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写真家の感性を呼び覚ますカメラ「EOS R6 Mark III」の魅力に沖昌之さんが迫る

The 6 Sense 第2回:猫島

いけすの上で気持ち良さそうに日向ぼっこをしていた猫。なでてほしかったのか大ジャンプで迫ってきた。ジャンプの瞬間から手前に着地するまで、見事にピントが追従してくれた
キヤノン EOS R6 Mark III/RF24-70mm F2.8 L IS USM/24mm/マニュアル露出(F8、1/1,600秒)/ISO 320/WB:オート

キヤノンからフルサイズの中級機「EOS R6 Mark III」が登場。約3,250万画素への高画素化に加え、バッファメモリーの増強により連写性能も大幅に強化された。今回、普段はEOS Rのフラッグシップ機「EOS R1」を愛用する猫写真家・沖昌之さんに、2つの猫島で新機種による撮り下ろしを行ってもらいました。素早く動き回るネコたちをどこまで写せるのか、EOS R6 Mark IIIの実力と魅力に迫ります。

沖昌之

猫写真家。1978年、兵庫県神戸市生まれ。2013年大みそかに初恋の猫「ぶさにゃん先輩。」に出会い、2014年の元旦から猫の撮影を開始。2017年刊行の写真集『必死すぎるネコ』(辰巳出版)は、『天才!志村どうぶつ園』『スッキリ』などのテレビ番組で紹介され話題に。キヤノンオープンギャラリー1(品川)で個展を開催。現在は『AERA』『猫びより』『デジタルカメラマガジン』で連載中。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2026年1月号』より転載・加筆したものです。

EOS R6 Mark III
●発売日
2025年11月21日
●キヤノンオンラインショップ参考価格(税込)
42万9,000円(ボディ)
47万8,500円(RF24-105 IS STM レンズキット)
58万3,000円(RF24-105 L IS USM レンズキット)

沖昌之流EOS R6 Mark IIIの猫撮影設定

シーン内の明るさを固定したいため、露出はマニュアルでシャッター速度を基準に決定している。EOS R1使用時は1/1,000秒としていたが、EOS R6 Mark IIIでは高画素化に伴う微細なブレを抑制するため、1/1,600秒を基準にしている。

色調に関してはキヤノンのオート設定が最も被写体になじむと判断し、ピクチャースタイルおよびホワイトバランスはオートを採用。AFは領域拡大AF(上下左右)にサーボAFを組み合わせ、ピントをカメラに委ねることで、猫の瞳への合焦率を上げている。

相手をしてくれそうな友達を見つけると背後から飛びつき、有利な体勢でマウントを取る。約40コマ/秒なら、目では追い切れない激しい格闘シーンも克明に捉えられる
キヤノン EOS R6 Mark III/RF24-70mm F2.8 L IS USM/24mm/マニュアル露出(F7.1、1/1,600秒)/ISO 320/WB:オート
去勢をして大人しくなったシャム猫だが、かつての喧嘩相手の茶トラには反応が違う。鼻キスの代わりに頭突きからの威嚇。ただ、それだけで終わるところに今の関係性が見える
キヤノン EOS R6 Mark III/RF24-70mm F2.8 L IS USM/24mm/マニュアル露出(F6.3、1/1,600秒)/ISO 200/WB:オート

約3,250万画素の高画質! 猫の毛並みまで緻密に再現する描写力

猫の挙動は予測不可能な部分が多く、撮影後にトリミングして画角を整えることは日常的だ。特にローポジションからのノーファインダー撮影では水平の傾きが生じやすく、後処理で修正が必要となる場面も多い。その場の状況を入れて撮影したが、撮影後に猫だけを切り取りたいと思っても、画素数が少ないときは諦めることもあった。

だが、高画素機であればその制約から解放される。約3,250万画素のEOS R6 Mark IIIならば、大胆にトリミングしてもかなりの解像度が確保できるため、作品仕上げの自由度が飛躍的に向上した。

キヤノン EOS R6 Mark III/RF24-70mm F2.8 L IS USM/34mm/マニュアル露出(F7.1、1/1,000秒)/ISO 640/WB:オート
テンションが上がったグレー猫が、アスレチックのような遊具を猛スピードでよじ登り、頭上からドヤ顔で見下ろしてきた。約3,250万画素あるので、アップにするとその得意げな表情がよく分かる
嫌がる茶トラをよそに、何度も頭突きで挨拶を繰り返すシャム猫。ひと通り済ませると、勝ち誇ったような「ドヤ顔」でカメラにアピールしてきた。一方の茶トラは、明らかに納得がいっていない不服そうな表情を浮かべている。この2匹のあまりに対照的な姿と温度差が、なんとも滑稽で面白い
キヤノン EOS R6 Mark III/RF24-70mm F2.8 L IS USM/24mm/マニュアル露出(F4、1/1,250秒)/ISO 8000/WB:オート
人を見つけると「遊んでもらえる!」と全速力で駆けてくる。その必死な表情を強調するためにトリミングを行った。画素数が多いため、大胆に切り取っても画質が保たれるのが頼もしい
キヤノン EOS R6 Mark III/RF70-200mm F2.8 L IS USM Z/178mm/マニュアル露出(F6.3、1/1,600秒)/ISO 2000/WB:オート
Neural network Image Processing Toolで解像感をアップさせ、高感度ノイズをクリアにする

発売記念キャンペーンにより「Neural network Image Processing Tool」を1年間無償で使用できる点も見逃せない。ディープラーニング技術による高度な補正は、既存のソフトウェアとは次元の異なる高画質を実現する。

素早い動きも捉えて離さない! バッファメモリーの強化で速写性が向上

撮影時は常に、約40コマ/秒の「高速連続撮影+」を使っている。ジャンプや着地のシーン、小競り合いなど、猫の動きは速く目視では追いきれないことが多いが、そんなときにこの連写速度が頼りになる。

一方で、あくびのような動きの少ない場面でも、ぜひこの約40コマ/秒を試してみてほしい。ヒゲの広がりや口角の上がり方、歯の見え方が変化しているのがよく分かる。以前、約16コマ/秒のカメラを使っていた頃に比べ、約40コマ/秒にしてからは「知らなかったシーン」に出合う回数が格段に増えた。

目視で見落としていた瞬間が写っていると、「この表情が撮れるなら、次はこう狙ってみよう」と次の撮影への期待もふくらむ。そうした発見の楽しさがあるからこそ、猫の撮影において連写速度は速ければ速いほど良いと思っている。

キヤノン EOS R6 Mark III/RF24-70mm F2.8 L IS USM/62mm/マニュアル露出(F5.6、1/1,600秒)/ISO 2000/WB:オート
お世話になっている家でご飯を食べ終え、塀の上から大ジャンプ。約40コマ/秒で連写すると、着地までの軌跡をコマ撮りアニメのように細かく記録できる
キジトラは遊びたい盛りで、兄弟猫の気分はお構いなしに追いかける。加速して低空飛行で噛みつこうとする決定的瞬間を、約40コマ/秒で捉えた
キヤノン EOS R6 Mark III/RF70-200mm F2.8 L IS USM Z/95mm/マニュアル露出(F6.3、1/1,600秒)/ISO 800/WB:オート
容量の増えたバッファメモリーで高速連写が途切れない

EOS R6 Mark IIIではバッファメモリーが増強されてRAWで連続約150枚、約4秒間、途切れずに連写ができる。猫の一連の動作を写すには十分な時間だ。常に約40コマ/秒が使えて、まったくストレスなく撮影できる。

動物優先で猫を逃さない! 顔が見えていれば瞳にフォーカスする

朝から夕方、猫がねぐらに帰るまで1日中撮影したが、どんな光の状況でもピントを外すことなく粘り強く追い続けてくれた。日が落ちてからの暗所性能はEOS R1と比較すると少し譲ると感じる場面もあったが、それでも猫の目さえ見えていれば、AFフレームは吸い付くように瞳へ移動する。

「動物優先」の優秀さは本物で、画面内に猫がいるとカメラが認識すれば、まず外すことはない。ミラーレスにしてからピント精度が格段に上がったのは、間違いなくこの機能のおかげだ。特に今回は、猫が手前に向かってジャンプしてくる難しい動きでも、一切ピントを逃さず追従しきったのには正直驚かされた。

キヤノン EOS R6 Mark III/RF70-200mm F2.8 L IS USM Z/135mm/マニュアル露出(F5.6、1/1,600秒)/ISO 1000/WB:オート
鳥居をバックに低空飛行を見せる猫。高速な動きにも関わらず、AFフレームは瞳に吸い付いたまま、ピントを外すことなく追い続けてくれた
冬でも晴れると暖かい熊本県・湯島。猫には少し暑かったのか、ヒンヤリした排水溝に避難してくつろいでいた。手前に柵があっても、動物優先にすれば迷うことなく猫の瞳にピントを合わせてくれる
キヤノン EOS R6 Mark III/RF24-70mm F2.8 L IS USM/36mm/マニュアル露出(F6.3、1/1,600秒)/ISO 400/WB:オート

沖昌之が猫撮影でおすすめするRFレンズ

猫との距離が近くなる場面ではRF24-70mm F2.8 L IS USMの出番だ。猫の様子をうかがうようなときは、RF70-200mm F2.8 L IS USM Zを使う。光がない時間でも、F2.8の明るさがあれば粘り強く撮影ができる。

小型・軽量でEOS R1と遜色ないAF性能で猫のさまざまなシーンを確実に捉えられる

人前ではいつもご機嫌になり、ゴロンゴロンと転がる。水平が傾いてしまったがトリミングで修正。画素数の多さに助けられた
キヤノン EOS R6 Mark III/RF24-70mm F2.8 L IS USM/24mm/マニュアル露出(F5.6、1/1,250秒)/ISO 1000/WB:オート
生後まだ数カ月のハチワレ。オートホワイトバランスが優秀で、色かぶりもなく自然な色合いでまとめてくれている
キヤノン EOS R6 Mark III/RF24-70mm F2.8 L IS USM/24mm/マニュアル露出(F3.5、1/1,250秒)/ISO 3200/WB:オート

自分の失敗を機材のせいにしたくないため、常にキヤノンの最上位機種を選んできた。特にEOS R1の「動物優先」は革命的で、もうほかの機種には戻れないだろうと思っていたほどだ。しかし今回、EOS R6 Mark IIIを使ってみて驚いた。

EOS R1でしか撮れないと信じていた瞬間が、まったく同じように撮れてしまう。「あれ? これなら乗り換えても大丈夫なのでは?」と本気で思うほどの完成度だ。撮影中にAFの食いつきや連写のレスポンス、ささいな操作性に少しでも違和感があると、リズムが崩れて写真の質に直結する。だが、初めて使うこのカメラにはそれがまったくなかった。

ブランコの支柱をあっという間に駆け登り、余裕のカメラ目線。落ちないかと心配になるほどの身軽さを、とっさに切り取った
キヤノン EOS R6 Mark III/RF24-70mm F2.8 L IS USM/42mm/マニュアル露出(F5、1/1,250秒)/ISO 500/WB:オート

「動物優先」はEOS R1と遜色なく、まるで猫撮影のために開発されたかのように粘り強く被写体を追い続ける。増強されたバッファメモリーにより連写が途切れないのも良い。常に「高速連写+」で撮影していたが、途中で連写速度が落ちることが一度もなかった。

そして何より、ボディサイズの小ささと軽さが最大の武器になる。気まぐれな猫を求めて1日中歩き回り、ときには地面にはいつくばる。片手でも扱える軽快さは、体力の消耗を抑え、最後まで粘り強くシャッターチャンスを待つことを可能にしてくれた。猫が撮りたいならば、今一番おすすめできるカメラだ。

三毛猫がやってきて構ってほしいのか大きなあくびを見せた。あくび中は面白い表情が狙えるので、ぜひ連写をしてみてほしい
キヤノン EOS R6 Mark III/RF24-70mm F2.8 L IS USM/24mm/マニュアル露出(F7.1、1/1,600秒)/ISO 400/WB:オート
大漁祈願の恵比寿さまの前で軽やかにジャンプ。その姿を見守る恵比寿さまの顔も、ニンマリ顔に見えてくるから不思議だ
キヤノン EOS R6 Mark III/RF24-70mm F2.8 L IS USM/24mm/マニュアル露出(F6.3、1/1,600秒)/ISO 800/WB:オート

EOS R6 Mark III発売記念キャンペーン開催中

期間中に対象商品を購入・応募者全員に、2つの賞品がプレゼントされるキャンペーンが実施されている。対象期間は2025年11月21日(金)~2026年1月14日(水)まで。

プレゼント内容

  • サンディスク エクストリーム プロ CFexpress Card Type B 128GB
  • Neural network Image Processing Tool年間(365日)プラン無料クーポン

INFORMATION

交換レンズRF/EFレンズは2025年10月22日に累計生産本数1億7,000万本を達成
沖昌之