特別企画
酷暑なので涼しい「氷の洞窟」の写真を撮ってみた→むしろ寒くて震えることに
幻想的な青の世界に驚愕 カメラは手ブレ補正+防塵防滴が吉!
Reported by 桃井一至(2015/8/5 13:03)
ひまわり、花火、海、滝。夏の被写体は数あれど、こう暑いと重い機材を担いで撮影に行く気力もなくなる。
「あー、どっか涼しいところで撮れるものはないかなー」
そんなことを考えていたとき、以前取材した「ケイビング」のことを思い出した。ケイビングとは、平たく言えば洞窟探検。日光が差し込まず外界と隔絶されている洞窟内は、寒いくらいだった。
早速、以前の取材でお世話になった吉田勝次さん(以下、隊長)に連絡してみた。吉田さんは日本屈指の洞窟スペシャリストで、国内外の洞窟を巡り、数多くの自然番組の撮影コーディネートにもひっぱりだこ。先ごろも深夜の人気旅番組で取り上げられたので、ご覧になった方も多いのでは。
軽量なミラーレスカメラで洞窟に挑む
吉田隊長がおすすめしてくれたのは、山梨県の「氷の洞窟」。洞窟内の気温は年間を通して0度くらいで、夏でも大きなつららや氷筍が溶けずにあって、涼しいうえに絶景が撮れると言う。ただしこの洞窟は天然記念物なので、入洞には届け出が必要になる。そうした手続きも含めて、吉田隊長自らがガイドしてくれることになった。
実は吉田隊長は無類のカメラ好き。普段はフルサイズ一眼レフを抱えて探検に行くが、使う場所が場所だけに、ケースごと数メートル下の地底に落ちたり、泥をかぶることは茶飯事。現在の愛用機に写りの不満はないものの、多湿やショックなどでトラブルが続いたり、何より大きく重いのが、悩みのタネとのことだ。
そこで、OLYMPUS OM-D E-M5 Mark IIを2台用意して、吉田隊長にも使ってもらった。極限に向かうときは、体への負担を減らすため、荷物は少しでも軽量コンパクトにまとめるのが基本。E-M5 Mark IIのサイズと防塵防滴、堅牢性に魅力を感じてくれたようだ。
改めての紹介になるが、今回使用するカメラはOLYMPUS OM-D E-M5 Mark II。軽量コンパクトでありながら、防塵防滴対応の本格派。有効画素数1,605万画素の4/3型LiveMosセンサーと画像処理エンジンTruePic VIIの組み合わせから描き出される画像は美しく、さらにVCM(ボイスコイルモーター)を活用した強力なボディー内5軸手ブレ補正を採用し、暗いところもバッチリと、まさに洞窟向き!
そこへ新発売の超広角ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」と、「M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」、標準ズームの「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」の3本を持ち込んだ。いずれのレンズもPROシリーズで、優れた光学性能と防塵防滴&堅牢性を備えたプロフェッショナルユースに応えてくれる製品だ。
洞窟の中はとても暗い……
取材当日、東京の最高気温は30.4度の猛暑。現地は約23度と比較的過ごしやすい気温だが、目的の洞窟内は0度くらいだから、服は冬物でないととてもでないがいられない。フリースや地厚のズボンなどを着込み、ツナギ服を着用した。
クルマを置いて洞窟までの徒歩区間は汗が噴きだすが、ここで汗をかくと、洞窟内で冷えきるため、ゆっくり歩くよう注意を受けながら進む。
洞窟の入口に近づくと、先ほどまでの暑さがウソのように、急激に涼しくなって快適、快適。ただ、それも時間とともに笑っていられない寒さに変わり、自然の驚異を体感する。振り返れば、まだ暑かった場所が見えるのに……。
隊長を先導に、しゃがむ程度の高さの傾斜路を進んでいく。普段ならば、なんてこと無い動きだが、溶岩でできた内壁は突起なども多く、足場も悪い。とてもでないが、手をつかないと進むのが難しい。さらに足元には氷が見え始め、緊張感はMAX。
恐る恐る、1歩づつ進むと、途中から洞窟の内壁が赤茶色になってきた。吉田隊長の説明によると、これは酸化鉄とのこと。溶岩内の鉄分がガスで飛び散り、酸化したものだと言う。このような説明を受けながら、奥へ奥へと進む。
あたり一面、氷の世界になってきた。巨大なツララにも遭遇。心ない入洞者によるものか、自然に折れたものかわからないが、崩壊あとから、かなりの大きさであるのがわかる。
ちなみにこの洞窟は観光用に整備されていないため、照明設備は一切なく、すべて持ち込み。それなりに強力なライトで照射しているが、それでもISO3200、F2.8、1/25秒程度。撮影にはかなり厳しい明るさだ。
強力な5軸手ブレ補正が撮影をサポート!
このようなシーンであっても、手ブレの心配は皆無。5軸手ブレ補正機能は何ごとも無かったかのように、1コマづつ刻んでいく。さらに、EVFには「キャッツアイコントロール」という機能が搭載されており、バックライト輝度が緻密に制御されるので、暗いシーンでも自然な見え具合で撮影が進められる。
これらは縁の下の力持ち的な機能で体感しづらいが、非採用機を併用すると恩恵がよくわかる。今回は極限と言えるほどの洞窟でないにしても、体や精神面の負担が軽減されるのは大歓迎だ。
さらに進むと広いホール状の場所に出た。湧き水などが流れこんで溜まり、スケートリンクのような地面や氷筍が生まれたのだろう。ここは自分たちが発しない限り、無音。経験したことのない、特別な場所に招待されたかのようだ。
感慨にふけっていると、吉田隊長の「どちらから撮りますか?」という声で我に返る。隊長の手には強力なライトが多数。指示のもとに置いてもらおうかと思いきや、隊長自身がホイホイと目見当でライトを配置。
しかもほぼ完璧。さすが撮影サポートが経験豊富なだけのことはある。歩くスピードも早く、氷の上をへっぴり腰で歩いているワタシとでは比べ物にならないペースで配置されていく。
このとき、氷や壁面が魅力的に見えるようライトを並べるが、特に氷筍は光を透過させると立体感が増す。また自然の中では、大きさのイメージしやすい人物を入れると空間の広さなどスケールが伝わりやすくなる。
ハイレゾショットで驚きの高精細撮影
ひと通り撮れたところで、次は「40Mハイレゾショット」機能に切り替えた。ハイレゾショットは0.5ピクセル単位でセンサーを稼働させて、8回撮影した画像を高解像で生成するシロモノ。E-M5 Mark IIの注目機能だ。
三脚が必須であるのと、今回のような暗い場所では1回あたりの露光時間が長いために、トータル8回ではそれなりに時間がかかるので注意したい。また複数回露光を行うため、人物のように動く対象は画面内に入れないのが鉄則。むしろ人さえ画面に入れなければ、動く対象のない洞窟内はハイレゾショット向きだと言える。
透き通った氷は山から湧き出た水が凍ったもの。天井から滴り落ちる水で、長時間かけて作られた氷筍には、自然美と言うにふさわしい模様が浮かび上がる。0度という気温からも、表面の“溶ける&凍る”が繰り返されたゆえにでき上がった、自然の芸術作品なのだろう。
ひとつひとつ違う模様は、ファインダー越しに吸い込まれそうな錯覚に陥るほどだ。ここでは画角が使いやすい、標準ズームレンズの12-40mm F2.8の望遠側で多くを撮影した。
防塵防滴のカメラで無ければ大変なことに……
見るものすべてが新鮮な洞窟内だが、時計を見るとなんと3時間も経過している。通ってきた道を戻り、地上に出ると、肌にまとわりつくような湿気と熱気に包まれて、現実に引き戻される。
ふとカメラを見ると、結露でびっしょり。氷を入れたグラスと同じ原理で、通り雨にあったかのように濡れてしまった。しかし今回使用したE-M5 Mark IIをはじめ、PROレンズは防塵防滴なので心配無用。軽くタオルなどで結露を拭う程度でOK。このような頼もしさも、撮影パートナーとしてうれしいポイントだ。
最後になったが、洞窟内での撮影ポイントを吉田隊長に聞いてみた。
「使うレンズは超広角レンズや魚眼レンズが基本。一般的に観光用の風穴などは三脚を立てるのは難しいので、手すりなどに巻きつけて固定しやすいフレキシブル三脚などが便利でしょう」とのことだ。
この季節、涼を楽しむために洞窟探検おすすめです!
(協力:オリンパス)