オリンパス・ペンライトE-PL2【第2回】

カスタマイズを少々やってみた

Reported by 北村智史


 オリンパスのカメラは撮影メニューやセットアップメニューの項目が少なくて、その代わりにカスタムメニューがやたらと多かったりする。エントリークラスのE-PL2だが、ほかのメーカーなら撮影メニューやセットアップメニューに入っているような項目までカスタムメニューに入っているから、というのもあるが、これだけあれば、それなりにいじる楽しさは味わえる。

 で、いろいろいじっていて気がついたのだが、動画モードでMF時に動画ボタンを押したらS-AF(シングルAF)が作動するようになった。静止画モードのMF時はFnボタンでS-AFが作動するようにしてあるのだが、動画モードでFnボタンを押すとAEロックがはたらく。静止画モードと動画モードで、MF時の“親指AF”ボタンが違うというのはちょっと辛気くさい。同じ操作でやれるように設定を変えればいいわけだが、どこをどういじったのか覚えていないものだから、最初からやりなおしたほうがよさそうだ。なので、リセットしてみる。

 ところが、である。何がどうなっているのかをはっきりさせるために、撮影メニューの「リセット/マイセット」からリセットをかけてみたのだが、初期設定に戻る項目と戻らない項目がある。撮影メニューは大丈夫そうだが、セットアップメニューの「モニタ調整」は、「明るさ」は0に戻るのに、「色温度」のほうはいじった設定がそのまま残る。

 カスタムメニューも、「ダイヤル機能」、「ダイヤル方向」、「カメラCONTROL表示」、「アートLVモード」、「再生拡大モード」、「モードガイド表示」、「顔優先」は変更した内容が消えずに残っているし、「インデックス表示/INFO表示設定」は「再生INFO」はリセットされるのに、「LV-INFO」、「インデックス表示」は消えていない。ざっと見ただけなので、ほかにも見落としている項目があるかもしれない。使用説明書には「工場出荷時の設定に戻します」とあるのだが、全項目が初期設定に戻ってくれないのは謎である。

 結局、使用説明書を見ながら全項目を初期設定に戻したうえで動画モードにしてみる。この状態で動画ボタンを押すと動画撮影開始となる。一方、シャッターボタンを押すと、動画と同じ設定で静止画が撮れる。

 この状態でカスタムメニューの「ボタン機能」で動画ボタンに「MF切換」を割り付ける。これをやると、静止画モードでは、動画ボタンを押すたびにAFとMFが切り替わるようになる。動画モードではこの項目は変更ができないが、静止画モードで設定した内容の影響は受ける。動画ボタンでの動画撮影ができなくなて、その代わりに、AF作動が可能になるのである。

 それなら、Fnボタンに「MF切換」を割り付けたらどうだろう。と思ってやってみたのだが、やっぱりアウト。静止画モードではFnボタンでAFとMFの切り替えができるが、動画モードだとAF作動。ようするに、「MF切換」を割り付けたほうのボタンが、静止画モードではMF切り替えボタンになって、動画モードではAF作動ボタンになってしまう。つまり、操作の統一はできないようだ。

 ところで、どうしてこういうことを検証しているかというと、再生時の拡大表示機能の関係である。AF方式がS-AFまたはC-AF(コンティニュアスAF)で撮った画像の再生時に拡大ボタンを押すと、ピントを合わせた測距点の位置を中心に拡大してくれる。同じような機能はニコンのD700にもあるけど、これが案外に便利なのだ。使った測距点の位置というのは、ピントが合っているかどうかをチェックしたい場所なので、そこを拡大して見せてくれるのはとても合理的だ。

 が、S-AF+MFやC-AF+MFを含むMFモードで撮った画像は、画面中央部を中心に拡大される。つまり、MF時は測距点を中心にした拡大機能は利用できない。ちょっと不便。つまり、“+MF”を使いたいなら測距点中心の拡大機能は我慢しなきゃいけないし、見たいところを簡単に拡大して見られるほうがいいならAFモードのままノータッチでMFに移行できる便利さを我慢しなくちゃいけないのである。

S-AFやC-AFで撮った画像の場合、選択した測距点が画面上にグリーンの枠で表示される拡大ボタンを押すと、選択した測距点を中心に拡大表示してくれる。ただし、これはMF時にはやってくれない。ちょっと残念である

 あれこれ考えた結果、AFはAFオンリーで(つまり、“+MF”機能は使わずに)、AFとMFの切り替えを簡単にやれるようにして、かつ、MFを“+AF”にすれば、まあまあ便利に使えるんではないかと考えたわけだ。

 で、動画ボタンの機能を「MF切換」にチェンジ。当然、静止画モードのまま動画を撮ることはできなくなるが、動画ボタンを押すだけでAFとMFの切り替えが、スーパーコンパネやライブコントロールの画面からやるよりずっと早くやれる。どのみち、静止画と動画で画面比率も手ブレ補正の方式も違うのだから、動画は動画モードにまかせたほうがいいと思うのだ。

 というのは、静止画は基本が4:3比率(個人的な好みで3:2比率にしてるけど)、動画はHDだと16:9比率。しかも、動画は電子式の手ブレ補正なのでオンにすると画角が狭くなる。結果、静止画モードだと動画の撮影範囲がつかめない。一方、動画モードに切り替えてしまえば、画面は最初から16:9比率だし、画角が変わったりもしない。気分的にも落ち着く。なので、動画ボタンにほかの機能を割り付けてもまったく平気なのだ。

これは静止画モードの画面。比べやすいように16:9比率にしている。手ブレ補正は光学式なので、レンズの画角が変化することはないこちらは動画モードの画面。静止画モードよりも画角が狭くなっているのがわかる。電子式手ブレ補正に周辺部を食われているせいだ
動画モードでも手ブレ補正をオフにすれば画角が狭くなることはない。でも、いちいち切り替えてたら面倒なだけだし

 次は、MFモードの“+AF”化である。これは「AEL/AFLモード」の「MF」のところを「mode 3」に変えて(AEL/AFLボタン押しでS-AFが作動する仕様である)、「ボタン機能」で「Fnボタン」に「AEL/AFL」を割り付ければOK。これなら、AFのときは測距点中心の拡大表示が可能だし、AFでうまくいかないときはワンタッチでMFに切り替えられて、しかもFnボタンで“親指AF”作動も可能。ぐぐっと便利になるはず。

 と思っていたら、動画モードでややこしいことになってしまったという次第。まあ、そんなに動画は撮らないから気にならないだろうけれど、もうちょっと何とかならないかなぁと思ったりもする。

とまあ、いろいろと考えた結果、動画ボタンには「MF切換」を割り付けることにした“+MF”モードは使わないことにしたので、その分、MF時に便利なように、Fnボタンで“親指AF”が使えるようにした
カスタムメニューの「ボタン機能」の画面。動画ボタンは「MF切換」、右ボタンと下ボタンはそれぞれ「ISO」と「WB」に設定MF時に“親指AF”にするには、「ボタン機能」でFnボタンに「AEL/AFL」を割り付けて、さらに「AEL/AFLモード」を「mode 3」に設定する
水平のチェックに欠かせない罫線表示(電子水準器欲しい)だけど、細いし薄い。太さとか色とかをカスタマイズできるといいのに

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
ホワイトバランスオートだと少しくすむ感じになるので太陽光モードに切り替えて。オリンパスっぽいヌケのいい青空になってくれた。E-PL2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 4,032×2,688 / 1/640秒 / F8 / -1.3EV / ISO200 / WB:太陽光 / 9mmレンガ1個ちょっとくらい右下がり。方眼のケイ線表示はグレーの細いラインはもうちょっと見づらいのがいまいち。水準器が欲しい。E-PL2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 4,032×2,688 / 1/500秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / WB:太陽光 / 15mm
広角ズームだからというのもあるけど、ほとんど絞り優先AEで絞りF8でしか撮ってない気がする。なんか安直すぎるかも。E-PL2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 4,032×2,688 / 1/400秒 / F8 / 0.3EV / ISO200 / WB:太陽光 / 9mm撮像素子のスペックはE-620も同じだけど、E-PL2のほうが空の部分のノイズが少ない。きっとエンジンがよくなってるからだ。E-PL2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 4,032×2,688 / 1/1000秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / WB:太陽光 / 9mm
もともとあったのを流用したのか、あるいはそういう意匠なのかはわからないけど、横浜らしさが感じられる歩道橋。E-PL2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 4,032×2,688 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:太陽光 / 9mm大桟橋ふ頭の近くにある象の鼻パークに隣接している船着き場で撮った1コマ。船体の赤が鮮やか。E-PL2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 4,032×2,688 / 1/640秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:太陽光 / 18mm
写り込みを避けるためにドアのガラスにフードを押しつけるようにして撮った。おかげで手ブレも防げた。E-PL2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 4,032×2,688 / 1/13秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:太陽光 / 9mm鍋やらフライパンやらがからまりあって塊になってた。なんだかよくはわからないけどインパクトはあった。E-PL2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 4,032×2,688 / 1/50秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:太陽光 / 9mm
昔はよく見える状態だったのかもしれないけど、あとからできたと思われる左側の建物のおかげで、すごくさびしい感じになってます。E-PL2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 4,032×2,688 / 1/25秒 / F8 / 0.7EV / ISO200 / WB:太陽光 / 9mm絞り開放で比較的近距離での撮影となると、四隅がちょっとって感じ。それにしても、普通に歩道の脇なんですけど、在庫置き場的。E-PL2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 4,032×2,688 / プログラムAE / 1/30秒 / F5 / 0.3EV / ISO200 / WB:太陽光 / 14mm
絞り優先AEのF8でブレそうになったらプログラムAEに切り替える。絞りを開く操作よりもモードダイヤル回すほうがらくちんだから。E-PL2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 4,032×2,688 / プログラムAE / 1/50秒 / F6.3 / 0.7EV / ISO200 / WB:太陽光 / 18mmプログラムAEだと明るい場所では絞りすぎになるので、絞り優先AEに変えて小絞りボケを防ぐというわけ。E-PL2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6 / 4,032×2,688 / 1/640秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:太陽光 / 11mm


北村智史
北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら

2011/2/17 00:00