デジカメ Watch

パナソニックLUMIX DMC-LX3【第5回】
ちょっと寄り道。パノラマで遊ぶ

Reported by 安孫子卓郎


 DMC-LX3を語るなら、とり上げておきたいのがパノラマです。16:9の横長画面、24mmの広角、とくれば、パノラマと続きたくなるのは、私だけではありますまい。といっても、パノラマを合成するとなると、これはDMC-LX3の本来の機能ではありませんので、話としては横道にそれてしまう部分も出てきますが、それでもとり上げておきたくなるのが、DMC-LX3とパノラマの関係です。

 16:9と言えば、16:8の2:1よりわずかに縦のあるサイズです。16:9だけでもかなりパノラマ的ではあるわけですが、それを合成することでさらにダイナミックなパノラマを作りたいと、これはDMC-LX1の当時から考えていたことです。パノラマには合成ソフトが必要になりますが、今回はPhotoShop Elements 6を使用しました。専用ソフトではないので操作はやや面倒ですが、機能的には優れています。


Photoshop Elements 6のパノラマ作成機能。合成方法を選べる
 パノラマの作成は、新規作成からパノラマを選んで行ないます。このとき合成方法として、「自動」、「遠近法」、「円筒法」、「位置のみ」、「手動」を選べます。円筒法は以前からある手法で、広角レンズの歪みを樽型に修正しつつ合成して、魚眼的とも言えるような効果を出してくれる手法。遠近法は歪みを補正して直線的に出してくれる手法です。面白さとしては、昔ながらの円筒法の方が特殊効果らしくて楽しいと思い、今回も多用しています。

 遠近法は、実務的な撮影、会議室の風景を撮るような場合などに有効でしょう。案外良かったのが手動です。遠近法や円筒法では画像を変形して合成点を合わせますが、手動では画像を変形せずに位置を合わせて、合成点だけを目立たないように加工してくれます。工夫して使い分けると、かなり楽しめます。

 で、パノラマですが、当初の予想とは違い、横位置のパノラマはほどほどの方がよいなと思いました。もともとが16:9で長いわけですから、これをつなげるとさらに細長くなります。当たり前なのですが、やってみると必要以上に細長く感じてしまいます。重なりの程度によりますが、2枚の合成でも3:1くらいに。3枚合成では4:1くらいになります。今回は変形したままの余白付き画像を掲載していますが、上下左右をトリミングして余白のない形にしてしまうと、2枚合成でも5:1とか、3枚ならさらに細長くなってしまって、画面で見るには細長すぎるようです。

 もちろんWebならスクロールさせる技法もありますし、印刷だったらロール紙に印刷することで解決できる部分はあるのですが、スクロールさせるなら動画でよいじゃないかと思いますし、ロール紙も小さな紙に印刷するのでは迫力不足。といってA3ノビのロール紙に印刷など、そうそうできるわけでもありません。ワイド液晶のパソコンも増えていますので、そのような環境があればパノラマもさらに楽しめそうですが、余りに細長すぎるのはどうかなと思ってしまいました。

  • サムネイルをクリックすると、長辺を1,024ピクセルにリサイズした画像を別ウィンドウで表示します。
  • 元画像、パノラマ合成画像のすべてをリサイズしています。
  • 各パノラマ合成にはアドビ「Photoshop Elements 6」を使用しています。


横位置2枚を合成

元画像1 元画像2

完成画像(円筒法)

横位置3枚を合成

元画像1 元画像2 元画像3

完成画像(円筒法)

完成画像(位置のみ変更)

 これは面白いと思ったのが縦位置のパノラマ。縦に細長くするのではなく、縦位置画像を横に合成するわけです。すると、予想外の広角画像が得られて、かなり面白い写真になってきます。その場合、16:9のままで撮影してもよいのですが、縦位置にして横につなげるのなら4:3の方が良さそうです。


縦位置3枚を合成

通常の撮影(16:9)


完成画像(円筒法)

 PhotoShop Elements 6は、合成する際にホワイトバランスや露出の違いを目立たなくしてくれますが、できればマニュアルで露出やホワイトバランスを合わせておくのがベストでしょう。ただし3枚くらいの合成でしたら簡単な方法があります。撮影時に中央になる写真のときにAE/AFロックをかけ、左に振って1枚。中央でAE/AFロックをかけ1枚。中央でAE/AFロックをかけて右に振って1枚。もちろんずれてしまうこともありますが、このようにすればマニュアルにしなくても、おおむね3枚の色や露出を合わせることが可能です。

 またこれが使えるのは、被写界深度の深いコンパクトデジカメならではです。大きい撮像素子のカメラだと、被写界深度の浅ささから一部がピンボケになる可能性が高くなります。絞り込めば回避できるとはいえ、スローシャッターになるので三脚が必要になったり、増感の必要性もでてきます。そう考えると、パノラマ合成はコンパクトカメラ向きの機能なのかなとも思えます。

 最近はカメラ本体内でパノラマ合成をしてくれる機種も登場してきました。ぜひ次機種のDMC-LX4では、カメラ内でのパノラマ合成をサポートしてくれたら楽しいなと、考える次第です。


自由作例


合成後にトリミング

遠近法

円筒法


URL
  パナソニック
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/lx3/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー(DMC-LX3)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm#lx3

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安孫子卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2008/11/04 15:40
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