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COOLPIX P5100【第3回】
一眼レフライクな「仕上がり設定」

Reported by 本誌:折本 幸治


 3週間目に突入したCOOLPIX P5100との生活。最初にはしゃいでいた分、冷静になるにつれて「もう少しこうなっていたら」との思いも増えてきた。その1つとして、今回は「仕上がり設定」による色調設定をとり上げてみたい。

 というのも、デフォルトの絵が自分的には少し派手に感じはじめたからだ。いや、ほとんどの場合はデフォルトのままで問題ないと思うが、「あと少し軟調でもいいかな」と感じるシーンが出てきた。個人的に好きなのは、COOLPIXでいえば、COOLPIX S10やCOOLPIX S500のような、陰影が浅いながらも立体感のある絵。これらに比べるとP5100は、条件によっては幾分パリッとした印象を受ける。

 そこで試したが「仕上がり設定」だ。近年のニコン製デジタル一眼レフカメラのユーザーなら、この機能はすでにおなじみだろう。「鮮やかに」や「人物きれい」などのアレだ。これを使いこなせば、自分好みの絵を追求できそうだと踏んだわけ。

 COOLPIX P5100では、仕上がり設定として「標準」、「ソフトに」、「鮮やかに」、「より鮮やかに」、「ポートレート」、「カスタマイズ」、「白黒」の6種類を選択できる。デフォルトは「標準」だ。カスタマイズ以外は微調整を受け付けない、いわばニコン推奨の設定となる。

 各仕上がり設定のうち「カスタマイズ」を選ぶと、「コントラスト」、「輪郭強調」、「彩度調整」の3つのパラメーターを個別に調整できるようになる。これらを試せば、理想の画調が見えてくるかもしれない。

 なお、仕上がり設定「白黒」では、黄、オレンジ、赤、緑といった「モノクロフィルター」を設定可能。しかも白黒とカラーを同時記録するかを設定できるなど、コンパクトデジカメにしては凝りに凝っている。いずれ詳しく紹介したい。


おなじみの名前が並ぶ「仕上がり設定」。ほかのCOOLPIXは「ピクチャーカラー」だ 仕上がり設定「カスタマイズ」では、コントラスト、輪郭調整、彩度調整の設定が可能

 ちなみに、COOLPIX現行機種(COOLPIX S700、S510、S200、S51、S51c、S10、P5100、P50)のうち、仕上がり設定を備えるのは「COOLPIX P50」のみ。ほかは「ピクチャーカラー」(標準カラー、ビビッドカラー、白黒、セピア、クール)になり、コントラストなどを個別に調整する機能はない。またCOOLPIX P50は、白黒のモノクロフィルターや、カラーと白黒の同時記録には対応していないようだ。

 さて、仕上がり設定の「カスタマイズ」を追求する前に、ニコンおすすめの設定である「標準」、「ソフトに」、「鮮やかに」、「より鮮やかに」、「ポートレート」の違いを勉強することにした。各仕上がり設定ごとに同一シーンを撮影すると、結構違って面白い。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算の焦点距離を表します。


共通データ:4,000×3,000ピクセル / 1秒 / F5.8 / 0EV / ISO64 / WB:曇天 / 123mm


標準 ソフトに

鮮やかに
より鮮やかに

ポートレート
白黒

 
共通データ:4,000×3,000ピクセル / 1/15秒 / F5.8 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 123mm


標準 ソフトに

鮮やかに
より鮮やかに

ポートレート 白黒

 
共通データ:4,000×3,000ピクセル / 1/300秒 / F6.4 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm


標準 ソフトに

鮮やかに
より鮮やかに

ポートレート 白黒

 
共通データ:4,000×3,000ピクセル / 1/234~1/258秒 / F6.4 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm


標準 ソフトに

鮮やかに
より鮮やかに

ポートレート 白黒

 ニコンの画像管理ソフト「ViewNX」で撮影情報を確認すると、それぞれの仕上がり設定におけるコントラスト、輪郭強調、彩度調整の設定がわかる。COOLPIX P5100の「コントラスト」がViewNXでは「階調補正」だったりと、項目の名称が異なっていることに一抹の不安を覚えるが、項目数と効果の序列の対応はとれている。8パターン撮ったサンプルから、次の結果が判明した(以下の項目名は、すべてCOOLPIX P5100での名称)。

  • 標準:コントラスト=オート、輪郭強調=オート、彩度調整=±0(標準)
  • ソフトに:コントラスト=-2(弱め)、輪郭強調=-2(弱め)、彩度調整=±0(標準)
  • 鮮やかに:コントラスト=±0(標準)、輪郭強調=+1(やや強め)、彩度調整=+1(強め)
  • より鮮やかに:コントラスト=+2(強め)、輪郭強調=+2(強め)、彩度調整=+1(強め)
  • ポートレート:コントラスト=オート、輪郭強調=-1(やや弱め)、彩度調整=±0(標準)


 実際にはコントラスト、輪郭強調、彩度調整のほかに、何らかの調整が加えられている可能性はある。それでもこれら3項目が絵作りに与える影響がわかり、大変勉強になった。掲載したサンプルは、比較的派手目の設定が似合うシーンだろう。個人的には「ソフトに」がちょうど良く感じるが、被写体やシーンによって、ベストな設定は変わると思う。

 次に仕上がり設定「カスタマイズ」にトライ。コントラスト、輪郭強調、彩度調整を試してみた。すべての組み合わせを掲載するわけにはいかないので、効果がわかりやすい代表的なものを紹介する。


●コントラスト

 輪郭強調および彩度調整はいずれも±0(標準)。コントラストのみ変化させた。落ち葉を写した写真では、柔らかい-2から±0にかけての表現が印象的。また、コントラストを上げるにつれて、青空の色がクリアになる。カメラ本体の液晶モニターでみると、+2はかなり白トビ・黒ツブレした印象になるが、実際には思ったより白トビしていない。

 
共通データ:4,000×3,000 / 1/41~1/46秒 / F6.1 / -0.3EV / ISO64 / WB:曇天 / 60mm


コントラスト=±0(標準)
コントラスト=-2(弱め)

コントラスト=-1(やや弱め)
コントラスト=+1(やや強め)

コントラスト=+2(強め)

 
共通データ:4,000×3,000 / 1/572~1/578秒 / F6.1 / -0.3EV / ISO64 / WB:曇天 / 60mm


コントラスト=±0(標準) コントラスト=-2(弱め)

コントラスト=-1(やや弱め)
コントラスト=+1(やや強め)

コントラスト=+2(強め)

●輪郭強調

 コントラストと彩度調整を±0(標準)にしたまま、輪郭強調だけを変化させている。+2だと白フチが太くなり拡大すると目立つが、遠景ならこれもありだと感じた。

 
共通データ:4,000×3,000 / 1/50~1/55秒 / F6.1 / -0.3EV / ISO64 / WB:曇天 / 60mm


輪郭強調=±0(標準)
輪郭強調=-2(弱め)

輪郭強調=-1(やや弱め)
輪郭強調=+1(やや強め)

輪郭強調=+2(強め)
輪郭強調=OFF

 
共通データ:4,000×3,000 / 1/591~1/600秒 / F6.1 / -0.3EV / ISO64 / WB:曇天 / 60mm


輪郭強調=±0
輪郭強調=-2(弱め)

輪郭強調=+1(やや弱め)
輪郭強調=+1(やや強め)

輪郭強調=+2(強め)
輪郭強調=OFF

●彩度調整

 コントラストと輪郭強調は±0(標準)に固定。-1が個人的にはすっきりしていて好きだが、+1の強めでも、予想以上に控えめに感じる。カメラ本体の液晶モニターだと+1はあまりにもギトギトしていただけに、これは意外だった。COOPIX P5100にもRGB別のヒストグラムがほしいところだ。

 
共通データ:4,000×3,000 / 1/51~1/54秒 / F6.1 / -0.3EV / ISO64 / WB:曇天 / 60mm


彩度調整=±0(標準)
彩度調整=-1(弱め)

彩度調整=+1(強め)


共通データ:4,000×3,000 / 1/600秒 / F6.1 / -0.3EV / ISO64 / WB:曇天 / 60mm


彩度調整=±0(標準) 彩度調整=-1(弱め)

彩度調整=+1(強め)

 もちろん、こうした絵作りに関するパラメーターは、被写体や表現したい内容で変えるのが本筋なのだろうが、好みの画調を追い込めるのは単純に楽しい。また、仕上がり設定「標準」の無難さを改めて確認できたのは収穫。「標準」はコントラスト=オート、彩度調整=オートになるわけだが、さすがメーカー推奨だけあって、その組み合わせは絶妙に思える。今まで何とも思ってなかっただけに、少し感動した。

 というわけで、しばらくは「標準」と「カスタマイズ」をシーンによって使い分けようと決心。「標準」とともに、コントラスト-1、輪郭強調+1、彩度調整-1の「抑え気味」設定でも撮っておこうかと思う(この連載では基本的に「標準」を掲載する予定)。カスタムNo.設定に仕上がり設定を登録できるので、切替は思いのほか簡単。FnボタンにカスタムNo.を登録すれば、Fnボタン+コマンドダイヤルでの切替が可能だ。徐々に自分仕様になっていくのが楽しい時期であり、いろいろ試して結局デフォルトに戻すような予感もしつつ、今のところは細かい機能のひとつひとつに喜びひとしお、といったところだ。



URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/compact/coolpix/p5100/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー(2007年)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm

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本誌:折本 幸治

2007/11/26 12:19
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