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この春話題の「防水デジカメ」を比較する――機能・操作性編

Reported by 小山 安博

今回チェックした防水デジカメ。左上から時計回りにFinePix Z33WP、DMC-FT1、μTOUGH-6000、μTOUGH-8000、PowerShot D10、Optio W60

 ハウジングなしで水中での撮影が可能なデジタルカメラが花盛りだ。これまではオリンパスとペンタックスぐらいしかなかった防水デジカメだが、今春になって多くのメーカーが製品を投入。一気に選択肢が広がった。では、それぞれのカメラにはどんな特徴があるのだろうか。今回は機能と操作性を見てみよう。


防水デジカメの進化と歴史

 いわゆる防水デジカメというと、2001年11月登場のカシオ計算機「G.BROS. GV-10」が最初だろう。がっしりしたデザインで、当時の表記ではJIS保護等級6および7級の防水、同6級の防塵性能に、さらに耐衝撃性能も備えていた。2002年には後継機種のGV-20も登場している。

 GV-10はアウトドアを意識したボディデザインだったが、2003年初頭にはオリンパスの「μ-10 DIGITAL」が発売。「メタルボディで世界初の生活防水」という触れ込みで、普段の利用にも違和感のないデザインを実現した。

 同年6月にはソニーから「サイバーショットDSC-U60」が登場。水深1.5mまでの水中撮影に対応した防水・防塵カメラだった。水中でも撮影できる防水デジカメの端緒は、このDSC-U60といってもいいかもしれない。ただし、サイバーショットシリーズではその後防水デジカメは登場しておらず、今期もリリースはなかった。


初の防水デジカメとなったカシオの「G.BROS. GV-10」(2001年) メタルボディと生活防水をアピールしたオリンパス「μ-10 DIGITAL」(2003年) 単体で水没できるデジカメは、ソニーの「サイバーショットDSC-U60」が最初だ(2003年)

 2004年5月には、ペンタックスから「Optio 43WR」が発売された。これは水深1mで30分間放置できるというカメラだが、水中撮影には非対応。Optioシリーズはその後、2005年に「Optio WP」で水中撮影に対応。その後は順調にモデルを重ねてきており、現在の最新機種は2008年夏モデルの「Optio W60」だ。

 μ-10 DIGITALを出したオリンパスは、その後も生活防水対応のμ DIGITALシリーズをリリースしてきたが、2006年3月には本格的な水中撮影対応のデジカメをリリースした。「μ720SW」がそれで、水深3m、1.5mの落下に耐える耐衝撃性も備えたタフネス性能が特徴だった。


薄型なのに水中撮影が可能なペンタックス「Optio WP」(2005年) 対するオリンパスは「μ720SW」を投入。耐衝撃もアピールした(2006年)

 その後、オリンパスはμDIGITALの生活防水機能を省略することで、防水機能をμSWシリーズに1本化。μSWシリーズは順調に代を重ね、今期から製品名を「μTOUGH」と改称、最初のモデルとして「μTOUGH-8000」「μTOUGH-6000」の2製品がリリースされている。

 そしてこの春モデルでは、ペンタックスとオリンパスが得意とする防水デジカメの世界に、キヤノンが「PowerShot D10」、パナソニックが「LUMIX DMC-FT1」、富士フイルムが「FinePix Z33WP」をそれぞれ発表。一気に選択肢が増えた。

 ここで防水デジカメとは、基本的には「ハウジングなしで、カメラ単体で水中撮影できるコンシューマ向けカメラ」と定義している。水も入らないのだからホコリも入らないというわけで、標準規格に基づく防水・防塵性能を備えており、水中で一定時間撮影できるカメラを今回はとり上げている。


それぞれ特徴あるスペック

 まずは、それぞれの主なスペックを見比べてみよう。

  μTOUGH-8000 μTOUGH-6000 PowerShot D10 DMC-FT1 FinePix Z33WP Optio W60
メーカー オリンパス キヤノン パナソニック 富士フイルム ペンタックス
撮像素子 1/2.33型CCD 1/2.3型CCD 1/2.33型CCD 1/2.3型CCD 1/2.3型CCD
有効画素数 1,200万 1,000万 1,210万 1,210万 1,000万 1,000万
光学ズーム比 3.6倍 3倍 4.6倍 3倍 5倍
焦点距離
(35mm判換算)
28〜102mm 35〜105mm 28〜128mm 35〜105mm 28〜140mm
開放F値 F3.5〜5.1 F2.8〜4.9 F3.3〜5.9 F3.7〜4.2 F3.5〜5.5
光学手ブレ補正 CCDシフト レンズ内 レンズ内
対水深 10m 3m 10m 3m 3m 4m
水没時間 60分 (特に制限なし) 60分 (特に制限なし) 120分
耐落下衝撃(高さ) 2m 1.5m 1.22m 1.5m


 1,200万画素クラスと1,000万画素クラスに大別されるが、センサーサイズはほぼ同等で、画素数の多少によるメリットとデメリットがどうなっているかという点がポイントか。レンズは、35mm判換算で28mmスタートのレンズを搭載したのが4モデル。光学倍率は5倍のOptio W60、4.6倍のDMC-FT1が大きい。手ブレ補正は、FinePix Z33WPにはなく、Optio W60は電子式で、それ以外はCCDシフト/レンズ内での手ブレ補正を備えている。

 防水デジカメとして肝心の耐水深性能は、μTOUGH-8000とPowerShot D10が10mと深く、次いでOptio W60が4m、残りが3mとなっている。国際規格で表示すると、防水性能はすべてIPX8、防塵性能はDMC-FT1のみIP5Xで、それ以外はIP6Xとなっている。

 さらに耐衝撃性能を強化したモデルもあり、μTOUGH-8000が2m、μTOUGH-6000
が1.5mの落下試験をクリア。DMC-FT1も1.5m、PowerShot D10は1.22mの落下試験
をクリアしている。試験方法は、DMC-FT1とPowerShot D10が米国防総省の試験規
格に準拠しているとしているとしており、オリンパスは同規格をもとに作成した
同社品質規格に準拠した試験条件をクリアしたという。

  μTOUGH-8000 μTOUGH-6000 PowerShot D10 DMC-FT1 FinePix Z33WP Optio W60
メーカー オリンパス キヤノン パナソニック 富士フイルム ペンタックス
液晶モニター 2.7型
約23万ドット
2.5型
約23万ドット
2.7型
約23万ドット
2.7型
約23万ドット
2.5型
約23万ドット
記録メディア 内蔵45MB
xD
内蔵42MB
xD
SDHC 内蔵40MB
SDHC
内蔵50MB
SDHC
内蔵36.4MB
SDHC
幅(mm) 95.0 95.3 103.6 98.3 92.0 98.0
奥行き(mm) 21.5 22.4 48.8 23.0 20.6 24.5
高さ(mm) 61.7 63.4 66.9 63.1 59.6 55.5
重量(g) 182 149 190 163 110 125


 本体サイズを比べてみると、一見してコンパクトなのはFinePix Z33WP。続いてOptio W60、μTOUGH-6000、DMC-FT1と続く。液晶モニターの解像度はすべて23万ドットで、モデルによってわずかな差はあるが、大きな違いはない。


スノボグローブで操作性を検証

・μTOUGH-8000/6000

 μTOUGH-8000/6000はバリエーションモデルのため、機能としては近い。いずれも、画面をたたくことで撮影や再生などの操作ができる「タップコントロール」、画像処理で肌をなめらかにしたり、瞳を美しく補正する「ビューティーモード」「ビューティーメイク」などを搭載。


μTOUGH-8000(正面) μTOUGH-8000(背面)

μTOUGH-6000(正面) μTOUGH-6000(背面)

μTOUGH-8000/6000の操作部にほとんど違いはない

 μTOUGH-8000には水中検知センサーも搭載し、水中を検知すると液晶の明るさを自動調整し、シーンモード選択画面で水中用のモードが優先的に表示される。両モデルとも、水中スナップ、水中ワイド1、水中ワイド2、水中マクロの4つも水中用モードも備えている。


本体上部。わずかなデザインの違いはあるが、ほぼ同等


両モデルに搭載されているタップコントロール

雪山での利用を想定し、スノボグローブを付けて操作してみた。電源のオン/オフにちょっとコツが必要だが、通常の操作はおおむね問題ない


・PowerShot D10

 ごろっとしたボディが特徴のPowerShot D10。フロントカバーを自分で変更してイメージが変えられるので、その時のシーンや服装に合わせたコーディネートができるというのも特徴。さらに、ネックタイプ、ショルダータイプ、腰つりタイプと3種類のストラップが付属する。


PowerShot D10(正面) PowerShot D10(背面)

 撮影機能としては、カメラを向けるだけで18ものシーンに分類して最適な設定で撮影してくれる「こだわりオート」を備えるなど、同社のIXY DIGITALやPowerShotシリーズの新モデルに準じた機能を持つ。


全体的にボタンが大きいのが特徴。潜水艦をイメージしたというボディデザインもユニークだ


 PowerShotシリーズでは珍しく、ズームレバーではなくボタンを採用。ボディサイズに余裕があるため全体的にボタンは大きく、グローブを付けていても押しやすいのが特徴だ。


付属品は多い。これはフロントカバー。標準に加えて3種類のカバーが付属して付け替えられる こちらはソフトケース。ジッパーなどはなく、すっぽり入れられて手軽

ストラップはネックタイプ、ショルダータイプ、腰つりタイプの3種類が同梱される。取り外しも簡単。水中で使う場合は別のリストストラップを使う


腰つりタイプでの使用例 グローブを付けて操作。ボタンが大きく、予想通り操作しやすい。ただ、意外にシャッターボタンを押し込まないと半押し・全押しができないので、油断すると半押しが解除されてしまった

・DMC-FT1

 DMC-FT1は、同時発表の「LUMIX DMC-TZ7」と同じく、新しいハイビジョン動画規格「AVCHD Lite」に対応。720p/30fpsのHD動画撮影が可能だ。専用の動画ボタンでいつでも動画撮影ができ、撮影中の光学ズームにも対応し、LEDライト、動画時のおまかせ撮影機能も搭載する。


DMC-FT1(正面) DMC-FT1(背面)

 「個人認識」機能も搭載し、登録された顔を認識して、優先的にAFを合わせる。よく撮る人を自動登録する機能もあり、集合写真でも恋人や自分の子どもに優先的にピントが合う。AF枠には登録した名前が表示される機能も備えているほか、登録した顔だけが写っている写真を再生するということもできる。


従来のLUMIXシリーズとは異なる部分の多いボタン


個人認証の設定画面 思ったよりグローブを付けても操作しやすい。唯一ズームレバーを採用するが、凸部がグローブに引っかかるので楽にズームできる。その代わり、素手だとちょっと堅めで痛い

・FinePix Z33WP

 FinePix Z33WPは、とにかく軽量コンパクトで、ポップな外観が特徴。おまかせ機能である「シーンぴったりナビ」では6つのシーンを認識。顔検出機能を生かして、2つの顔が近づく距離でセルフタイマーを動作させる「恋するタイマー」や、顔を拡大しながら再生する「顔拡大スライドショー」を搭載している。


FinePix Z33WP(正面) FinePix Z33WP(背面)

 動画専用ボタンを備えており、640×480/30fpsのモノラル音声付き動画をいつでも録画できる。水中でも撮影することは可能だ。


ゴムで覆われたボタンが特徴的。配置も独特で、省スペースに上手く押し込んだという感じ


前面のロゴでも分かるとおり、FinePix Z33WPはデザイン上は縦にするのが基本 これだけコンパクトなのに、想像以上にボタンを押し間違えずに操作できた。素手で操作するとわずかに違和感を感じるゴムのボタンだが、グローブだと操作しやすい

・Optio W60

 Optio W60は、この中で唯一2008年発売のモデルだが、4mまでの耐水深、-10度までの低温動作、28mmスタートの光学5倍ズームなどスペック的には引けを取らない。おまかせ機能では、ポートレートやスポーツ、花など7つのシーンに対応する。


Optio W60(正面) Optio W60(背面)

 高速な顔検出機能に加え、笑顔を検出してシャッターを自 動で切る「スマイルキャッチ」機能も搭載。720p/15fpsのHD動画撮影機能では、水中での撮影にも対応。水中撮影に適した「マーメイドムービーモード」も搭載する。


あまり凹凸は多くないが、逆に普段使いでも違和感のないボタンデザイン


グローブを付けているときは、こういう持ち方だと誤操作を少なくできそうだ。また、ほかのモデルに比べてレンズが中央付近によっているので、グローブを付けていると指が入り込みやすい。ただしグローブをしているときは、程度の差こそあれどのカメラでも写り込みやすいので注意

機能・操作編のまとめ

 いずれのモデルもそれぞれ特徴があるが、基本的にはいずれもオートでの撮影を想定したモデル。今回テストした防水デジカメの利用状況を想定すれば、じっくりと設定を考えるというよりも、ヘビーな環境でいかに素早くきれいな写真を撮るか、というのがポイントになるだろう。

 全モデルともおまかせ撮影機能はあるが、水中を検知して水中用シーンモードを優先表示するμTOUGH-8000や、グローブを付けていても操作しやすい大型ボタンのPowerShot D10、1ボタンで動画撮影もできるDMC-FT1/FinePix Z33WPといったように、自分の用途を考えて操作性を検証するのも重要だ。

 今回はスキー場での利用を想定し、グローブを付けて操作してみたが、電源ボタンが小さい機種が多く、電源オン・オフに慣れが必要だった。その点、ボタンの大きいPowerShot D10は有利で、μTOUGH-8000とDMC-FT1も意外に簡単に電源オン・オフができた。それ以外は、電源ボタンとシャッターボタンが近いためのようだ。μTOUGHのタップコントロールもなかなか有効だった。

 よりハードな使い方をするならμTOUGH-8000/PowerShot D10、動画を重視するならDMC-FT1、コンパクトさや価格で一歩秀でたFinePix Z33WP、オールマイティなスペックを備えたOptio W60といったように、それぞれ機能も操作性にも特徴があり、選ぶ楽しみが増えたことは歓迎したい。次回は画質編をお送りする予定だ。


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【2009年4月28日】オリンパスの耐衝撃性能の検証方法について追記しました。
【2009年4月27日】最初の防水デジカメとして、カシオ「G.BROS. GV-10」の写真とテキストを追加しました。




小山 安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2009/04/27 12:01
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