新たに写真共有サイト「フォト蔵」との連携機能を搭載したほか、付属のUSB Wi-Fiアダプターを用いた無線LAN接続でのプリントや画像転送に対応した。

本体前面にSDカードを挿入し、ボタンひとつで取り込める点をアピール無線LAN経由での取り込みが可能
「フォト蔵」にアップロードした写真をおもいでばこから表示しているところEPSON iPrint対応プリンターとの連携もアピールする

 本体サイズは230×35×155mm。重量は約600g。リモコン、Wi-Fiアダプターなどが付属する。

付属のリモコンiOS/Android端末を専用アプリでリモコン化することもできる

デジタル写真も「残す」楽しみを

 15日に行なわれた新商品発表会では、まずバッファロー取締役 事業統括本部長 渡邊泰治氏が事業展開について説明した。

バッファロー取締役 事業統括本部長の渡邊泰治氏

 昨今のスマートフォンユーザーの増加により、パソコン関連製品を手がける同社においてもパソコンユーザー以外にもわかりやすい商品が求められるようになってきたという。例としてNASを挙げ、その便利さを伝えても、その使い方や便利なイメージが伝わりにくいのだという。

 そこで、エンドユーザーのライフスタイルにフォーカスした商品コンセプトを立ち上げようと考え、第一弾として「写真を撮る人」のライフスタイルにフォーカスしたのが2011年11月に発売した初代「おもいでばこ」だという。

 近年ではデジタルカメラの普及によりカメラの台数が伸びており、それに付随してスマートフォンや携帯ゲーム機など、多様な「撮るデバイス」が存在しているという。デジタル写真は低コストのため、1,000枚以上のデジタル写真を持っている人が全体の4割にのぼると統計を示した。

同社の商品コンセプトカメラ搭載機種の増加に付随して撮影枚数も増えているとした

 一方で写真の活用はSNS投稿、メール送信、デバイス本体で見るなど、「将来のために残す」という楽しみ方が少なくなってきていると語る。参考資料として、65%のユーザーが写真を撮った機器でそのまま見ていると渡邊氏は示した。

 また、撮影枚数が増加していることから「撮った写真が見つからない経験あり」というデジカメユーザーが4割にのぼり「見たい時に見られるような整理は一般ユーザーには難しい」と分析する。加えて「家族で写真を振り返る機会も(かつてより)減ったのではないか、と述べた。

撮影画像の楽しみ方が変わっていると説明撮影端末でそのまま見るユーザーが多いとした
撮影画像を発見できないユーザーが増えている

 最初のおもいでばこは「デジタル時代の家族のアルバム」として、デジタルのアルバムができないかというコンセプトのもと2011年11月に発売。渡邊氏自身も家庭で使用し、撮ったけど見ていなかった写真の存在に気づいたと話した。

かつては家族でアルバムを見る機会があったおもいでばこはデジタル時代に即したデジタルフォトアルバム
デジタルにおいてもアルバムやフォトフレームの潜在需要が見込まれる

 渡邊氏は、「忙しい時間を過ごす中、写真の整理はおもいでばこに任せて、家族のために時間を使ってほしい」と締めくくった。

家族のコミュニケーションツールを目指す

 続いて、バッファロー グローバルプロダクトマーケティング部 次長の富山強氏が製品詳細を説明した。

バッファロー グローバルプロダクトマーケティング部 次長の富山強氏

 おもいでばこは「写真を通した家族のコミュニケーションツール」として開発。それに求められる条件として、おもいでばこが特徴と謳う「操作が簡単」、「家族みんなで使える」、「写真や映像が簡単に見られる」、「文字や画面が大きくてみやすい」が調査結果の上位に挙がったとした。

デジタル写真を通じたコミュニケーションツールを目指した現代のコミュニケーションツールの要件に関する統計

 現在では家族がそれぞれに撮影デバイスを持っており、データの場所もそれぞれで「おもいで迷子」に陥っているとし、その写真を集めることで「家族の思い出になる」と強調した。おもいでばこは、SDメモリーカードを挿入し、ボタンを押すだけで取り込み・重複排除も行なう。またHDDの容量が許す限り、最大6万枚の画像管理に対応する。

1,600万画素カメラで撮影した場合、静止画なら最大6万枚、17Mbpsの動画なら最大57時間保存できると説明

 カレンダー表示、アルバム表示、タイムライン表示など、さまざまな閲覧方法で思い出を楽しむことができると説明。タイムライン表示は、子供の成長過程を振り返るのに向くとしていた。

カレンダー表示タイムライン表示
アルバム表示

 また、おもいでばこに保存した中からお気に入りの写真は、専用アプリをインストールしたスマートフォンなどに書き出すことができる。スマートフォンへの画像転送をパソコン不要で行なえる点をアピールした。加えて専用アプリはおもいでばこのリモコンとしても機能し、コメント入力をスマートフォンの文字入力機能で行なえると説明した。

 動画再生や、無線LAN機能を使ったプリントにも対応。EP-905F、EP-905A、EP-805A/AR/AW、EP-775A/AW、PX-435A、EP-4004など、EPSON iPrintに対応したインクジェットプリンターと連携する。

スマートフォンへの書き出しに対応ネットワーク印刷にも対応した

 おもいでばこの用途として、写真を保存して両親などにプレゼントするという提案も行なった。発売済みの初代モデルが「(両親でも使えそうなほど)簡単だから」という理由でプレゼント用としたとの意見がユーザーアンケートに集まったのだという。

 そうした用途も想定し、新しいおもいでばこにはデジタルガレージの写真共有サービス「フォト蔵」にアップロードしたアルバムを、両親の家などに設置したおもいでばこにリアルタイムで送れる「ネットアルバム」機能も搭載した。再生時にはフォト蔵へのアップロード時に入力したコメントも表示されるほか、GPSデータの付いた写真はマップも表示する。

フォト蔵と連携

 ほかにも保存した写真を楽しむ要素として「おもいで散策」をホーム画面に用意。保存された画像の中からランダムでプッシュ表示を行なう機能で、選択するとその画像に関連すると見られる画像を一覧表示することができる。

ホーム画面に「おもいで散策」を表示前後の撮影日など、関連画像を表示

 また、バックアップ機能もアピールした。背面にUSB接続の外付けHDDを繋ぐと、設定不要で自動的にバックアップを作成するという。

 今後の計画として、スマートフォン用の「写真コレクションアプリ」の提供予定があるとしていた。

従来モデルとの比較。新モデルが容量に関わらず最大6万枚保存となっているのは、データベース的な上限によるものという各種連携アプリの予告を行なった

ゲストが撮影・管理のコツを紹介

 発表会の最後に、写真家の三井公一氏とデジタル写真整理術専門家の内川功一朗氏を招き、「おもいでの上手な残し方」、「写真を使ったコミュニケーション・楽しみ方」のトークセッションを実施した。

写真家の三井公一氏デジタル写真整理術専門家の内川功一朗氏

 iPhoneで撮影・編集した作品を発表している三井氏は、自身が実際にiPhoneなどで撮影した写真を例に、スマートフォンを用いた撮影のポイントを紹介。スマートフォンならではの「毎日必ず持っている」、「ネコに警戒されない」、「撮影場所が地図でわかる」、「狭い場所に手を入れて撮れる」などといったポイントを紹介した。

iPhone 4Sで撮影したという多摩川の写真。「天気の変わり目はいい写真を撮れる。雲が川面に写って味わい深くなっている」と紹介猫は声をかけてから近づき、手なずけた後にそっとスマートフォンを取り出して撮影するという。一眼レフより警戒されにくく、そのネコとどこで会ったかを地図で振り返ることができるのもポイントという

 また、おもいでばこで楽しむための撮り方のコツも紹介した。iPhoneでは意識して縦位置で撮影するという三井氏だが、テレビで見る場合は横位置で撮ると画面をフルに使えて迫力があるとした。ものを入れすぎず構成をシンプルにし、大胆な構図で撮るとテレビとの相性が良いのでは、と話した。

 写真家という仕事柄、普段はMacで目を三角にして写真を見ているという三井氏も、おもいでばこに保存した画像を足を投げ出しながらテレビで見ていると、普段と違って自分の写真を楽しめるという発見があったという。

 内川氏は、おもいでばこの設置例を紹介。大画面テレビのすき間に収まるのがポイントとした。自身はパソコン上で日付ベースのフォルダ管理をしているが、主婦にとってはSDカードをパソコンに差し込んで取り込むことすら「面倒」とされるため、SDカードを入れてボタンを押すだけで内川氏の管理方法と同等のことができる同製品を「何もしていないが、整理されている」と評価した。

内川氏のおもいでばこ設置例普段は画像をパソコン上でフォルダ整理しているという

 また、「記憶は整理してはじめて記録になる」とし、コンピュータの保存データは無機質だが、写真を人間が見ると撮影した時の記憶を呼び起こし、結びつける力を持っていると説明。「だからおもいでばこは面白い」と締めくくった。




(本誌:鈴木誠)

2012/11/15 18:25