デジカメ Watch

キヤノンPowerShot G10【第3回】
テレコンを使ってみた

Reported by 本誌:武石 修


テレコンバーターを装着したPowerShot G10
 PowerShot G10といえば、ほかの高級コンパクトデジタルカメラと同様にさまざまな純正アクセサリーが用意されており、拡張性の高さがウリの1つになっている。そのなかで今回は、テレコンバーター「TC-DC58D」(1万3,650円)を試してみた。

 TC-DC58Dは焦点距離を1.4倍にできるテレコンバーターで、望遠端でのみ使用できる。広角側にズームするとケラレが出てしまうためだ。PowerShot G10のテレ端の焦点距離は35mm判換算で140mm。テレコンバーターの装着で196mm相当になる。前モデルのPowerShot G9は望遠端が210mmだったので、PowerShot G10+テレコンでもやや及ばないのだが、広角端が35mmから28mmになったことを考えると、仕方のないところだろう。

 テレコンを装着するにはコンバージョンレンズアダプター「LA-DC58K」(3,675円)が必要だ。テレコン自体の取付け径は58mmでPowerShot G9と同じだが、テレコンとコンバージョンレンズアダプターはPowerShot G10専用品になってしまったので、PowerShot G9ユーザーは新たに買い直す必要がある。この手のテレコンバーターの例に漏れず、装着すると一気に巨大化してしまうのは難点だが、エントリークラスのデジタル一眼レフカメラを考えれば、まだ小型軽量といえる。


テレコンバーター「TC-DC58D」 コンバージョンレンズアダプター「LA-DC58K」

レンズのリングを外して、コンバージョンレンズアダプターを装着する テレコンバーターを装着したところ。重量バランスは前寄りになるが、ボディにグリップがあるので持ちにくいことはない

テレコンを使用する場合は、メニューで[コンバータ]を「TC-DC58D」に設定しておく テレコン装着時の重量は563g(バッテリーとメモリーカードも含む)。テレコン+アダプターの重さは実測で173gだった

●テレコンの装着例




 カメラへの装着は、レンズ部分のリングを外しコンバージョンレンズアダプターを取付けた後で、テレコンをねじ込めばよい。ただ、このときカメラ側でテレコンを使用する設定にしておかなければならない。この設定は何のために必要なのかというと、手ブレ補正を適切に動かすためとのこと。歪曲収差に関しては特にテレコン用の補正は行なっていないようだ。テレコンを付けたり外したりして撮影するのに、毎回設定を変えないとならないのが面倒ではある。


TC-DC58Dには、コンバージョンレンズアダプターと一緒に収納できるポーチが付属する
 さて、テレコン使用時の画は作例をご覧いただきたいが、倍率を1.4倍に抑えているせいかほとんどテレコンなしの場合と変らない画質だ。テレコンの中には、像がアマくなってしまうものも見受けられる中、画質の劣化を心配せずに焦点距離を伸ばせるのはありがたい。

 ただ“1.4倍"だけに、大きな引き寄せ効果を期待するのは酷だ。少しでも大きく写したいという場合には有効ではあるのだが……。一方で、テレコンを使用することによる大きなボケ味を楽しむのもおもしろそうだ。PowerShot G10は絞り優先AEが可能なので、絞り開放(といっても望遠端なのでF4.5だが)にすれば結構ボケてくれる。

 ところで、PowerShot G9用にラインナップされていたワイドコンバージョンレンズは、PowerShot G10では無くなってしまった。PowerShot G9用のワイコンは焦点距離を0.75倍にできるタイプで、装着すれば26.25mm相当で撮影できた。PowerShot G10でも24mm相当くらいで撮影できるワイコンが用意されていれば、なおよかったと思う。

●作例
・作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。

テレコンありなしの比較

●遠景

 テレコンなしとありを比べても、ほとんど描写がアマくならないのがよい。


テレコンなし
4,416×3,312 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 30.5mm

テレコンあり
4,416×3,312 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 42.7mm


テレコンなし(広角端)
4,416×3,312 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 6mm


●歪曲収差

 テレコンを装着してもしなくても望遠端で歪曲収差は目立たない。また、周辺の流れも少ないように思う。広角端はややタル型の歪曲収差が出る。


テレコンなし
4,416×3,312 / 1/13秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 30.5mm

テレコンあり
4,416×3,312 / 1/13秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 42.7mm



テレコンなし(広角端)4,416×3,312 / 1/10秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 6mm


●ボケ味

 テレコンを装着すると、背景のビルが大きくボケる。また、遠近感も詰まって見える


テレコンなし
3,312×4,416 / 1/640秒 / F4.5 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 30.5mm

テレコンあり
3,312×4,416 / 1/640秒 / F4.5 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 42.7mm


テレコンを使用した作例

4,416×3,312 / 1/640秒 / F4.5 / +0.3EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 42.7mm

4,416×3,312 / 1/640秒 / F4.5 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 42.7mm


4,416×3,312 / 1/640秒 / F4.5 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 42.7mm

4,416×3,312 / 1/640秒 / F4.5 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 42.7mm


3,312×4,416 / 1/60秒 / F4.5 / 0EV / ISO80 / 絞り優先AE / WB:オート / 42.7mm



URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  バックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2009.htm#powershot_g10

関連記事
ハイエンドコンパクトデジカメを比較する(画質編)(2008/12/04)
ハイエンドコンパクトデジカメを比較する(ハードウェア編)(2008/12/03)
【伊達淳一のデジタルでいこう】キヤノン「PowerShot G10」(2008/11/27)
【新製品レビュー】キヤノン「PowerShot G10」(2008/10/30)



本誌:武石 修

2009/04/09 12:06
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2009 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.