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【新製品レビュー】富士フイルム「FinePix Z300」

〜売れ筋スタイリッシュ機がタッチパネルに
Reported by 小山安博

 富士フイルム初のタッチパネル搭載コンパクトデジタルカメラ「FinePix Z300」が登場した。今回は特にタッチパネルの操作性に重点をおいてチェックしてみたい。

 価格はオープンプライス。実勢価格は4万円前後。本体色はピンクゴールド、ホワイト、パープル、ブラック。 

 

反応がよく快適に動作するタッチパネル

 FinePix Z300は、基本的には「FinePix Z250fd」の姉妹機と言っていいだろう。正面から見たデザインは似通っており、斜め下に動くレンズカバーをスライドさせれば起動・終了ができる手軽さは同じだ。

 大きく異なるのは背面だ。FinePix Z300は背面全体を3型ワイドの液晶モニターが覆うデザインで、背面にボタンはまったくない。上部にはシャッターボタンとズームレバーがあり、従来はなかった「HOME」ボタンが配置されている。これは、タッチパネル操作で利用するボタンだ。

 レンズカバーをスライドさせて起動すると、大型のアイコンが左右に並ぶ画面が表示される。指でのタッチに配慮された大型アイコンは押しやすいサイズ。視認性も高いが、その分、アイコンの数は少ない。

 アイコンは、画面左にモード・フラッシュ・セルフタイマー・マクロ・MENUが並び、右側には再生・DISPの2つが並ぶ。撮影設定はそれぞれのアイコンを指などでタッチする。フラッシュ・セルフタイマー・マクロは、タッチすると横にさらにアイコンが表示されるので、それぞれのアイコンをタッチすることで決定する。

レンズカバーを閉じたところ。斜め下に向かってスライドさせる。電源ボタンはないので、再生時も、まずはレンズカバーを開ける必要がある アイコンは大きく、指でタッチしやすいサイズ。もう少しアイコンがあってもよかったような気がする。ディスプレイは16:9で、DISPアイコンをタッチすると、画面上のアイコンが消えるので、アスペクト比16:9で撮影する場合は全画面表示になる

 タッチパネルは、触った感触がフィードバックされないので、反応が重要だ。押した瞬間に動作しないと、本当に認識されたのか分からないからだ。その点、FinePix Z300の反応は非常にいい。タッチパネル自体は指だろうが爪だろうがペン先だろうが反応するため感圧式のようなのだが、軽く触れただけで動作するため、静電容量式を使っているような感覚で動作する。これはいい。感圧式を使う機器は多いが、他の製品も見習って欲しいレベルだ。

 また、タッチするとすぐに決定になるのもいい。ハードボタンを使った操作では当然の動きだが、タッチパネルの場合、誤操作に気を遣ってか、タッチしたあとに確認画面を表示するUIが使われることもある。誤ってタッチした場合、単にやり直せばいいだけなので、正しい操作の場合もいちいち確認画面が出るのは煩雑だ。FinePix Z300は確認画面は出ないので、操作が中断することなく行える。

 難点としては、動作がやや緩慢な点が挙げられる。タッチパネルの反応は素早いのだが、画面切り替えなどで「待たされ感」がある。タッチパネルというよりもカメラ自体の動作速度の問題ではあるのだが、このため、画面遷移を伴うモード切替やMENU設定が使いづらく感じてしまう。

 GUI自体はFlashを使っており、グラフィカルでアニメーションをふんだんに盛り込んでいる。タッチした瞬間にアニメが始まり、アニメの間に裏で処理を行うことできちんとタッチに反応しているのが分かるのは優れたUIだ。

モード切替画面。こうした画面遷移を伴う際にもう少しきびきびと動いてくれるとうれしい。ただ、画面切り替え時に「砂時計」が表示されて画面が止まるのではなく、アニメーションするのは、待たされ感の軽減に役に立つ。こうしたFlashベースのUIは、同社のデジカメでは初めて採用されたものらしい ストロボやマクロの切り替えは、画面の横にアイコンがせり出す。この場合は待たされ感もなく、手軽に切り替えられていい。

 とはいえ、露出補正やISO感度、ホワイトバランスの変更がMENU画面にあるため、使い方によってはこれを頻繁に変更したくなる。しかし、いちいちMENU画面に移動しなくてはならないため、このあたりの動作速度の改善が、今後の課題と言えそうだ。それでも、タッチパネルを使ったUIとしては、後発のためかずいぶんとこなれており、優秀な部類に入るだろう。

 もっとも、「シーンぴったりナビ」やオートモードを選ぶと、露出補正やISO感度などの設定は行えないため、MENU画面を利用することはほとんどない。カメラを被写体に向けて構図を決め、シャッターを切るという撮影に関しては、こうした問題は発生しない。ストロボの切り替えだけは画面横にせり出すだけなので、素早く変更できる。

 

撮影も再生もタッチパネルで快適

タッチショットの撮影画面。緑の枠内であればどこに触れてもいい

 タッチパネルを生かした撮影方法として、撮影モードに「タッチショット」が用意されている。タッチショットは、画面にタッチした場所にAF/AEを合わせ、シャッターボタンを押さなくても撮影ができる機能だ。

 画面の好きなところを指でタッチすれば、そこにピントが合うので、直感的に撮影ができる。コンパクトデジカメだと、AF位置を任意に変えられる機種は多くなく、一般的にはAFロックを使って撮影する場合が多いが、タッチショットなら、好きな場所にピントを合わせることができる。

 撮影時は、画面より一回り小さいエリアに緑の枠が表示され、その内部であればどこにタッチしてもいい。タッチすると自動的にAFが動作し、そのままシャッターが切れる。シャッターボタンを押す必要もない。なお、シャッターボタン半押しでもピント合わせができ、その場合は中央1点AFになる。

 手軽に撮影できて便利な機能ではあるが、「片手でカメラを持って、もう片方の手の指でタッチする」という動作になるので、安定感が失われるというのが難点だ。そのため、シビアに構図を決めたいとき、手ブレしそうなときなど、タッチショットが不向きな場面もある。逆に、手前に被写体を置いて背景をぼかしたいときや、反対に手前のものをぼかしたいとき、特に三脚でマクロ撮影をするときには向いている。

 

 

タッチショットを行なっているところ

 

 撮影時のUIでは、あとは基本的に目新しい部分はない。設定変更時の画面は、それぞれタッチしやすい大型のアイコン表示だが、スクロールは矢印をタッチするなど、一般的な操作性。露出補正もプラス・マイナスのアイコンをタッチする仕組みで、目新しさはないものの、あまり迷うことはないだろう。

MENUアイコンから表示される撮影メニュー。マニュアル撮影モードだと、露出補正やISO感度、ホワイトバランスも変更できる 露出補正画面。上下の矢印をタッチすることで変化する。指でバーをスライドさせるような動作には対応していない
こちらはホワイトバランス。これも矢印のタッチのみで、離れた場所にある項目をタッチで一気に選択することはできない ISO感度の画面。こちらは矢印で上下に画面が移動し、項目をタッチすることで選択する

 再生時にも、タッチパネルを生かした操作性を導入。撮影画像の1画面表示では、画面にタッチして左右に指を滑らすと画像送りができる。これはスマートフォンのiPhoneなどで採用されている操作性だが、直感的で分かりやすいUIだ。感圧式ながら、指を明確に押し込まずに、軽く触れている程度でも反応するので、こうしたスライド操作も快適に行える。

 ハードボタンではできない操作として、素早くスライドさせると、画像が連続して流れ、離れた画像にも素早くアクセスできる。何度もボタンをタッチする必要がないのだ。

 

 

指のスライドにあわせて再生画像が切り替わる

 

 画像の拡大は、画面右上のズームアイコンをタッチし、プラス・マイナスアイコンをタッチする。画像の任意の位置をタッチすると、タッチした場所が少しずつ拡大するが、押し続ける動作には対応していないので、連続でタッチする必要がある。画像拡大時は、しばらく画面に触れないとアイコンが消えて全画面表示になるのは便利。指で画面をタッチし、そのまま動かすと画像の任意の位置に移動できる。動作はなめらかで快適だ。

 画面に一度タッチすると、画像が少し縮小表示され、左右に次の画像の一部が表示される。それとともに、画面下部には削除・レタッチ・検索・フォルダ管理のアイコンが表示される。この画面でも左右に指をドラッグすることで画像送りができるので、連続して画像を消去したい場合などに便利だ。

再生画面。左右の矢印をタッチしてもいいが、画面上にタッチして指をスライドさせると画像送りができる。DIPSボタンを押すとアイコンが消えて全画面表示になる 虫眼鏡に+がついたズームアイコンをタッチすると拡大画面になる。任意の場所にタッチするとその場所を小刻みに拡大、プラスマイナスアイコンで拡大縮小ができる。この状態での画像送りはできない
再生画面で画像にタッチするか、ズームレバーをワイド側に一度押すとこの画面になる。削除やレタッチ、フォルダ分けが選択できる レタッチのメニュー
レイアウトフォトでは、テンプレートに従ったデザインに画像をはり付け、1枚の画像として保存できる。指先でのドラッグ&ドロップ操作が可能 複数枚の画像を1枚にまとめられるので、赤外線通信を使って携帯電話に画像を転送してブログを更新する、といった作業に向いてそうだ

 フォルダ管理では、サムネイル画像を指でタッチし、そのまま画面下部のフォルダにドラッグすることで、フォルダ移動ができる。PC的な直感的な動作が可能だ。こうしたドラッグ機能は、「レタッチ」にある「レイアウトフォト」では、最初にテンプレートを選んで、画像をドラッグ&ドロップすると、そのレイアウト通りに画像を合成し、1枚の画像として保存できる機能。複数の画像をブログにアップする場合などに便利そうだ。

フォルダ管理画面。このまま画像に触れてドラッグ&ドロップでフォルダ分けできる。PC的で非常に快適 日付や顔が写っているかどうか、どのシーンプログラムで撮ったか、といった検索が可能

 

タッチパネルでも迷わない操作性

 通常の撮影機能も見てみよう。基本的にはオートで撮影するカメラだ。モードアイコンから「SR AUTO」(シーンぴったりナビ)を選ぶと、人物・風景・夜景・マクロ・夜景&人物・逆光&人物という6つのシーンを自動認識し、最適な設定で撮影できる。

 従来通り、強力な顔検出「顔キレイナビ」を搭載するので、人物撮影時に、顔が露出アンダーになりにくい。被写体に近づけば自動的にマクロになるのも便利だ。

 既存機種でも搭載されている、2人の顔の距離が近づくとセルフタイマーが動作する「恋するタイマー」、1〜4人までの設定した顔の数がそろうとセルフタイマーが動作する「みんなでタイマー」、赤目の自動補正機能、再生時に顔を拡大してスライドショーを表示する機能なども搭載する。

 オートモードは、全てをオートで撮影する機能だが、基本的にはシーンぴったりナビを利用すればいいと思う。ちなみに前述のタッチショットは、ピント位置を指で選べる以外はオートモードと同じ。撮影設定のほとんどは変更することができない。

 マニュアルモードは、露出補正、ホワイトバランス、ISO感度などが設定できる。シャッタースピードや絞りを選ぶことはできない。ほかには、1回のシャッターでストロボ・オフの2枚を撮影し、最適な方を選択できる「高感度2枚撮り」、ストロボをたかずに高感度で撮影する「ナチュラルフォト」、12種類のシーンモードが選択できる。

 撮像素子は有効画素数1,000万画素1/2.3型CCDを搭載。レンズは光学5倍ズームのフジノンレンズで、焦点距離は35mm判換算で36〜180mm、F値はF3.9〜F4.7となっている。最近人気の広角寄りのレンズではないし、広角端の開放F値がやや暗めというのがちょっと残念だが、光学5倍までズームできるのはなかなか便利。手ブレ補正はCCDシフト方式だ。

レンズは光学5倍ズームレンズ 本体上部はシンプルで、シャッターボタンとズームレバーに加え、ホームボタンを搭載。赤外線通信も用意されている

 薄型スタイリッシュ系のコンパクトデジタルカメラとしては、至って普通のスペックといってもいいだろう。「特殊なカメラ」ではなく、「普通に使えるカメラ」でありながら新しいUIのタッチパネルを採用した、というのがFinePix Z300の特徴だ。

 シンプルに撮って、シンプルに使いたいというユーザーであれば、ボタンも少なく、ただ構えて撮影すればいいし、大型ディスプレイと指で操作する直感性で画像が確認しやすいという点もメリットになるだろう。直感的にカメラを使いたいユーザーにお勧めしたい。

 

作例

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。

・歪曲収差

FinePix Z300 / 約4.2MB / 3,648×2,736 / 1/20秒 / F3.9 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6.4mm FinePix Z300 / 約4.3MB / 3,648×2,736 / 1/12秒 / F4.7 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 32mm

・ISO感度

FinePix Z300 / 約4.7MB / 3,648×2,736 / 1/70秒 / F4.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 12.2mm FinePix Z300 / 約4.7MB / 3,648×2,736 / 1/140秒 / F4.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 12.2mm FinePix Z300 / 約4.8MB / 3,648×2,736 / 1/280秒 / F4.6 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 12.2mm
FinePix Z300 / 約4.8MB / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 12.2mm FinePix Z300 / 約4.8MB / 3,648×2,736 / 1/420秒 / F8 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 12.2mm

・自由作例

FinePix Z300 / 約4.2MB / 3,648×2,736 / 1/240秒 / F4.7 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 32mm FinePix Z300 / 約4.3MB / 3,648×2,736 / 1/450秒 / F4.1 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 7.1mm
FinePix Z300 / 約4.8MB / 2,736×3,648 / 1/210秒 / F4.5 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 11mm FinePix Z300 / 約4.7MB / 3,648×2,736 / 1/220秒 / F4.9 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 28.9mm
FinePix Z300 / 約4.8MB / 3,648×2,736 / 1/110秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 18.9mm FinePix Z300 / 約4.6MB / 2,736×3,648 / 1/85秒 / F4.9 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 18.9mm
FinePix Z300 / 約4.1MB / 2,736×3,648 / 1/480秒 / F4.7 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 32mm FinePix Z300 / 約4.0MB / 3,648×2,736 / 1/28秒 / F3.9 / 0EV / ISO200 / WB:日陰 / 6.4mm
FinePix Z300 / 約3.8MB / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F6.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6.4mm FinePix Z300 / 約4.7MB / 2,736×3,648 / 1/420秒 / F4.7 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 15.2mm
FinePix Z300 / 約4.0MB / 2,736×3,648 / 1/400秒 / F3.9 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 6.4mm FinePix Z300 / 約1.8MB / 3,648×2,056 / 1/210秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 17mm




小山安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2009/7/8 00:00


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