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ニコンCOOLPIX P5100【第1回】
ニコン党も納得? の高級コンパクト

Reported by 本誌:折本 幸治


 リコーの「GR DIGITAL」が火をつけた感のある「今どきの高級コンパクト」。今、適当に思いついたジャンル名だが、とりあえず同じくリコーの「Caplio GX100」や、キヤノンの「PowerShot G9」などが相当するカテゴリーとしておきたい。

 以前にも比較的コンパクトなボディながら、高画素・大サイズの撮像素子、バリアングル液晶モニター、P/A/S/Mの露出モードなど、豪華装備を誇るデジタルカメラが各社のラインナップに存在していた。しかし、今どきの高級コンパクトはそれらと違い、どちらかというと「カメラらしいスタイリング」を重視するコンセプチュアルなカテゴリーといえる。エントリークラスでも基本スペックの底上げが激しい昨今、画素数や液晶モニターのスペックだけでは、いちがいに「高級」とはいえないからだ。さらに、カメラ好きをターゲットとした今どきの高級コンパクトには、時節柄、「デジタル一眼レフカメラのサブ機」としての役割も期待されているのだろう。

 ニコンの「COOLPIX P5100」も、そうした「今どきの高級コンパクト」だ。ただし「カメラらしい」といっても「デジタル一眼レフカメラっぽい」ところが、懐古趣味的なのライバルたちと違うところ。どちらかというと、デジタル一眼レフカメラのサブ機としての位置付けを強くアピールしているのが特徴だ。例えば、背面のボタン配置しかり、撮影メニューの「仕上がり設定」しかり。もっとも、今秋の新製品からニコンのデジタル一眼レフカメラは、仕上がり設定ではなく「ピクチャーコントロール」になってしまったが……。

 というわけで、ニコンのデジタル一眼レフカメラを愛用する筆者が、今週からCOOLPIX P5100を使い込んでみたいと思う。まずはファーストインプレッションと、気になる機能から。

 最初に手にして驚いたのは、先代の「COOLPIX P5000」から大幅にかっこ良くなったこと。COOLPIX P5000でげんなりさせられたシルバーのパーツ(鏡胴、モードダイヤル、コマンドダイヤルなど)が、ことごとくブラックになったためだ。これなら、うるさいニコン党も満足だと思う。背面のボタン配置、ボディ表面のちりめん仕上げ、メニュー画面のフォントやデザインなど、そこかしこにニコン製デジタル一眼レフカメラを彷彿とさせる部位が見られる。もちろん、マニュアル露出時の露出計表示は右がプラス、左がマイナス。ニコン党ならすんなり受け入れられるだろう。


D80(右)と並べてみた。ボタンの並び方など、似ているといえば似ている
モードダイヤルとコマンドダイヤルを装備。サブコマンドダイヤル(前ダイヤル)まで求めるのは酷か

同社のデジタル一眼レフカメラを思わせる「仕上がり設定」もある 仕上がり設定にはおなじみの名前が並ぶ

仕上がり設定はカスタマイズが可能。残念ながら「ピクチャ―コントロール」ではない

 また、COOLPIX P5000から引き続き、両吊り対応のストラップ取り付け部を採用。光学ファインダー、コマンドダイヤル、ホットシューなど、ちょっとうるさいカメラマニアを軽くうならせる装備も健在だ。三脚穴も金属製。ホールディングも良く、吸い付くようなグリップのラバーが心地良い。触っているうちにどんどん愛着が湧きそうだ。

 スペック面にも妥協がない。絞りは6枚羽根だし、測光はマルチパターン・中央部重点・スポット・AFスポット(測距点連動)とぬかりなし。分割測光だけのカメラだと、露出補正が面倒なのだ。シャッター速度は8~1/2,000秒。最近は、最低および最高速度が中途半端なカメラが多く、夜景や動きモノでも苦労する。COOLPIX P5100なら問題なさそうだ。もちろん手ブレ補正を搭載。最近COOLPIXの一部が採用するCCDシフト式VRや、電子式のe-VRではなく、ニコン伝統のレンズシフト式VRだ。顔認識も複数の顔を検出できる「2.0」になった。使い勝手は改めて報告したい。

 操作性も気に入った。近年のCOOLPIXといえば、露出補正するだけでメニューをたどらなければならなかったりと、何をやるにしてもひと苦労する印象があった。

 しかし、COOLPIX P5100(とCOOLPIX P5000)は違う。露出補正メニューは十字ボタン右を押すとすぐに現れるし、Fn(ファンクション)ボタンにはISO感度などを割り当てられる。Fnボタンを押しながらコマンドダイヤルを操作すれば、素早いセッティングが可能だ。今から何をFnボタンに割り当てようかとわくわくする。モードダイヤルは適度に硬く、コマンドダイヤルはほどほどに軽い。ともにクリック感が良く、使いやすさはコンパクトデジタルカメラとして納得できるもの。操作に苦労しつつ2カ月間レポートした「COOLPIX S10」からすると、別物のような気持ち良さだ。


Fnボタンに割り当てられる機能その1。露出補正がないが、十字ボタン右でショートカットを呼び出せる その2。三脚使用時に誤作動するようなら、手ブレ補正のON/OFFあたりを割り当てようかと思案中

とりあえずISO感度を割り当てた。ダイヤル操作で素早くカーソルが動くのが気持ちよい
都市スナップ派にはうれしいかもしれない「ゆがみ補正」。いずれ詳しくレポートしたい

14種類の設定を2パターン保存できる「カスタムNo.」
いまところ、カスタムNo.1を手持ち用、カスタムNo.2を三脚用にする予定

 さらに驚いたのが、カスタムNo.を2種類まで保存できるところ。14種類の設定項目を記憶させ、用途に応じて呼び出せるのだ。上記のFnボタンにもカスタムNo.の切替を割り当てられるので、切替もかんたん。カスタム仕上がり設定も併せて、カスマイズする楽しみが味わえそうだ。画質はこれから精査したいが、とりあえず「ゆがみ補正」が強力。画角が少しだけ狭くなるが、ズームレンズの歪みが大嫌いな人こそ体験して欲しいと感じた。裏を返すと、それだけ元のレンズに歪曲収差があるわけだが……。

 高級コンパクトだけあって、拡張性も優れている。スピードライト「SB-400」、「SB-600」、「SB-800」を装着可能。SB-800は取材のときに持ち歩いているので、メインの一眼レフカメラが何かあったときに活躍するかもしれない。ほかには、COOLPIX P5000と同じテレコンとワイコンを使用できる。さらにブラケットを介して、フィールドスコープやネイチャースコープの「ファーブルフォト」と接続可能だ。これらもいずれ試してみたいところだ。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


ゆがみ補正OFF
4,000×3,000 / プログラムAE / 1/124秒 / F3.8 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm
ゆがみ補正ON
4,000×3,000 / プログラムAE / 1/128秒 / F3.8 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm

4,000×3,000 / プログラムAE / 1/93秒 / F3.9 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 60mm 4,000×3,000 / プログラムAE / 1/60秒 / F4.3 / 0EV / ISO99 / WB:オート / 87mm

仕上がり設定:鮮やかに
4,000×3,000 / プログラムAE / 1/328秒 / F5.8 / -0.3EV / ISO64 / WB:晴れ / 123mm
仕上がり設定:より鮮やかに
4,000×3,000 / プログラムAE / 1/138秒 / F3.8 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm

4,000×3,000 / プログラムAE / 1/88秒 / F3.9 / +0.7EV / ISO64 / WB:マニュアル / 60mm
仕上がり設定:より鮮やかに
4,000×3,000 / 1/28秒 / F2.7 / -0.3EV / ISO400 / WB:マニュアル / 35mm


URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/compact/coolpix/p5100/

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本誌:折本 幸治

2007/11/12 17:00
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