リコーGXR【第6回】

「ユニット交換可能」な純正ボディケースを試す

Reported by 本誌:折本幸治


 昨年秋にGR LENS A12 28mm F2.5(以下A12 28mm)が発売され、俄然注目度が高まった感のあるGXR。筆者としても、A12 28mmを使いだしてから、とにかくスナップ撮影が楽しくて仕方がない。GXRとA12 28mm F2.8だけを持ち、近場をブラブラするのが休日の過ごし方になっている。

GXR+GR LENS A12 28mm F2.5に、本革ソフトケースSC-65Bを装着した状態。ストラップもSC-65Bに付属しているものだ

 そんなGXRに新たなオプションが登場する。ソフトケース「SC-65B」と同じくソフトケース「SC-65T」だ。2つを組み合わせることで、いわゆる速写ケースタイプのボディケースが完成する。2つ組み合わせてもいいし、下ケースのSC-65Bだけでも使用可能だ。

 発売は1月27日。価格は、SC-65Bが6,615円、SC-65Tが2,835円。SC-65Bにはストラップも付属している。これまでリコーが発売したすべてのカメラユニットで使用できる。

 オリンパス・ペンE-P1のヒット以来、ミラーレス機は猫も杓子もボディジャケットをつけて他人に見せびらかす時代だ。「交換レンズは買わないが、ボディジャケットは複数持っている」というユーザーもいることだろう。しかしGXRには、ながらくボディジャケットが用意されてなかった。理由は簡単、ボディジャケットをつけると、カメラユニットが交換できなくなるため。加えてカメラユニットごとに形状が違うという事情もある。

 そんな状況に風穴を開けたのが、ユリシーズが2010年12月27日に発売した「GXR Body Suit」だ。カメラユニット交換を最初からあきらめることで、高品位なデザインを実現。すでに小誌では澤村徹氏が「デジカメドレスアップ主義」で取り上げているので、ご覧になった方も多いと思う。

 今回紹介するリコー純正のSC-65Bは、装着したままカメラユニットが交換できるのが売り。その仕組みはシンプルで、左手側の部材が横に倒れることで、カメラユニットをスライドさせられるというわけだ。底の革素材は滑らかであり、カメラユニットのスライドは楽に行なえる。それにしても、ボディジャケットの側面がくたっと倒れる様子は衝撃的。「そこまでしてボディジャケットを付けたかったのか」という、リコーの執念すら感じる。

SC-65B。内側はスエード調の仕上げになっている。底板は分厚く、とにかくがっしりしている印象
装着状態。ストラップに引っ掛けて保持するタイプだフィルム時代と違って背面は丸出しになる
側面を倒しすことでカメラユニットが交換できる。引っかかりもなくスムーズに着脱できた

 実のところボディを覆う面積が少ないため、見た目が少々寒々しく感じるのが残念。とはいえ、底面と両側面はしっかり保護してくれし、底板が分厚く安心感は高い。なお、右手側の表面は若干滑り気味で、ボディとのフィット感がいまひとつ。もっとも、革素材なので使っているうちに変化していくのかもしれない。いずれにしても、カメラユニット交換とボディジャケットを両立させたのは、ボディジャケット派のGXRユーザーにとって、革命的な出来事といえる。

 実はSC-65Bを手に取って一番うれしかったのは、底面に三脚ネジ穴があったこと。つまり、SC-65Bを装着したまま雲台に取り付けられるわけだ。それだけならフィルム時代の昔からあったギミックなので驚きはしないが、GXR特有の「三脚問題」を解消してくれる点に驚喜した。

底面の三脚ネジ穴パーツがうれしい。雲台につけたままカメラユニットを交換できるようになる

 GXRを三脚に装着して使用する際、カメラユニット底面が雲台(のカメラ台)に接触していることから、雲台によってはカメラユニットをスライドさせることができない。かろうじてスライドさせたとしても、ものすごい力が必要だったり、カメラユニット底面に傷がつかないか心配になる。結局カメラユニットを交換するには、いちいちボディごと雲台から外すのが正攻法だ。

 雲台に載せたままカメラユニットをスムーズに交換するには、どうしたらいいか。それは、カメラユニットと雲台の接触面積をなるべく減らすことだ。カメラ台の面積が少ない雲台(小型の自由雲台など)を利用したり、三脚ネジ穴をオス→オスタイプの小型のアダプターを利用してかさ上げするなどの方法を思いついたが、小型の雲台は一緒に持っていくメインの重量級システムで使えず、GXR単体での運用になるため出番が少ない。後者は購入したアダプターがカメラユニット底面に引っかかるなど、筆者の環境では常用をためらうものだった。

 しかしSC-65Bが発売されれば、そうした工夫は過去の話となる。SC-65BをGXRと雲台の間に介すことで、どんな雲台でもカメラユニットをバシバシ交換できるようになるからだ。これはうれしい。三脚を利用するGXRユーザーがどれだけいるのかわからないが、筆者としてはここ最近でもっとも物欲がわいたアイテムがSC-65B。もう少し安ければさらにありがたいのだが……。これからも楽しいアクセサリーの発売を期待したい。

SC-65B+SC-65Tのフル装備状態。GR LENS A12 50mm F2.5 MACROもつけたまま入るすっきりした背面。RICOHロゴの型押しが入っている
SC-65Tを完全に取り外すことなく撮影できる。いわゆる「速写ケース」だ




本誌:折本幸治

2011/1/17 15:30