キヤノン、新UI・新デザイン採用の「PIXUS」新モデル


 キヤノンは、インクジェットプリンター「PIXUS」の新製品6機種を9月9日より順次発売する。価格はオープンプライス。発売日および店頭予想価格は次の通り。

製品名価格

オンライン直販予定価格

発売日
PIXUS MG8130オープンプライス39,980円9月9日
PIXUS MG6130オープンプライス30,980円9月9日
PIXUS MG5230オープンプライス27,980円9月9日
PIXUS MG5130オープンプライス21,980円9月9日
PIXUS MP280オープンプライス8,980円10月下旬
PIXUS iP4830オープンプライス16,980円9月9日

ブラック筐体になったPIXUS新モデル。唯一PIXUS MG6130にのみ、従来と同じイメージのシルバー筐体が選べる。PIXUSのロゴも新しくなった左からキヤノンマーケティングジャパン専務取締役 コンスーマーイメージングカンパニープレジデントの佐々木統氏、キヤノンマーケティグジャパン代表取締役社長の川崎正己氏、キヤノン常務取締役インクジェット事業本部長清水勝一氏

新筐体にタッチ式の新UIを搭載

 PIXUSシリーズ最新ラインナップとなる2010年秋冬モデル。外観、ユーザーインターフェイスとも一新したうえで、無線LAN対応やスマートフォンプリントの強化、フルHD動画対応プリントなどの特徴を盛り込んだ。

 「融合感」を打ち出した新コンセプトの「ブラック&ボックスデザイン」を採用。外装はピアノブラックの鏡面仕上げとなり、シルバーを基調とした従来のPIXUSのイメージから大幅に変化した。また、キヤノンが中心モデルと位置付けるMG6130については、ブラックとシルバーの2カラーを用意する。

 またMP280、iP4830を除き、新機軸のユーザーインターフェイス「Intelligent Touch System」を搭載。静電センサーとLEDを組み合わせたタッチ式の操作部は必要なセンサーが必要なときに光る仕組みで、「対話をするような操作が可能」という。視線の移動が少なく、操作時間も少ないとしている。さらに、静電式なので触れるだけで操作でき、スクロールホイール操作などが可能になった。液晶パネルはタッチ式ではない。

 無線LAN(IEEE 802.11n/g/b)搭載機種を拡大したのも今回のポイント。AOSS、WPS、WCNなどに加え、NECのらくらく無線スタートにも対応したという。スマートフォンからの出力については、従来からのiOS用アプリに加え、新たにAndroid用アプリを用意した。

新UI「Intelligent Touch System」を採用。液晶モニターとLEDを組み合わせたタッチ式操作部からなる。タッチ式操作部には静電式を採用
操作できるボタンを示すIntelligent Touch Systemにより、視線の移動が少なく、操作完了までの時間が短くなるという
液晶モニター下には3つのファンクションボタンを装備。ファンクションボタンは、操作に合わせて機能が変化するMG5230以上の機種は記録メディアスロットを装備する
スキャナー部。最上位モデルMG8130はCCDを採用。35mmフィルムスキャンにも対応する

 写真プリント関連では、RAWデータを現像することなくプラグインで印刷できる「Easy-PhotoPrint Pro」対応機種を追加。MG8130とMG6130で使用できる。対応ソフトは、Digital Photo Professional、Photoshop CS/CS2/CS3/CS4、Photoshop Elements 6/7/8。「自動写真補正 II」は、色かぶり補正を強化(パソコン使用時のみ)したという。

 付属のパソコン用統合メニュー「Solution Menu EX」からは、全機種とも「動画印刷」という機能が使用可能になった。キヤノンデジタルカメラのMOVファイルからベストショットを切り出し、プリントする機能。EOS 5D Mark IIなどのフルHD動画もサポートする。単にフレームを静止画化するだけでなく、ノイズ低減や解像感向上などを施してからプリントするという。

 また、付属ソフト「Easy-Photo Print EX」から、flickrのコンテンツを選択・プリントする機能を新搭載。flickrに公開された写真のうちプリント可能なものをEasy-Photo Print EX内で検索、選択、プリントできる。

 上位2機種にはグレーインクを含む6色独立インクタンクを採用する。記録メディアスロットからのダイレクトプリントでは、プリント中に「印刷予約」または「再生」を選択すると、次のプリント指示を行なえる「フォトプリント予約機能」を備えた。

従来からキヤノンが無償で提供するiPhone用プリントアプリに対応。iPadでも動作する同梱ソフトには、フルHDのEOSムービーのベストショッットを切り出してプリントする機能がついた
純正インクを使用した場合のみ利用できる「CREATIVE PARK PREMIUM」。著名写真家やイラストレーターの作品をダウンロードしてプリント可能
「自動写真補正 II」も進化。赤かぶりに強くなったという

無線LAN対応モデルを拡充

 新製品は、A4複合機5モデル、A4単機能機1モデルの計6機種。従来のMP490、MX7600、MX870、MX350、iP2700、iP100、iX7000、iX5000、Pro9500 Mark II、Pro9000 Mark IIと合わせ、30日現在、計16機種が現行モデルとなっている。

・PIXUS MG8130

 今回発表の中で最も高機能なモデルで、グレーインクを含む6色独立インクタンクを採用。ブラックは染料・顔料の「W黒」(ダブクロ)。最高解像度は9,600×2,400dpi。液晶モニターは3.5型TFT。35mmフィルムのスキャンが可能で、スキャナー部は4,800dpiのCCDとなっている。

 無線LAN、有線LAN、前面カセット(普通紙のみ)、USB、自動両面(普通紙・はがきのみ)、BD/DVD/CD、カメラダイレクト、カードダイレクト、IrDAなどを搭載する。オプションでBluetoothに対応。記録メディアスロットはCF、SDHC/SDメモリーカード、メモリースティックPRO、メモリースティックPROデュオなどに対応する。

 本体サイズは470×392×199mm、重量は約10.7kg。

・PIXUS MG6130

 MG8130からフィルムスキャン機能を省いた機種。キヤノンでは中心モデルとしてアピールしている。本機のみブラックとシルバーのカラーバリエーションを用意。

 液晶モニターは3型TFT。スキャナー部は4,800dpiのCISとなっている。

 そのほかの基本仕様はMG8130と共通。本体サイズは470×368×173mm、重量は約9.2kg。

・PIXUS MG5230

 W黒を含む5色独立インクを採用する無線LAN搭載モデル。プリント解像度は9,600×2,400dpi。

 液晶モニターは2.4型TFT。スキャナー部は2,400dpiのCIS。前面カセット(普通紙のみ)、USB、自動両面プリント、BD/DVD/CDプリントなどを採用する。IrDA、有線LANは非搭載。オプションでBluetoothに対応。

 本体サイズは455×368×160mm、重量は約8.1kg。

・PIXUS MG5130

 MG5230から無線LANを省略したモデル。さらにスキャナー部を1,200dpiのCISにダウングレードしている。BD/DVD/CDも利用できない。

 そのほかの主な仕様はMG5230と共通。本体サイズは455×368×160mm、重量は約7.8kg。

・PIXUS MP280

 液晶モニター非搭載のコンパクトな廉価モデル。プリンター部は4色インクの4,800×1,200dpi。スキャナーは1,200dpiのCISとなっている。

 パソコンとの接続はUSBで行なう。有線LAN、無線LAN、Bluetoothには非対応。カードダイレクト、カメラダイレクトも非搭載。

 本体サイズは450×335×153mm、重量は約5.5kg。

・PIXUS iP4830

 スキャナー部を持たないA4インクジェットプリンター。MG5230、MG5130と同様のプリントエンジンを採用する。5色独立インクタンクを採用し、最高解像度は9,600×2,400dpi。

 自動両面、前面カセット(普通紙のみ)、BD/DVD/CD、カメラダイレクト、カードダイレクトに対応。パソコンとはUSBで接続し、無線LANおよび有線LANは搭載していない。

 本体サイズは431×297×153mm、重量は約5.7kg。


CMキャラクターは岡田将生さん。シェアトップを目指す

 発表会に登壇したキヤノンマーケティグジャパン株式会社代表取締役の川崎正己社長によると、国内プリンター市場は2005年をピークに微減が続く中、2010年上半期は対前年で6%の上昇が見られた。そのため年間500万台強、4%程度の成長を予測している。その中でキヤノンは、上半期に46%のメーカー別シェアに甘んじていたが、今回のMG6130などを軸に、シェアNo.1を目指すことを宣言した。キヤノンマーケティングジャパン株式会社専務取締役 コンスーマーイメージングカンパニープレジデントの佐々木統氏も、「新しい価値と高付加価値を提供。十分50%はとれるのでは」との期待を述べいている。

 一方、消耗品の動向は堅調で、2005年を基準とした指数で見ると、市場全体では1.19、キヤノンでは1.32と上昇傾向にある。質疑応答でプリント機会の増減について話が及ぶと、「ショット数は指数関数的に伸びている。そのほとんどがプリントに結びついていないものの、プリントボリュームも伸びている。プリンター本体の台数がフラットになりつつあるのは事実だが、パソコン以外からのプリントなどにより、プリントボリュームは増えるだろう。本体は微増、プリントボリュームは2桁成長が期待できる」(キヤノン株式会社常務取締役インクジェット事業本部長清水勝一氏)との見方を示す場面もあった。

PIXUSは10年目を迎えた新しいPIXUSロゴ
中心モデルはMG6130MG6130にはシルバー筐体が存在
2010年の国内市場は増加に転じるという消耗品の動向

 7月にHPがエントリーモデルでの国内スタートを発表したクラウド対応については、「そういうのも新たな方向だと思う」と感想を述べ、「いかに多くプリントしてもらうか、(接続先として)パソコンを含めたパトロンを数多く求めたい。無線LAN、スマートフォンと今回も幅を広げている。今後はパソコン以外の世界が広がると思う」と続けた。

 また、国内マーケティング戦略を説明した佐々木氏は、無線LAN、カラーバリエーション、新UIなどによる「美しさ」と「快適さ」を強調。「すべてが美しい」とし、新モデルの特徴をまとめたキャッチコピーとして「さぁ美しく。TOUCH! BEAUTY 新PIXUS」を掲げた。

 CMキャラクターは前年の秋冬商戦に引き続き、俳優の岡田将生さんが担当。プリンターの営業マンという売る立場から一転、今回はPIXUSを使用する等身大の青年として出演したという。テレビCMとして「TOUCH! BEAUTY・光でナビ篇」と「TOUCH! BEAUTY・無線LAN篇」を9月より放映。Web上にはスペシャルサイトも設ける。

引き続き岡田岡田将生さんを起用。キャッチコピーは「さぁ美しく。TOUCH! BEAUTY 新PIXUS」
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(本誌:折本幸治)

2010/8/30 21:19