特別企画

自転車でローカル鉄道撮影めぐり!

ミラーレス+小型三脚で写真を撮りに行こう

突然「自転車」「ローカル線」「三脚」という三題噺を持ちかけられたのである。いや三題噺ならそのネタで話を作り上げればいいのだが、今回はそれを実行してみせなきゃいけないのだ。おそろしや。

だがしかし、考えてみたら理にかなってるのである。

だって、ローカル線を電車で撮影に行くと、駅間の撮影ポイントまで移動するのが大変だし、ローカル線はそもそも本数が少ないので電車待ってるだけで1日が終わっちゃう。

多くの人は自動車で行くが、それだと鉄道に乗れないし(少しは乗る楽しみも味わいたいし)、自動車だと撮影ポイントへ行っても毎回駐車場所を考えなきゃいけない。

自転車だと、ほどよい速度で移動できるし、ほぼどこにでも止められるので「ここだっ」と思ったらさっと止めてセッティングできるし、必要なところは鉄道にも乗れる。

しかも線路沿いに自転車で走ると風景も風も薫りも身体で感じられる。

これは楽しいぞ。

折り畳み自転車で輪行するのだ

狙うは房総半島を走るローカル線「小湊鉄道」。

ちなみに房総半島は、往古「総(ふさ)」というひとつの国だった。それが「上総」と「下総」に分かれ、後に(718年)上総の南の端が「安房」となった。で、房と総で「房総」である。

小湊鉄道を自転車で移動しながら撮影する。

方法は2つ。ひとつはレンタル自転車。相場より安い価格で小湊鉄道のいくつかの駅に「レンタル自転車」が用意されている。ちょっと移動するだけならそれも可。

もうひとつは、「輪行」である。自転車を電車で目的地まで運ぶのだ。これなら目的地近くまで鉄道で移動し、現地で自転車という使い分けができる。

輪行は、普段乗ってる自転車をバラすか(前後の車輪を外すなど)、折り畳み自転車を折り畳むか、そのどちらかの方法で自転車をコンパクトにし、「専用のバッグ」(輪行バッグとして売られている)にいれて持ち込むのが基本。「サイクルトレイン」のような特別な列車を除き、自転車を裸のまま持ち込んではダメ。

うちには年季の入った折り畳み自転車があるので、それを持って行くことにする。

なお、各鉄道会社がきちんと車内への自転車持ち込みについてルールを定めているのでそれに従うこと。あとできるだけ車両の端の他の乗客の邪魔にならないところに自転車を置き、倒れないよう注意するのがマナーだ。

わたしが持っているのは、1996年に発売された初代のBD-1。古いのでかなり傷だらけだが、あれこれ手間暇掛けてカスタマイズしてあり、フレームがイカれるまでは乗り続けようかという代物。

これを電車に乗せ、内房線で五井駅へ。

あらかじめ、上総鶴舞駅から自転車で走ろうと決めていたので、五井駅から小湊鉄道に乗車。上総鶴舞駅を降りてから自転車を組み立てて走行を開始した。

きれいに折り畳まれております。

それがアッという間に自転車に。あとはペダルをつけたら走行可能だ。

ちなみにわたしのBD-1には「セキサイダー」という名の車輪付リアキャリアをつけてある。走行時はそこに荷物を載せられるので身体の負担が減るという代物だ。

そしてバッグにいれておいた三脚を荷台にくくりつける。その方が移動時に身体に負担がかからないのだ。

それにしても晴れてよかった。

三脚はベルボンのUT-53Q

三脚は、実はこれが本題なのであるが、ベルボンのトラベル三脚UT-53Q。

ベルボン得意のウルトラロックを使った超コンパクトなトラベル三脚だ。実はウルトラロックものの三脚はすでに3本ほど使用してるのだが、これがすぐれているのは「軽くて」「縮長が短い」上に長く伸びること。短くなるのでめちゃ持ち歩きやすいのだ。

さらに「ウルトラロック」は伸縮がすごく手早くできる。ぐいっと捻ってすすっと伸ばしてまた捻って締めるだけ。自転車で出かけるときに最適なのだ。

今回のUT-53Qは折り畳むとき足を180度回してセンターポールを3本の足で挟むことで、縮長をさらに短くできるという代物。なんと、エレベーターを最高に伸ばした状態での全高が1560mmと150cmを越える高さにカメラをセットできるのに、持ち運ぶために縮めると275mm……つまり30cm以下になっちゃうのである。

この伸縮率は笑っちゃうくらいすごい。

30cm以下になるとどうなるか。

たとえば、カメラリュックのペットボトル用ポケットにおさまっちゃうのだ。

この写真、わたしが普段使ってる軽さが素晴らしいけど三脚取り付け用のポケットがないバッグ。それでもこうやって……まあ三脚はペットボトルより太いのでやや無理矢理感は漂うけれども……気楽に運べちゃうのである。

では使ってみよう。

まず3本の足を回転させて下におろし、ロータリーハブを回して足が開きすぎないようセット。

そして、各脚のロックをぐいっと回して解除してしゅしゅしゅっと必要な長さに伸ばし、またぐいっと逆に回してロックさせて地面に立てるだけなのである。

これ、めちゃ速くて簡単。

ただし、締めが甘いと足が勝手に縮んでバランスを崩すので、一度立てたらカメラをつける前に上からとんとんと叩いてチェックすること。これ大事。

そしてクイックシューにカメラをセットである。

UT-53Qに付属する雲台「QHD-U5D」はクイックシューを利用したボール雲台。ボール雲台だがパン操作だけは別途行なえるのが便利。

見た目は細くて頼りなさげだが、けっこうしっかりしており、ハイエンドのミラーレス機+ちょいと重いレンズくらいならしっかり支えてくれる。

軽くてコンパクトにおさまるミラーレスシステム

今回はミラーレス一眼としてはゴツいオリンパスのE-M1と12-40mm F2.8。さらに望遠用としてパナソニックのPZ 45-175mmを用意した。このパナソニックの望遠レンズは軽くて安い上によく写るので手軽な望遠ズームとしてお勧め。

このくらいなら小型のカメラバッグにもこんな風におさまるのだ。

ちなみに、このカットを撮るためにもう1台ミラーレス機を持ってきております。

高滝湖の脇で切り通しを抜けてくる車両を狙う

では撮影に出発である。

わたしと自転車を運んでくれた小湊鉄道のキハ200系を無人駅のホームから見送ると、

さっそく自転車を組み上げ、走行の開始。

ポケットにはプリントアウトした小湊鉄道の時刻表。

これを見て次の車両がいつごろやってくるかを頭に入れつつ、よさげな撮影ポイントを探す。

最初に選んだのはちょっとした切り通しの間を車両が顔を出しそうなポイント。線路が大きくカーブしているので正面からの絵も狙いやすい。

時刻表的にも10分ほど待つだけでよさそうだし、道路脇に三脚を立てられるスペースもある。

ちょっと遠いので望遠ズームにつけかえて、待つ。

そして1両だけのキハがやってきた。遠くから音でわかる。

目の前を走りすぎるキハを追う。この三脚、パン機能を持っているので、こういうとき追いやすくていいのだ。

ただ電線がかぶったのは失敗。ちょっと甘かった。

田んぼの向こうを通り過ぎる姿を狙う

プリントアウトしていったおおざっぱな地図と、iPhoneのGoogleマップを併用しながら、できるだけ線路から離れない道を選んで走る。でも行ってみないとどんな道かわからない。

そういう意味では、飯給駅から月崎駅への道が傑作。山の中を線路とつかず離れず走っている道を選んだら、もう人も車もまったく出会わない林道っぽい道で、いきなり五角形の素掘りのトンネルがあらわれたのだ。

ちょっとびびりましたですよ。ひとりで狭くて暗い素掘りトンネルなんて肝試し状態。

楽しませていただきました。

しかも葉っぱや枝が落ちまくっててガードレールもない狭い道で、途中でパンクなんてしませんようにと祈りつつ走行。

抜けたら突然開けた田園地帯。これはすばらしい。

時計を見ると次の車両が来るまで12分。

撮影ポイントを探して農道にはいると、ちょうど、稲が実った田んぼを前景に撮れそうな場所を発見。

さっそく、稲がほどよく入る高さに三脚を立て、水平を確認。

雲台に水準器がついているとこういうときに便利。

横からの姿を撮るのでシャッタースピードを速めにし、じっと待つ。

撮影ポイント選択で大事なのは、季節と時刻。

今回はたまたままだ稲刈りが済んでない田んぼがあり、陽射しもまあまあだったのでここを選んだが、季節が変われば風景も変わるわけで、それも考慮してその季節に一番相応しい前景と背景をまた探さねばならない。それもまた撮影の楽しさである。

時刻もそう。同じ場所でも時刻によって順光だったり逆光だったりするわけで、撮影可能な場所でほどよい陽射しを探すのもまた大事なのだ。今回も、いい場所なんだけど逆光だったとか木の陰が落ちてたとかあったもの。

そして撮ったのがこちら。

トンネルを出てくる瞬間を狙う

次の撮影ポイントは出発前から決めていた場所。

月崎駅から線路に沿って少し南下したところ、車両がちょうどトンネルから出てくるポイントがある。

だがしかし、実はトンネル付近に木が茂っててわかりづらく、自転車でピューと通り過ぎてしまうところでした。いかんいかん。ピューと走っていたら道路の脇にカメラを持った鉄道好きっぽい若者がぽつんと座ってて、それを見て「あ、ここだったか」と停止。

おかげで通り過ぎずにすみましたありがとう。

何しろ、こんな場所だったのだ。

トンネルの出入り口が木々の影になっていて見落としやすいのである。

木や草が予想以上に茂っていて見通しが悪く、トンネルから出てくる姿を捉えられて三脚を置けるポイントを探したら、思ったより遠い場所になり、望遠レンズにつけかえる。

そして音で車両がやってくるのを知り、トンネルを出てくる瞬間を捉えたのがこちらだ。

田んぼごしにキハ200系

月崎駅を離れてさらに南下。目指すは上総大久保駅。

上総大久保駅の周りには田んぼが広がっており、そこをカメラを持った人が数人うろうろしてる。

どうやら撮影スポットらしい。

大きくカーブした線路をやってくる姿を狙うか、少し遠くから田んぼを前景に横向きを狙うか。

結局ここに陣取って、駅に止まっている姿と横向きの両方を欲張ってみた。

焦点距離12mmで撮った全景がこちら。手前に田畑があり、奥に森とちょっとした里山があり、右端に駅が小さく見える。

やがて車両がやってくる。

駅に止まっている姿は175mmの望遠端(350mm相当)で。

走り出したら45mm(90mm相当)に引いて全体を。

確かにこの場所は背景が森、前景が田んぼで見通しもよく撮影スポットなのがわかる。このあたりは狙い目。

養老渓谷の手前で谷地を走る車両を狙う

上総大久保駅の次は養老渓谷駅。山の中の道をのぼったりくだったりしながら駅へと向かう。実は細かい上り下りが多くてすでにバテ気味。緩くて長い上りが続く道なんざもう途中で休憩したくなるくらい。

と思ったら、ガードレールの下に線路が!

時計を見るとちょうどいい時間。

自転車を止め、走ってくる車両を上から狙うことに決定。

ただ木が陰を落としているので影にならないタイミングでうまく撮りたい。と思ってたら少し雲がでて柔らかい光に。

道路下の狭いところを走る小さな電車という感じがなんともたまらんのであった。

養老渓谷駅から上総亀山駅へ

そのまま養老渓谷駅まで走り、駅前で休憩。
 ここで小湊鉄道からおさらばしてJR久留里線の上総亀山駅を目指すのだ。

JR久留里線で木更津に出て、そこから帰るのである。

疲れた身体にムチをうってひとやまふたやま越え、上総亀山駅へ。いやあさすがに最後に山越えってのは疲れるわ。でも実は自転車は下りより上りの方が楽しいのである。なんとなく達成感があるもの。

実際にはこんなルートで走行した。

上総亀山駅に到着し、1時間に1本くらいの電車を待ち、久留里駅で木更津行きに乗り換える頃にはすっかり夜。

ふと見上げると、車両の上に月が!

というわけで、乗り換えまで時間が少しあったので、さっとUT-53Qを取りだし、たたたっと組み上げてカメラを縦位置にセット。

カラフルで新しいディーゼル車両と月を同時におさめることができたのであった。

トラベル三脚なので長秒時露光はちょっと不安だったのだけど、F8で1.3秒で縦位置でもまったくブレず。

無事1日の撮影を終え、自転車と一緒に帰るのであった。

いやあ、ローカル線のスピード感と自転車のスピードってちょうど合うわ。駅からさーっと気持ちよく移動して、いい場所があったら路肩の車の邪魔にならないところにとめ、三脚をセットして撮る。

UT-53Qは設置も撤収もすばやくできるし、コンパクトで邪魔にならないので持ち運びもしやすい。

折り畳み自転車とトラベル三脚とローカル線の相性は予想以上によかった。というか仕事忘れて楽しんでしまった。

もちろん山の中を折り畳み自転車で走ると疲れるわけで、帰りの電車は心地よく熟睡させていただきました。

ちょっと気温が下がってきた秋は自転車に最適。おもしろそう、と思った人はぜひ、レンタサイクルでもいいので、自転車で自然を楽しみつつ撮影して回るべし。

ちなみに今回の全走行ルートはこんな感じでした(クリックすると大きく表示します)。

地図は国土地理院の地図サイト「電子国土Web|」のものです。地図上の赤い線は、GPSロガーによるログをKMLファイルに変換し、貼り付けたものです。

編集部から

今回の撮影で使ったUT-53Qをはじめ、ベルボンの小型三脚を対象としたキャンペーンが実施中です。詳しくはこちらの記事をどうぞ!

制作協力:ベルボン株式会社

(荻窪圭)