新宿ニコンサロン、桑田太写真展「蘇レ金太郎」


 新宿ニコンサロンは、桑田太写真展「蘇レ金太郎」を7月12日から開催する。


岡山県北東部にある勝央町で写真展をしたことが縁で、作者の同町通いが始まった。
台風による倒木、高速道工事の建機類、熊注意の看板、そして町のシンボルの金太郎像を見て、作品創造を思いたった。
山に囲まれた西国の某所で、一歩入るとこの町でも美名を借りた開発ながら荒廃を目にする。今はいないと聞く熊に注意を呼ぶ看板が空しいが、町中いたる所で現在の熊、すなわち建設機械類が山を削り、涙が湧き出る。樹木を倒す木々の声なき声、工事が進むさまは暴れ熊に見えた。エンジン音の止まった“熊”、停止し静まった“熊”は不気味で近寄り難い。作者は怖々そっと写した。
「そうだ、町に鎮座する坂田の金太郎に、この町の山を、川を、田を、良き方向に導くため、お目覚め願ったら…」
坂田の金時こと坂田の金太郎は、九州遠征の途次、熱病に罹り、ここ勝央町で亡くなった。齢55歳だったという。
シンボル像は、幼児で「金」の腹当てを着け、まさかり担いで熊にまたがっている。金太郎さんに“早く”と声援したい。少しは良き昔日に気づくのかもしれないから。モノクロ35点。(写真展情報より)

  • 名称:桑田太写真展「蘇レ金太郎」
  • 会場:新宿ニコンサロン
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • 会期:2011年7月12日〜7月18日
  • 時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休

(本誌:折本幸治)

2011/6/28 00:00