2008年のタッチパネル世界市場は3割増

~富士経済市場調査より

 富士経済は25日、2008年のタッチパネルとその構成部材における世界市場についての調査結果を発表した。2009年7月~9月に対象企業および関連企業、関連団体などへのヒアリング調査を実施し、集計したもの。

 2008年のタッチパネルの市場は、数量ベースで2億3,980万枚(前年比31.9%増、以下同)、金額ベースで1,225億円(31.6%増)となった。アップルの「iPhone」のヒットを契機に市場は急拡大し、iPhoneが採用した投影型静電容量式は、数量、金額ともに前年比3倍以上の成長となった。景気後退下にある2009年も同程度の成長率を見込んでおり、2013年には数量で6億枚近く、金額も3,000億円に近い市場規模を予想する。

 用途別では携帯電話とスマートフォン用が過半数を占め、ポータブルゲーム機用が続く。ノートパソコンやデジタルカメラにも搭載の機運が高まっており、ノートパソコンにおいては10月に発売となる「Windows 7」がマルチタッチ(多点検知)に対応しているため、投影型静電容量式の急成長を見込む。ノートパソコンへの2008年時点の搭載率は全体の0.5%に過ぎないが、2013年には23.5%までの拡大を予測している。

 タッチパネルを構成する部材の市場は741億円(前年比3.8%増)。電極基板に使用される透明導電性ガラスとITO(酸化インジウムスズ)フィルムの市場規模が大きく、これらで部材市場のおよそ半分を占める。2013年には1,200億円以上の市場規模を見込む。

 ITOフィルムの市場は236億円(13.5%増)。投影型静電容量式タッチパネルでは、これまで透明導電性ガラスが主流であったものの、今後はコストダウンや搭載機器の軽薄化において有利なITOフィルムの採用も増えると見られる。しかし、低抵抗、色調などの面では透明導電性ガラスが優位にあり、富士経済では用途による棲み分けがなされていくと考えている。

 タッチパネルを粘着する際に用いる粘着テープの市場は21億円(前年比10.5%増)。抵抗膜式用、静電容量式用ともメーカーの新規参入が相次ぎ価格競争が激化しており、数量比では前年を上回ったものの、金額比は下回った。今後も粘着テープの需要は増える見通しだが、さらなる競争による価格の下落に拍車が掛かる可能性もあるとしている。

 抵抗膜式タッチパネルは、ポータブルゲーム機、デジタルカメラ、カーナビなどに採用。原理が単純なため低コストで生産でき、ペン入力も可能。

 静電容量式タッチパネルは、携帯電話、スマートフォンでの採用が大半。指以外での入力はできないものの、マルチタッチに対応する。



(本誌:鈴木誠)

2009/9/25 17:33