近年、デジタル一眼レフカメラやノンレフレックスカメラ(ミラーレスカメラ)などほとんどの機種に動画撮影機能が搭載されている。静止画に加え、動画撮影を行なっている方も多いことだろう。
Abeo 323AVに動画用リグを介してカメラや外部モニターなどをセッティングしたところ |
動画撮影において重要なのが雲台のスムーズな動きだろう。動画は静止画と違い、撮影中のすべての動きを記録してしまう。そのため、ブレやぎこちないパン(横振りの動作)やティルト(縦振りの動作)は意外と目立つ。そうした失敗を防ぐには三脚(雲台)が重要になってくる。
三脚には大きく分けて静止画用と動画用の2種類が存在する。これら2つの三脚は実は大きな違いがある。静止画用はカメラをしっかりと固定するためだが、動画用は固定しつつもスムーズに動くように設計されている。そのため、静止画用の三脚でパンやティルトを一定のスピードで行なうことは難しい。ほとんどの場合、ぎこちない動きになってしまう。
その点、動画用の三脚は可動部がグリスや油圧などにより一定に動くように調整されているため、一定のスピードでカメラを動かすことが可能だ。そこで、今回はガードフォースジャパンが扱うバンガードの三脚「Abeo(アベオ)323AV」(5万4,700円)を紹介しよう。
本格的なビデオ三脚に近い操作感だ | エレベーターも備える |
Abeo 323AVは静止画、動画撮影両方に対応するアルミ三脚だ。縮長は785mmで最伸高は1,920mmとなっている。質量は3kgだ。段数は3段で耐荷重は8kg。全体的に造りはしっかりとしており、本体部分はダイカストマグネシウム合金を採用している。ビデオ雲台は「PH-114V」を採用しており、ニコンD300Sと望遠レンズAF-S VR Zoom-Nikkor 70-300mm F4.5-5.6 G IF-ED、動画用のリグを付けても問題はなかった。
実際に使用してみると、本格的なビデオ三脚に近い操作感がある。脚部には操作を俊敏に行なえるレバーロック式を採用。瞬時に高さや水平の調整が行なえるので便利だ。また、開脚角度は25度、50度、80度の3段階に切り替え可能。付属のローアングルアダプターを使用すれば、地面ぎりぎりでの撮影も可能だ。
脚ロックはレバー式 | 開脚する場合はプッシュボタンでロックを解除する |
三脚本体には水準器を内蔵。ビデオ撮影ではカメラ本体ではなく、三脚本体を水平にしておかないとパンした際に徐々に水平がずれてしまい見栄えが悪くなってしまうので、水準器の役割は重要だ。この三脚も水準器のおかげで水平を素早く合わせられるのがありがたい。
本体部分に水準器を装備 |
付属のビデオ雲台PH-114Vはシンプルな構造で、初めてビデオ雲台を使うユーザーでも十分扱えそうだ。カウンターバランス機構などはないが、基本的にティルトの調整ノブとパンの調整ノブを回して好みの動きになるようにするだけの簡単操作になっている。ノブをロックまで回すとしっかりとカメラを固定できるので、静止画撮影も十分行なえる。
ティルト調整ノブ(手前) | パン調整ノブ(手前) |
実際に使ってみると低速でパンしている際に若干のムラが確認できたが、高速のパンなどでは問題なく使用することができた。ティルトは非常にスムーズで撮影しやすい印象だ。
・Abeo 323AVを利用して撮影した動画
パン棒も雲台との接合部分に細かいスリットが入っており、雲台の接合部としっかりとかみ合うため、勝手に動くことはなくしっかりとホールドすることができる。またクイックシューは縦、横どちらでも装着できるため、レンズよりもボディが小さいカメラ(小型のノンレフレックス機など)でも、シュープレートがレンズと干渉することなく装着できる点はありがたい。
パン棒は雲台に対して任意の角度に調節できる | クイックシュー部分 |
シュープレートは接続部分が正方形で、どちらの向きでも装着可能 |
今回は旅客機を撮影したが、望遠レンズを装着してもしっかりと被写体を追うことができた。また、動画撮影だけでなく飛行機や電車のようにほぼ同じ位置を通過する被写体を撮影するには、スムーズに動くビデオ雲台の方が撮影しやすいように感じた。大きな望遠レンズを使用しているユーザーにもオススメできる。
・操作しているところ
難点は、ビデオ用なので基本的に縦位置撮影は難しいことだろう。しかし、Lブラケットなどを組み合わせれば一応縦位置撮影も可能だ。
ただしガードフォースジャパンでは、4月10日から6月30日にかけ、Abeoシリーズを購入すると、3ウェイ雲台がもらえるキャンペーンを行なっている。3ウェイ雲台を取り付ければ、静止画を撮影するにも扱いやすくなるはずだ。
プレゼント品の雲台 |
なお、この三脚と雲台はスムーズにパンできるため、パノラマ撮影にもオススメできる。
カメラバッグなどを吊り下げて安定を増すことができるフックも付く |
ビデオ三脚は何十万円もする高価な物も多いが、今回ご紹介したAbeo 323AVであればコストパフォーマンスに優れており、それでいて動画撮影時のクオリティは大幅にアップすることだろう。大きさの割には質量も3kgと、電車移動でも比較的苦労することなく持ち運びできる。
これから本格的に動画撮影をはじめる方や、望遠レンズで飛行機や電車、動物などを撮影する方にはオススメできる一品といって良いだろう。
2012/4/10 12:15