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【 2016/05/23 】

【新製品レビュー】リコーGR DIGITAL III

〜画質と操作性を強化したシリーズ最新モデル
Reported by 大浦タケシ

 リコーGR DIGITAL III(以下GRD III)が8月5日リリースされた。いうまでもなくGR DIGITAL II(以下GRD II)の後継モデルである。

 驚かされるのは、2005年10月に発売された初代GR DIGITALからボディデザインも含む基本的なコンセプトが変わっていないところだ。目先の目新しさばかりを追いかけるのではなく、同社がいかにこのシリーズを大切にし、しかもじっくりと熟成させようとしているかが理解できる。ブレのないコンセプトは、往年のカメラ愛好家をはじめ、多くのファンから支持されつづけている理由のひとつともいえる。

 GRD IIIについては、写真で見るリコー「GR DIGITAL III」や山田久美夫氏の【1st Shot】リコー「GR DIGITAL III」実写画像などですでに紹介済みだが、改めてピックアップしてみたい。

開放F1.9の大口径広角レンズを搭載

 GRD IIIがGRD IIから数値的に大きく進化したところといえば、開放F1.9のレンズと3型液晶モニターを搭載したことである。

 レンズはF2.4だった従来モデルよりも約2/3段近く明るい。ボケ味の違いについてはマクロ撮影のような条件でしか見きわめられないが、少しでも速いシャッタースピードを選択したいときや、ISO感度を上げたくないときなど有利だ。描写特性は従来モデルと同様、単焦点レンズらしくクリアでヌケのよいもの。コントラストが高く、キリッと締まった描写である。画像周辺部の像の流れやにじみ、目立つようなディストーションもコンパクトデジカメに通常搭載されるようなズームレンズに比べれば圧倒的な少なさだ。解像感の高さもズームレンズでは決して得ることのできないものである。GRDシリーズの人気のひとつに画質があるが、その要となるのが単焦点レンズの存在であることを改めて知らしめてくれる。

 フルサイズに換算して焦点距離28mm相当の画角に変更はなく、レンズ構成はこれまでの5群6枚から6群8枚へ。最短撮影距離は1cmとなる。鏡胴部の大きさが変わったため、GRD III用のレンズアダプターGH-2は従来モデルのものと互換性はない。

 液晶モニターは2.7型から3型にサイズアップした。デジタルカメラにとって液晶モニターは、ユーザーとを結ぶ大切なインターフェースと思うところだけに、さらなる大型化はうれしい。しかも92万ドットと高精細で画像の再現性により優れているのもありがたい。ただし、フォントは高精細用につくり直しているようだが、文字のサイズがGRD IIより小さくなっていることには、老化の始まっている目を持つ者として閉口した。撮影時の露出や設定状態を示す文字やアイコンの表示もクッキリとはしているが、同様に小さく見づらいため、もう少し考えてもらいたかったところである。

 なお、レンズの大口径化や液晶モニターのサイズアップなどによって、GRD IIIはボディサイズがわずかではあるが拡大している。GRD IIの107×25×58mmから108.6mm×59.8mm×25.5mmへ、質量は168gから188g(いずれもバッテリー、メモリカード、ストラップ含まず)となる。両モデルを直接比較するとその違いは認識できるが、GRD IIIのみならこれまでとの違いは分かりにくい。

開放F1.9となったレンズ。これまでもよりも2/3段ほど明るく、高ISO感度の低ノイズ化とともにアベイラブル撮影の可能性は格段に広がった

一眼レフに近い絵作り

 イメージセンサーと映像エンジンも変更されている。イメージセンサーは、GRD IIの1/1.75インチ有効1001万画素CCDから、1/1.7インチ有効1040万画素で高感度タイプCCDへ。映像エンジンはGR ENGINE IIからGR ENGINE IIIへと進化している。色および階調再現性の向上が図られていることに加え、これまでのウィークポイントでもあった高感度域の低ノイズ化も達成しているという。トライアルの結果からは、小さなセンサーを使うカメラとしては白トビがよく抑えられており、シャドー部も含め満足できる階調再現性を誇る。色調も常用することの多い「画像設定」の「スタンダード」では、彩度、シャープネス、コントラストとも自然な感じで好感の持てるものである。一眼レフの絵づくりにたいへん近いといってよい。

 ノイズについてはISO200までなら問題ないレベル、ISO400になるとノイズがわずかに浮き出しはじめるが、それでも実用レベルといって差し支えないものである。ISO800以上になると明らかにノイズが現れてくるが、ほかのコンパクトデジカメよりも若干低めといった感じ。APS-Cサイズなどとくらべノイズでは不利な1/1.7型のセンサーであることを考えれば上々の結果だ。ISOレンジはISO64から1600まで。AUTO-HIでは上限をISO200から1600までの間で選択できる。ちなみに、先に挙げたレンズとともに、GRD IIIはイメージセンサーおよび映像エンジンと描写に関わる全ての部分に手が入っていることになる。スペックの数値だけならマイナーチェンジに近いが、実質はモデルチェンジといえるものであり、従来モデルのユーザーは買い増し、買い替えに大いに悩むことだろう。

 新たに装備されたマルチパターンオートホワイトバランスはより安定したホワイトバランスを調整する機能である。色温度の異なる複数の光源が混在するシーンでも、どちらも見た目に近い色合いでバランスよく調整するという。実際、ISO感度別のノイズ比較撮影作例を見ていただければ分かるかと思うが、たいへん安定している。色合いも撮影時のイメージに近く、オートホワイトバランスも搭載されているが、それよりもニュートラルに感じる。常用してもまったく問題ないものである。

撮影モードダイヤルのマイセッティングは従来モデルの2つから3つとなった。被写体やシーンなどに応じてセッティングしておくと重宝する機能だ Fn(ファンクション)ボタンが2つとなった背面操作部。どちらも20項目の設定項目の中から役割を登録できる
フルプレススナップ機能はシャッターボタンを一気に全押しするとあらかじめ設定しておいた位置にピントを合わせる機能。「ON ISO AUTO-HI」はISO感度も自動的に「AUTO-HI」となる。あらかじめ設定できるピント位置は1m・2.5m・5m・∞

 同様に新しくフルプレススナップ機能も装備された。これは、シャッターボタンを半押しせずに、一気に全押しするとあらかじめ決めておいたフォーカス距離となる機能だ。AF合焦まで待てないような突然のシャッターチャンスに効果的なものである。設定できる距離は1m・2.5m・5m・∞。個人的には被写界深度の深さから2mぐらいと∞があれば十分に感じられたが、これだけあれば不足を感じるユーザーは少ないだろう。とにかくシャッターチャンスを優先したい撮影では重宝すること間違いないはずだ。

 従来モデルでは1つだった Fn(ファンクション)ボタンは、GRD IIIでは2つとなった。十字キー左ボタンを使用したFn1ボタンとセルフタイマーボタンとの兼用となるFn2ボタンがあり、それぞれにISO感度や画質などをはじめ20の設定項目から役割を与えることができる。これまで以上に使い勝手がよい。また、カメラの撮影に関する設定を保存しておけるマイセッティングモードも2つから3つに増えるとともに、6つまでセッティングを保存しておける「マイセッティングBOX」も備える。しかも、BOXに保存したセッティングにはそれぞれ名前も付けられるなど、こちらも使い勝手はよくなっている。

 GRD IIIから付属するバッテリーが変更となったこともピックアップしておきたい。これまでの1,150mAhのDB-60から1,250mAhのDB-65となり容量がアップ。液晶モニターの拡大など増大する消費電力に対応したものだ。CIPA規格準拠では約370枚の撮影が可能としている。なお、DB-65はDB-60と互換性があるので、DB-65を従来モデルに、DB-60をGRD IIIに使うこともできる。また、単4アルカリ乾電池2本を従来モデルと同様アダプターなしで使用することも可能。撮影できる枚数は多くはないが、バッテリー切れの不安はほかのカメラにくらべ大幅に少なく、GRDシリーズのよき伝統といえるだろう。

バッテリーは容量のアップしたDB-65が同梱される。アダプターなしで単4アルカリ乾電池2本を使ってカメラを駆動することも可能だ ストロボはGRD IIから変更はないが、手動ポップアップ式は不用意な発光を防ぎ、直感的で使いやすい
アクセサリーシューは接点が4つから5つとなっている。秋に発売予定の外部ストロボGF-1に対応したものだろう ディカールからグレービングとなったGRロゴ。高級感はさらに増した
シーンモードの「ダイナミックレンジ」は、露出を変化させた2枚を合成しダイナミックレンジを拡大する機能。効果もまずまずで風景撮影などの際は重宝しそう。三脚を必要とするのが面倒 同じくシーンモードの「斜め補正」。こちらは従来モデルにも搭載されているモード。名刺や掲示板など複写するときに便利だ
従来モデルより踏襲する水準器機能。ヨコ位置のほかタテ位置にカメラを構えた際も表示する。広角レンズを搭載する本機には必需品ともいえる機能だ
グリッド表示は3種類のなかから選択可能。ただし、露出情報などいずれも表示されないのはちょっと不便に感じる

まとめ

 シグマDPシリーズを日常のカメラとして使う者として、GRD IIIはサクサク撮影ができ大変羨ましく思えるカメラである。シャッター半押しから合焦までの時間も短く、画像処理に時間がかかるようなこともない。しかも、JPEGの画質は一眼レフに迫る品位の高いもので、メニューの設定や操作なども洗練され非常に使いやすく感じる。モノとしての仕上りのよさなども含め完成度の高さはDPシリーズを大きく凌いでおり、マニアのみならず多くの一般ユーザーから支持されていることも納得できる。

 しかし、どうしても馴染めなかったのが、ボケ描写だ。例え広角レンズでも表現の手法のひとつとしてボケは大事な要素に変わりはないが、GRD IIIでは、同一画角のDP1とくらべ得られるボケがやはり少ないように思えるからである。また、ほかのコンパクトデジカメと同様、どこか立体感のない描写も気になるところ。同社がGRDシリーズを“パーソナル・プロフェッショナル”と位置付けするのであれば、そろそろ、APS-Cサイズやそれに準じた大きさのイメージセンサーを搭載したカメラを見たいと思うのは私ばかりではないと思う。

フード&アダプターGH-2を装着したところ。43mm径のフィルターが装着可能となる。フード正面右上の穴はAF補助光用のもの ワイドコンバージョンレンズGW-2はGRD III専用で、焦点距離倍数は0.75倍。フルサイズ換算で約21mm相当の画角となる。GRD IIIに装着の際は、GH-2が必要。コンバージョンレンズとしてはディストーションや色収差等は少ないほうだ
外部ミニファインダーGV-2をGRD IIIに装着したままカメラを入れることのできるソフトケースGC-4。底部を付けたまま撮影が可能。革製。
ベルト通しが裏面に付いたシンプルな革ケースGC-3。カバンなどにカメラを入れるときなど便利そうである。

作例

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。

●ISO感度

・ノイズリダクション:OFF

ISO64
GR DIGITAL III / 約3.3MB / 3,648×2,736 / 1/4秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO100
GR DIGITAL III / 約3.5MB / 3,648×2,736 / 1/6秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO200
GR DIGITAL III / 約3.4MB / 3,648×2,736 / 1/12秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO400
GR DIGITAL III / 約3.4MB / 3,648×2,736 / 1/23秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO800
GR DIGITAL III / 約3.5MB / 3,648×2,736 / 1/42秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO1600
GR DIGITAL III / 約3.7MB / 3,648×2,736 / 1/84秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm

・ノイズリダクション:弱

ISO64
GR DIGITAL III / 約3.3MB / 3,648×2,736 / 1/3秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO100
GR DIGITAL III / 約3.4MB / 3,648×2,736 / 1/5秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO200
GR DIGITAL III / 約3.3MB / 3,648×2,736 / 1/10秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO400
GR DIGITAL III / 約3.3MB / 3,648×2,736 / 1/18秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO800
GR DIGITAL III / 約3.4MB / 3,648×2,736 / 1/36秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO1600
GR DIGITAL III / 約3.6MB / 3,648×2,736 / 1/73秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm

・ノイズリダクション強

ISO64
GR DIGITAL III / 約3.3MB / 3,648×2,736 / 1/3秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO100
GR DIGITAL III / 約3.3MB / 3,648×2,736 / 1/5秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO200
GR DIGITAL III / 約3.3MB / 3,648×2,736 / 1/9秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO400
GR DIGITAL III / 約3.3MB / 3,648×2,736 / 1/17秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO800
GR DIGITAL III / 約3.2MB / 3,648×2,736 / 1/32秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm
ISO1600
GR DIGITAL III / 約3.6MB / 3,648×2,736 / 1/64秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:オート / 6mm

●マルチパターンオートホワイトバランス

※共通データ:GR DIGITAL III / 約3.5MB / 3,648×2,736 / 1/45秒 / F1.9 / +0.7EV / ISO100 / 6mm

WB:オート WB:マルチパターンオート WB:屋外

●画像設定

※共通データ:GR DIGITAL III / 約3.5MB / 3,648×2,736 / 1/15秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 6mm

ビビッド スタンダード 白黒
白黒(調色:セピア) 白黒(調色:レッド) 白黒(調色:グリーン)
白黒(調色:ブルー) 白黒(調色:パープル)

●ダイナミックレンジダブルショット

通常撮影
GR DIGITAL III / 約3.7MB / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6mm
ダイナミックレンジダブルショット
GR DIGITAL III / 約3.7MB / 3,648×2,736 / 1/570秒 / F3.2 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6mm

●ワイドコンバージョンレンズGW-2

GR DIGITAL III / 約3.6MB / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 6mm GR DIGITAL III+GW2 / 約3.5MB / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 4.5mm
GR DIGITAL III / 約3.6MB / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 6mm GR DIGITAL III+GW2 / 約3.4MB / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 4.5mm

●自由作例

GR DIGITAL III / 約3.5MB / 2,736×3,648 / 1/800秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6mm GR DIGITAL III / 約3.8MB / 2,736×3,648 / 1/800秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6mm
GR DIGITAL III / 約3.6MB / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F7.1 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 6mm GR DIGITAL III / 約3.5MB / 2,736×3,648 / 1/800秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6mm
GR DIGITAL III / 約3.5MB / 2,736×3,648 / 1/640秒 / F5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6mm GR DIGITAL III / 約3.5MB / 2,736×3,648 / 1/400秒 / F4.5 / -1EV / ISO100 / WB:オート / 6mm
GR DIGITAL III / 約3.4MB / 2,736×3,648 / 1/800秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 6mm GR DIGITAL III / 約3.4MB / 2,736×3,648 / 1/380秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6mm
GR DIGITAL III / 約3.5MB / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 6mm GR DIGITAL III / 約3.3MB / 2,736×3,648 / 1/500秒 / F5 / +0.6EV / ISO100 / WB:オート / 6mm
GR DIGITAL III / 約3.3MB / 2,736×3,648 / 1/100秒 / F2.5 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 6mm GR DIGITAL III / 約3.6MB / 2,736×3,648 / 1/500秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 6mm
GR DIGITAL III / 約3.4MB / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F3.2 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6mm




大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2009/8/18 21:22


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