写真展
有野永霧写真展「日本人景 借景の村」
(ニコンサロン)
Reported by 本誌:河野知佳(2015/9/10 07:00)
「日本人景」は、人が自然とかかわり合いながら人為的に作った風景から、日本人のものの見方や考え方を探って見ようとするシリーズである。
今回は、日本文化の独特な造園思想の「借景」に作者は着目した。造園学での借景は、前景と遠景、庭と背景からなる借りた風景の融合の世界を求めている。作者は適合した関係にとどまらず、違和感のある風景や、奇妙な対比をなす風景、さらにはちぐはぐな様相を呈している無関係の光景などを集め、不条理ともいえる借景の中に日本人の潜在的な思想をさぐろうとした。
人は生活をする中で、この風土に対して様々な行為を仕掛け、人工の風景・人景をたゆまなく作り続けてきた。日本の村も、人が自然の中に足を踏み入れ、手を加えながら、営々と生活を営なみ、歴史と文化を作り上げてきた。現在我々が見ている風景は、意識的であれ無意識的であれ、日本人が時間とともに歩んできた集積であると作者は言う。
カラー40点。
(写真展情報より)
会場・スケジュールなど
- ・会場:大阪ニコンサロン
- ・住所:大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
- ・会期:2015年9月20日木曜日~2015年9月16日水曜日
- ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
- ・休館:会期中無休
- ・入場:無料
トークショー
2015年9月10日18時30分~20時
作者プロフィール
1941年兵庫県生まれ。大阪学芸大学(現・大阪教育大学)卒業。
ニコンサロンでの写真展に78年「there WAS・・・ ヨーロッパにて」、80年「虚実空間・都市 日本編」、83年「虚実空間・都市 ロンドン編」、同年「虚実空間・都市 ニューヨーク編」、89年「空蝉の都市 日本編」、94年「空蝉の都市 ヨーロッパ編」、96年「空蝉の都市 アメリカ編」、97年「無名のアースワーク シーサイド編」、99年「無名のアースワーク 国道筋編」、03年「虚実空間・日本人景」、06年「無名のアースワーク 地中海編」、07年「無名のアースワーク アメリカ編」、09年「日本人景 温泉川」、10年「日本人景 三角地」、14年「マイナスの人景」がある。他にアメリカ、イギリス、オランダ、ドイツ、中国、韓国、台湾などでの海外展がある。
主な写真集は「虚実空間・都市」、「都市からのメッセージ」、「都市」、「虚実空間・空蝉の都市」、「虚実空間・空蝉の風景」、「日本人景 温泉川」。
受賞歴に81年タイムライフ写真年鑑新人賞、94年第19回伊奈信男賞などがある。