見たいもの、行きたいところへ。saizou初個展「ああ、世界は美しい」

2012年に初めて購入した一眼レフカメラ「D5100」。いまでこそ、デジタルカメラマガジンの誌面で見ないときの方が少ない人気写真家のsaizouさんだが、それまでは休日を夕方まで寝て過ごすような日々だったと本人も振り返る。カメラを手にしてからは富士山、屋久島、極北のオーロラ、鏡のようなウユニ塩原。いままでテレビでしか見たことのない世界の絶景と呼ばれる場所へ、写真に撮ってみたいと思うようになったという。2014年にはログカメラを開設、写真と機材の紹介を行うようになった。2018年1月号でデジタルカメラマガジンに寄稿、2020年1月にはNIKKOR Z 24mm f/1.8 Sのスペシャルコンテンツにも起用された。写真を重ねていくごとにカメラに求める機能も高いレベルのものとなり、現在はZ 9とZ 7Ⅱがメインカメラとなった。

まるで地方に暮らすアマチュアカメラマンのサクセスストーリーのような経歴だが、本人は今後もこのままアマチュアとして写真ライフを楽しんでいくことを信条としている。そんなsaizouさんがニコンのTHE GALLERYで初の個展を開催する。

私がカメラを手にしてから、何度この言葉を呟いただろうか。
凍てつく大地を覆うようなオーロラ、まるで鏡の上を歩いているような塩の湖、寒さと強風に耐えながら迎えた冬山から見る朝日。青く深い海の底。それまで知ることさえなかった、想像を絶する光景の数々。
テレビの向こう側にしか見られないような世界に、カメラを持つと飛び込んでいくことができた。

仕事終わりの体にムチを打ち、夜を徹して車を走らせてでも見たかった景色。
全ての力が尽き果てるまでに歩いたその先に見えた山々。
写真を始めなければ出会うことができなかった生き物たち。

全て写真は記録してくれた。

あと何度、このような素晴らしい光景に立ち会えるのだろうか。
死ぬまでに行きたい場所を挙げればきりがないけれど、私たちには夢を叶える力がある。夢を叶える権利がある。一歩踏み出すときいつも手にしているのは小さなカメラだ。
そして、また出会える光景を見てきっとつぶやくのだろう。

「ああ、世界は美しい」

写真展情報より

saizou写真展「ああ、世界は美しい」

作家プロフィール

島根県生まれ。2012年にデジタル一眼レフカメラ「D5100」を手にして以来、本格的な写真撮影に傾倒。その後、主に風景撮影を通じて世界の美しさに魅了され、写真家への可能性を見つめ始める。2014年に個人ブログ「ログカメラ」の運営を開始。同年「D750」を購入し、数多くの作品を公開し続け、多くのフォロワーに支持される。現在の主機材は「Z 9」、「Z 7」と「NIKKOR Z」。さらに精力的な撮影に取り組んでいる。