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可変NDフィルター選びのポイントはここ!動画で必須のバリアブルNDを解説
クリエイターとH&Y Japan代表による“フィルタートーク”第2弾
2026年10月23日 12:00
動画を撮る人にとって身近な存在ともいえるのが、可変ND(バリアブルND)フィルターだ。一方、これから動画に挑戦する層からすれば、その重要度や選び方がわかりづらい面も持っている。
そんな可変NDフィルターについて、前回の企画「保護フィルターは必要? 不要?」に続き、フォト/ビデオグラファーの関一也さんと、H&Y Filters Japanの新井渉平さんに語り合ってもらった。
関一也
長野理容美容専門学校卒業 2011年より美容師として活動すると同時に写真家としても活動を開始。2013年、+ONE Film Worksを設立。星景ポートレートの先駆者。写真&動画のハイブリッドカメラマンとして活動。主にポートレート、ウェディングを中心に風景、物撮り、スポーツ、広告、ストロボ、写真&動画の講師、カメラ雑誌の執筆、寄稿、テレビ関連の動画撮影などを行う。
H&Y Filters Japanを運営する株式会社レイクプラッツの代表取締役。H&Y Globalの商品企画やマーケティングにも携わる。H&Yは高品質のフィルター製品の開発と提供を目指し、2006年に香港で設立された専業フィルターメーカーの日本販売責任者。常に革新的な製品を生み出し続け、国内外で高い評価を得る。
なくてはならない可変NDフィルター
——関さんが業務で動画を始められたのはいつくらいからなのでしょうか。
関一也(以下、関): EOS 5D Mark IIの頃からですね。いまもウェディングをメインに動画の仕事をやらせてもらっています。
——ではかなり早めから携わっていたのですね。その頃まだ可変NDフィルターはなかったと思いますが、可変NDフィルターと出会い、使い始めたのはいつからでしょうか。
関: 確か2014年頃です。画期的でした。ただ、当時はまだ製品の選択肢が少なく、品質面でも工夫しながら使っていました。
——その後、当たり前のように普及した可変NDフィルターですが、あるとやはり便利なものでしょうか。
関: 逆にないと困ります(笑)。動画は写真と違い、フレームレートに合わせてシャッター速度を固定しなければいけません。明るい屋外で撮る時は、どうしても光量を落とさないといけないので、動画をやるなら必須のアイテムになります。
——愛用されているのがH&Yの「HD EVO-series Natural Color Vari ND3-32+CPL フィルター」ですね。ND3-32という狭い光量変化で仕事上、十分なのでしょうか。
関: 製品名にある「Natural Color」は伊達ではなく、このフィルターの色再現性が気に入っています。でもF1.4やF2.8などの絞り開放でボケを大きくして撮りたい時、確かにND32までだと少し足りないことがあります。そういう時は、マグネットで(可変NDではない)EVO-seriesのND16などを重ねて使っています。
※編集部注:H&Yのフィルター「HD EVO-series」は、いずれもマグネットとねじ込みの両方に対応しています。
——ND3-32以外に、他の濃度域の製品(H&Y製品でいうところのND3-1000やND32-512など)を使うことはありますか?
関: 単体NDフィルターの重ね付けが難しい場合に使うこともありますが、基本的にはND3-32と重ね付け用ND16で撮るスタイルです。マグネットで簡単に重ねられますし、何よりND3-32の品質が良くて。
CPLフィルターとしても頼りに
——製品名にCPL(円偏光)が含まれています。CPLフィルターとしての機能をメインに使うこともあるのですか?
関: はい。例えば可変NDフィルターによる減光と同時に、被写体のツヤ感や色の濃さなどを変えることもあり、重宝しています。
新井渉平(以下、新井): どの可変NDフィルターも偏光膜を2枚重ねているという構造は同じなのですが、可変ND+CPL一体型構造はH&Yが2015年に世界で初めて開発し、特許を取得した技術です。
関: CPLとしても使うとき、EVOシリーズのマグネット装着のメリットが活きてきます。
——といいますと?
関: レンズ先端のフィルター枠にねじ込むだけの他社の可変NDフィルターだと、レンズに固定した時点で偏光の角度が固定されてしまい、反射の強弱をコントロールできませんよね。しかしマグネット式なら、装着したままフィルター全体を回転させることができます。減光のためのND濃度を決めた後に、偏光の効き具合を微調整できるのです。
——なるほど、それは気付きませんでした。ではNatural Colorシリーズの色再現性や色かぶりの少なさはいかがですか?
関: 色再現性が良いということは、フィルター装着時と外した時の差が少ないということになります。なので現場で非常に扱いやすいわけです。このフィルターを透過した5300Kの環境光をカラーメーターで測定しても、透過した色温度は150K程度しか変わらない。メーカーによってはもっとマゼンタやグリーンに転ぶものもありますから、極めて優秀といえますね。
新井: 偏光膜を使用する構造上、完全なニュートラルは物理的に難しいのですが、H&Yでは色転びが最小限になる偏光膜を採用しています。それが色再現性の高さにつながっているのです。
——新井さんにお聞きしたいのですが、H&Yの可変NDフィルターシリーズ、それぞれの特徴を教えていただけますか?
新井: 大きく分けて3シリーズあります。
まず先ほどから話題に上がっている EVO シリーズは、マグネット・ねじ込み両方の取り付けに対応しているのが特徴です。色再現に優れた「Natural Color」モデルを展開し、比較的コンパクトで薄型なのも特徴です。「Natural Color」モデルは日本のお客様からのご要望を反映した商品で、高い光学性能と軽量・コンパクト性を求められるユーザー様におすすめです。普及機の「HD EVO-series ND3-1000+CPL フィルター」は価格も抑えめで軽量・コンパクトなので、初めて可変NDフィルターを使用する方から上級者の方まで、広くご愛用いただいています。なお、こちらも撥水・防汚・低反射など、他のフィルターと同様のコーティングが施されているのでご安心ください。色味によりシビアにこだわられるか、また、ムラ防止のストッパー付きかどうかという点で選択いただければと存じます。
次に Nova シリーズですが、広角レンズでのケラレを防ぐため、EVOシリーズより前枠を若干大きくしています。その余裕があるため、鏡枠オリーブゴールドのアクセントを入れたり、キャップに派手めのデザインを採用したりと、遊び心も取り入れています。マグネット式でEVOシリーズBlack Promistフィルター等を重ね付け可能ですが、1サイズ大きいEVOフィルターが必要になりますのでご注意ください(例:77mmのNovaフィルターには82mmのEVOフィルターを装着)。
REVORING Vari ND CPL は、1つのフィルターで複数のレンズ径に対応できる「REVORING」と、可変ND+CPLフィルターを一体化した製品です。角型ホルダーやマットボックスなどのSwiftアクセサリーとの拡張性もあります。H&Yといえばマグネット式のK-Series角形フィルター(特許取得)が代名詞の1つかと思います。本製品にもK-Series角形フィルターをマグネット式で装着可能なので、基本的にはCPLやNDをメインで使用しながら、ここぞという時に角形フィルターも併用したいという風景写真ユーザー様にも人気です。また、軽量なマットボックスは、動画ユーザー様から支持いただいています。
解像力と“Xムラ”への挑戦
——可変NDフィルターというと色再現性が話題になりがちですが、関さんが他に重視されていることはありますか?
関: 解像力ですね。レンズの前につける以上、レンズそのものの解像力をなるべく損なわないものが欲しいのです。フィルターの解像度は望遠レンズでチェックすると分かりやすくて、例えば200-600mmレンズの望遠端、600mmで遠くの看板や信号機を撮ってみると、粗悪なフィルターは文字が滲みますが、テストしたところ、H&Yの製品では解像度の低下が見られませんでした。H&Y製品に全面的に切り替えようと決めた理由がそれでした。
新井: ガラスを2枚重ねしているという構造なので、とにかく解像力が落ちないようにこだわっています。H&Yが高度な工作機器で実現している表面研磨の平面精度や日本製のコーティングマシンなど、他のH&Yのフィルターと同じように、品質を高める工夫が現れていると自負しています。昨今のカメラ・レンズは解像度が上がっているので、フィルターも解像度の高いものが求められています。パッと見で違いが分かりにくく、使ってから違いが分かるので購入時は見落とされがちですが大事なポイントです。
——可変NDフィルターが一般化した現在ですが、単体のNDフィルターを使われることもあるのですか?
関: ありますよ。可変NDフィルターの構造上、24mm以下の超広角レンズや濃度を極端に濃くした場合、いわゆるXムラが発生します。これは物理現象として避けられないため、超広角でかつ濃度を上げたい場合、可変ではない単体NDに切り替えています。
新井: Xムラ対策として、EVOのND3-32やND32-512には、回転抑制を止めるハードストッパーを設けました。Xムラが出やすい極端な濃度域まで回せないようにしているのです。
関: あと、PL効果で飛行機の窓ガラスが虹色になったり、撮っている液晶画面が暗くなる場合もあります。でもこれは、マグネットで回転の角度を調整すると回避できますね。
——回転といえば、H&Yの可変NDフィルターには必ず回転操作用のつまみがついています。他社製品だとつまみがなかったりしますが。
関: そう、つまみが映り込むかもしれないときがあるので、映り込みにくい黒だとありがたいですね。それに、CPLで調整した角度を維持したまま、ND濃度だけを変えられるようにする機構は難しいですか?
新井: 一般的には可変NDフィルター使用時は操作しやすいようレンズフードを外して使用します。ですので、操作性の観点から原則つまみを付けています。コスト的にもそちらの方が上がりますが、利便性を優先させています。シルバーにしている理由としては、視認性を赤めて操作しやすいようにという意図になります。視認性は下がりますが黒もかっこいいと思いますし、映り込みに関してのご要望も多いようであれば、今後の開発課題として検討させてください。CPLで調整した角度を維持したまま、ND濃度だけを変えられるようにする機構はNovaシリーズやREVORING Vari ND CPLで採用していますが、手軽さを優先したEVOシリーズでは実装していないです。こちらも検討させていただきますね。
スチル撮影でも利用価値あり
——関さんはスチル撮影でも活躍されていますが、そちらでも可変NDフィルターを使っていますか?
関: 固定濃度の単体NDフィルターを付け替える時間がない現場で活躍していますね。例えば、日中の挙式の撮影や、ウェディングでストロボの同期速度までシャッタースピードを素早く落としたいときなどです。NDでシャッター速度を調整しつつ、PL効果も併用したい場合にも使えます。水面や地面のリフレクションを弱めて撮る、逆に反射を強調するときにも役立ちます。
——新井さんにお聞きしたいのですが、可変NDフィルターの耐用年数はどれくらいなのですか?
新井: 紫外線や使用頻度によりますが、3〜5年が目安ですね。保管するときは湿気を避け、掃除の際はブロワーで大きなホコリを飛ばしてから専用クロスで拭くことをおすすめします。
——そうやって気軽にクロスで汚れや水を拭き取っても良いものなのですね。少し意外でした。
新井: はい、他のH&Yのフィルターと同じように、表面に防汚・撥水・帯電防止コーティングが施されていますから大丈夫です。
関: 色再現性や解像力の高さから選んでいますが、そうした現場での使いやすさもあり、安心して撮影に専念できています。他の角形フィルターや保護フィルター同様、光学性能の高さに加えてメンテナンスがとにかく楽なのが便利です。















