キタムラ、写真プリントとの関わり方をアドバイスする「思い出マイスター」制度を開始
キタムラは25日、写真プリントを通して顧客の思い出作りをサポートする「思い出マイスター」制度を開始すると発表した。
店舗サービスの充実を目的とした制度。思い出マイスターは「写真を通した思い出づくりのスペシャリスト」と位置付けられ、「カメラのキタムラ」店頭での接客において、写真撮影やプリントのサポートに加え、写真整理術や写真プリントの具体的な解決策およびアドバイスなどについてもカバーする。
キタムラ代表取締役会長兼CEOの北村正志氏(左)と、タレントの辻希美さん(右) | 思い出マイスターとなる店舗スタッフの認定式を実施 |
具体的には、従来の小売業的な接客スタイルではなく、キタムラが提供するフォトブックやプリントサービスなどの各種商品・サービスから、顧客ニーズに沿った商品の提供をアドバイスする役割を担う。
思い出マイスターはキタムラの店舗スタッフを対象とし、キタムラ社内で定めた育成プログラムを完了することで認定する。2010年度末までに、全国のキタムラ1,000店に各1名の思い出マイスターの誕生を目指すという。
また、制度の導入に先駆け、日本橋店と玉川高島屋店から、各1名の店舗スタッフを先行モデルとして認定した。
思い出マイスターの「思い出づくり」に関する指導を担当したのは、成城大学社会イノベーション学部教授の野島久雄氏。キタムラは同日、野島氏を所長として、思い出と写真の関係性について調査・分析・考察し、社会へ情報を発信するための研究機関「思い出づくり研究所」の発足も発表した。
■写真は自分と娘の成長の軌跡
同日都内で開催した発表会では、タレント・歌手の辻希美さんと、野島氏によるトークショーを実施。辻さんは写真と思い出について問われると、「写真は、以前にこういうことがあった、と振り返れることのほかに、憶えてないことも思い出させてくれるところがすごいものだなと思います」と話した。
また、自身のブログについても言及。自分のことよりも、愛娘のことを中心に記録しているという。「ブログには毎回必ず写真を載せているのですが、去年出したブログ本でそれまでの写真を一度に見ると、自分や娘の成長が実感できました。これはブログを見てくれている方のためでもあり、自分のためでもあり、娘のためでもありますし、将来娘が見たら嬉しいものだと思いますので、何かの区切りにはまた本を出したいと思います」と語った。
辻希美さん | 辻さんと野島氏のトークショーを実施 |
辻さんは北村会長から「思い出づくり大使」に任命された |
野島氏は、記録を本にまとめることについて「写真は撮っていくうちに、どこまでがひとつの区切りなのかがわかりづらくなってくるものです。ですから、本にまとめてみるという手段は、記憶のパッケージ化という面から、思い出の手掛かりとして非常によいことをされていると思います。誰のため、というゴールがはっきりしていると、作り方もはっきりしてきますね」とコメントした。
辻さんは最後に「思い出とは『成長』だと思います。写真に間違いはないと思いますし、私にとって写真を撮ることは日常なので、一生続けていくと思います」と語り、トークショーを締めくくった。
■思い出とは「始まりがあり、終わりがある一つのパッケージ」
野島氏は、「思い出」に関する考え方と、「思い出と写真」に関する調査結果を発表した。
野島氏は“思い出”を「本人が残さなければ保存されない、記録や記憶をつなぎ合わせて自分自身が作り出す物語」と定義。「体験」や「体験の記憶」そのものではなく、断片的な記憶をつなぎ合わせた「始まりがあり、終わりがある一つのパッケージ」とした。具体的には「それ単体では意味をなさない写真、出会い、文章、お土産などからなるストーリーであり、個人が残し、管理し、楽しむための情報コンテンツ」とした。
成城大学社会イノベーション学部教授の野島久雄氏 | 思い出の定義 |
また同氏は、「管理しきれない量の情報や物と、個々の記憶の断片を記録しておくための媒体が10年後、50年後に利用できるか疑わしい」と、現在のメディアの信頼性について言及。デジタルカメラで撮影したデータついて、将来性に対する危惧を述べるとともに、紙媒体の寿命の長さを改めて紹介した。また、思い出を残すメディアとしては静止画である写真を推奨。動画やスライドショーに対し、コミュニケーションを阻害しない点、手軽に扱える点などを根拠として挙げた。
あわせて、思い出を残すメディアとして写真を推奨した。その根拠として、静止画であることからコミュニケーションを阻害しない点、手軽に扱える点、加工や編集により思い出をパワーアップできるという点を挙げた。
記録・記憶・思い出の違い | 思い出が残らない可能性を「思い出の危機」と表現 |
思い出を残し、活用するための取り組みを「思い出工学」と位置付ける | 記録媒体の推定寿命比較 |
写真は、情報の受け手側のコミュニケーション性に優れる |
「思い出と写真」に関する調査結果では、多くの人にとって思い出は大切であり、その記録媒体として写真が選ばれていることを発表した。また、半数近くの調査対象者が「忘れていた過去の出来事や記憶がよみがえるきっかけとなったもの」として写真を挙げたという結果も示した。
調査概要 | 「思い出は大切」とする人が86.8%を占める |
写真の枚数は女性の方が多い傾向がある | 思い出を何らかの形で残している人は61.6% |
思い出を映像(動画)で残している人は全体の10.3%にとどまる | 写真を撮るのが好きな人は全体の74% |
47.5%の人が「写真」について、思い出を再生するきっかけになるものと回答した |
2010/5/26 00:00