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HOYAとリコー、ペンタックスブランドの譲渡について会見

〜リコーはレンズ交換式カメラに注力、ペンタックスブランドは維持

 HOYA株式会社と株式会社リコーは1日、HOYAが持つペンタックスブランドのカメラなどをリコーが買収することについて都内で記者会見を行なった。

リコー代表取締役社長執行役員の近藤史朗氏(左)とHOYA代表執行役最高経営責任者の鈴木洋氏(右)

 既報の通り、10月1日付けでPENTAXイメージング・システム事業が手がけているデジタルカメラ、交換レンズ、デジタルカメラアクセサリー、セキュリティカメラ関連製品、双眼鏡など光学製品の開発、製造、販売事業をリコーが買収する。買収金額は非公開で、今後も開示の予定はない。

 譲渡後もペンタックスブランドは維持する。またペンタックス、リコー両ブランドの現行ラインナップは当面維持していくという。

 今回の買収の概要については、「リコー、HOYAからペンタックスのデジタルカメラ事業を買収」を参照されたい。ここでは記者会見の模様をお伝えする。

HOYA社長「リコーならしっかりペンタックスを受け継いでもらえる」

 会見は、HOYA代表執行役最高経営責任者の鈴木洋氏の挨拶で始まった。

 鈴木氏は、「ペンタックスと統合して3年半経った。カメラ事業と付き合わせてもらってそれなりに苦労したが、今思えばしっかりした事業ができた。1つの区切りが付いたので、リコーにバトンタッチすることにした。ペンタックスは長い歴史を持ち、強烈なファンを持っている。リコーはカメラを真剣に捉えており、しっかり受け継いでもらえると思ってリコーに渡すことを決断した。ある意味ほっとしているのも本心だが、大事な事業なので大切に育てていって欲しい。リコーとの話がまとまって嬉しい」と背景を話した。

 また鈴木氏は、カメラ業界では再編が続いていくべきだと指摘。今回の案件がその先駆けになるのではないかとした。

 今回の譲渡がペンタックスを買収した当時(2008年3月)からの考えだったのか? との問いには、「当時からある程度は、何らかの形で我々が持っていないほうが望ましいと思っていた。そのときリコーを想定していたわけではなかったが、ある一定期間の後に単独ではなく別の形を模索する考えはあった。リーマンショックがあり予定通りではなかったが、大きくは当初の考えにあったもの」(鈴木氏)と答えた。

 なおHOYAは今後、光学技術を使った医療分野に注力するという。「半導体関連なども継続的にやっていくが、レンズや画像処理などを医療分野で応用するビジネスを拡大させていく」(鈴木氏)。

リコー社長「レンズ交換式カメラで世界に伍していく」

 続いてリコー代表取締役社長執行役員の近藤史朗氏が、買収の詳細を説明した。

 近藤氏は、「両社は同じプロダクトブランドを異なる事業領域で持つことになる。これはユニークなこと。カメラ事業にお嫁に来ていただいた感じになる。ペンタックスブランドの価値を高めるためにHOYAと協力していく。新しい未来を創造していく機会を得られたことは大変幸運。今後も期待して欲しい」と挨拶した。

 ペンタックスのカメラ事業を買収したのは、リコーとしてコンシューマー事業の強化が最大の課題だと考えていたためだという。「長年の課題。今後のビジネス環境を考えると避けて通れない。ネットワークの進展で、オフィスとホームに垣根が無くなる。コンシューマー事業で確たる基礎を築きたい。その第一歩になる。リコーの事業戦略と方向性は一致している」(近藤氏)。

HOYAとリコーは、同じ“ペンタックス”のブランドを異なる事業領域で使用する

 リコーが目指すのは、ペンタックスとリコーブランドの単なるシナジー創出ではないとする。「リコーらしい、ペンタックスらしいデジタルカメラの戦い方を求めていく。特にレンズ交換式カメラを強化し、世界と伍して戦える会社にしたい。交換レンズも増やす。カメラに関しては両社とも大変こだわりを持っている。どう活かしていくかは今後考えていく」(近藤氏)とした。一方で、HOYAが持つ硝材などリコーで活かせるものは使用する。「両社が持っている強い事業スタンスが活きるようなものを作るべき。それが成長に繋がる」(近藤氏)とした。

 リコーが、レンズ交換式にこだわる理由を近藤氏は、「写真本来の楽しみ方はレンズ交換式カメラに集中していくと考えている。その中で二極化していくだろう」と話した。

 今後の具体的な製品プランについては明言を避けた近藤氏だが、すでにペンタックスが発表している「645D」を用いたイメージアーカイブ事業なども展開していく。「国内の図書館から大きな引き合いがペンタックスに来ている。中判デジタルカメラは、大変優秀な情報量を持っていると評価している」(近藤氏)。

中判デジタル一眼レフカメラ「645D」を用いたアーカイブシステム。国会図書館で採用されているという(PHOTONEXT 2011のペンタックスブースで)

 なお、リコーがペンタックスブランドを使用することに付いて、両社で金銭のやり取りは発生しない。

 PENTAXイメージング・システム事業を収める新会社では、カメラのほかにもオンラインストレージなどのプラットフォームを利用した新しい事業も考えているという。プロジェクターと合わせたデジタルサイネージなども構想にあるとしている。「(将来的には)新会社の中にそういったいくつかの事業部ができるイメージ」(近藤氏)。

 新会社をリコーに吸収することは考えていないという。「ペンタックスの強みを毀損しないために、完全子会社として事業を運営する」(近藤氏)。なおリコーのデジタルカメラ事業も、新会社に移管していくとする。新会社のトップについては未定だとするが、「コンシューマー事業に精通した人材を選びたい」(近藤氏)と説明した。

 ペンタックスの今後については、「現在は短期的には非常によい状態であると評価している。リストラもすでに進んでいる。今の645D、K-5、K-rが世界中でしっかり収益を上げている。3年後には1,000億円を超える事業にしていきたい。価値の高いものを提供し、ブランドを愛してくれるユーザーを世界に作っていく。価格管理もしっかりやっていく。今のリコーと同じように、値崩れを起こさないような方針で運営していく」(近藤氏)と抱負を述べた。

 「1,000億円の内訳はまだイメージできていない」(近藤氏)というが、鈴木氏によるとペンタックスの現状はレンズ交換式デジタルカメラが売上の半分を占めているという。

話し合いは2年前から

 製品についても、「ペンタックスのレンズ、絵作り、メカ設計などを実際に評価し、世界に誇れる技術だと確信している。リコーがそれをしっかりサポートしていく。事業チャンスがあれば、研究開発費もこれまで以上に投資する。大手2社(キヤノンとニコン)と同じものを作ることは全くないし、チャレンジャーとして挑戦できるところまでやっていく。ペンタックスは本当にいいカメラを作っているが、なぜか2社に追いつけていない。いつまでも2社じゃないだろうと思っている」(近藤氏)と話した。

 ペンタックスが保有するマウントについては、645、K、Qのいずれも存続させる。「マウントは重要な資産。中判にはそれでしかできないことがあり、QならQでしかできない楽しみ方がある。それを提供していく」とした。GXRについては、「今日は答えを持っていないので、勘弁して欲しい」と明言しなかった。

今回HOYAが譲渡するペンタックスブランドの製品 リコーのカメラ製品

 近藤氏は、製品ラインナップ上は「両ブランドで競合はほとんど無い」とするが、リコーのデジタルカメラ事業は見直しが必要であることも明らかにした。「ペンタックスと重複する部分については、考えていかなければならない」(近藤氏)。また近藤氏は、「リコーのカメラは、凄くこだわっているカメラ好きのメンバーが作っており、好きなものしか作らない。もう少し、ビジネスにしなければならないと思っている」とも述べた。

 今回の案件については、「歴史のある話し。2年ほど前に私が鈴木社長に会いたいといってカメラ事業の話しをさせてもらった。『こんなものを作って欲しいよね』という話しをした」(近藤氏)。このときの“こんなもの”とは、「PENTAX Q」のようなものだったとのこと。近藤氏は、「PENTAX Qはいいカメラ。さすがに小さいものを作る技術があると感心した」と評価した。

PENTAX Q

 買収のタイミングに関しては、「結婚と同じ。双方の状況がよいタイミングでないとそれに至らない。HOYAの中でしっかりとペンタックスが利益を出せるところに来ている。新しいミラーレスカメラ(Qのこと)が出るタイミングであるし、持参金を持ってきてもらったったようなものと考えている」(近藤氏)とした。ただ、Qの完成を待っていて今になったわけではないという。

会場には多くの報道陣が詰めかけた



(本誌:武石修)

2011/7/1 20:21