パナソニックLUMIX DMC-GH1【第5回】

CP+2010で大活躍しました

Reported by 本誌:折本幸治


CP+2010前半は、LUMIX G VARIO 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.とサンパックのauto 16R proを組み合わせて撮影した

 今回のレポートはほとんど私的な内容なので、大多数の読者の参考になり得ないことを先にお断りしておきたい。単純に、DMC-GH1の実力を伝えるエピソードのひとつとして、軽く読み流していただければ幸いだ。

 最近、DMC-GH1をイベント取材用のカメラとして活用している。2009年後半から徐々に使い始め、PMA2010(2010年2月)とCP+2010(2010年3月)では、完全にメインカメラとして利用した。PMA2010の場合、レンズは「LUMIX G VARIO 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.」をメインとして、「LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH.」をサブに持参。加えてDMC-G1をサブボディとした。それでも全装備はこれまでのAPS-Cデジタル一眼レフカメラに比べると圧倒的にコンパクトにまとまっており、会場取材用のバッグを小さいものに変えることができた。

 コンパクトで軽量なのがDMC-GH1の特徴のすべてではない。イベント取材で優れていると感じるのは、次の点からだと考えている。

  1. フリーアングル液晶モニター
  2. ライブビュー
  3. 近距離で実用的なコントラストAF
  4. 手ブレ補正機構
  5. パームグリップ
  6. 軽いボディとレンズ
  7. フォーサーズ or マイクロフォーサーズ

 もちろん撮影に求められるものは、被写体、撮影者、最終出力など、様々な点から考慮されるべきだろう。上記の条件はあくまでも小誌のイベントレポートにおける内容であることを留意いただきたい。

 1.から7.のうち、最近重視しているのがフリーアングル液晶モニターだ。2.と3.はその前提条件にすぎない。カメラ系イベントの展示物は、来場者の腰の辺りに置かれていることが多い。すると正面から撮るためには、立ったりしゃがんだりを繰り返すことになり、1日の終わりには結構な疲労が溜まる。というわけで手軽なローアングル撮影を実現してくれるであろう、フリーアングル液晶モニター(と実用的なライブビュー)に期待を寄せていたわけだ。

 4.の手ブレ補正機構は、ライブビューが登場する以前からの要望。薄暗い会場内で、少しでも絞りたいからだ。ただし最近は会場が明るくなり、加えて機種によってはISO1600やISO3200が実用的になってきたので、将来的には必要ない要件になると思う。

 5.の理由は少々特殊かもしれない。展示状況によっては、クリップオンストロボをカメラから離し、被写体の上にかざして発光させることがあるためだ。カメラとクリップオンストロボは、ワイヤレス、またはシューコードでつないでいる。このときいわゆる片手撮りになるわけで、パームグリップのないカメラだと扱いづらい。6.も片手撮りのための要件。

 7.は同じ絞り値でより被写界深度を稼げるからで、4.と同じく将来的には重要ではなくなるかもしれない。むしろ現時点での一部のフルサイズ機の高感度画質を考えると、マイクロフォーサーズ、またはフォーサーズにこだわるのは意味がないかも。ただし、フルサイズ機だと1.、3.、5.を満たすカメラがない。特に3.は、APS-C機に範囲を広げても満足いく機種を知らない。

 2006年頃からこれらの要件をみたすデジタルカメラを物色していたが、なかなか気に入ったカメラがでてこなかった。2007年はオリンパスE-3を狙っていたものの、あまりにも本体が重いのと、ライブビューのAF(位相差AFのみ)に嫌気が差して断念。2008年から2009年にかけては、同じくオリンパスのE-30にかなり気持ちが傾いていたが、レンズキットの価格の高さと重量から手を出せずにいた。2009年、E-620のパームグリップの小ささに躊躇しているうち、DMC-GH1に出会ったというわけだ。

 CP+2010では欲張って、1日だけマクロレンズの「LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8 ASPH. MEGA O.I.S.」を使ってみた。これが思惑通り。14-45mm F3.5-5.6だと難しかった部分アップが容易になり、最短距離を気にすることなくフレーミングできるので効率が上がった。そもそも14-45mm F3.5-5.6では望遠端ばかりを使っていたので、単焦点レンズだからといって気にならない。手ブレ補正も良く効くし、コントラストAFも高速で実用的だ。画質も素晴らしいと思うが、小誌の仕事では14-45mm F3.5-5.6とほとんど差はでなかった。


CP+2010後半で使用したLEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8 ASPH. MEGA O.I.S.。使い勝手は抜群auto 16R proを14-45mm F3.5-5.6に装着した状態。発光部の取付けには、ケンコーの52mm→58mmステップアップリングを使用している。ただし移動時以外、ほとんど発光部を外して使っていた

 さらにCP+2010では、ストロボをサンパックのリングストロボ「auto 16R pro」にしてみた。左手で持ったリングストロボの発光部を被写体の真上や斜め上にかざし、トップライトとして使う。EOS 40Dとの組み合わせでよく使っていたものの、片手撮りが辛くてお蔵入りしていたアイテムだ。

 ただし、auto 16R proはTTL発光に対応しておらず、さらにパワーレシオを最弱の1/256にしても、状況によってはコントラストがまだきつい。auto 16R proの説明書によると、発光面を現在の透明から乳白色タイプに変えてくれるサービスがあるとのことなので、いずれ試してみたい。あと、被写体にレンズが含まれる場合、レンズ面に円い光輪が出るのも違和感を覚える。ヘッドコードが邪魔になることもあり、何らかのワイヤレスストロボシステムに移行したいところだ。海外プレスが好んで使うLED関連にもチャレンジして見ようと思う。

 課題は残ったものの、何よりもフリーアングル液晶モニターで撮るのは身体に優しく、そろそろ体力に不安を覚える年頃の自分にはありがたい。これからも活躍してくれることだろう。


 


 会場での撮影は、露出モードM、記録画素数M(フル画素の1段階下、約590万画素)、JPEGのみで行なっている。このとき、LVF/LCD自動切替をOFFにするのが私の中でのお約束。普段はONだが、ローアングル撮影で腰ダメにすると、アイピース内のセンサーが反応。液晶モニターが消灯してしまうためだ。また、暗部補正は強。フィルムモードはスムーズ(さらにコントラスト-2)に設定している。

 記録画素数をM、またはSに落としておくと、EX光学ズームがONにできる(RAW記録では不可)。マイクロフォーサーズの焦点距離45mmは35mm判換算で90mm相当の画角になるが、ONにすると127mm相当の画角になる。CP+2010では、これが結構使えることがわかった。少し離れた位置の展示物を撮るときや、90mm相当では物足りないステージ上のモデルを撮るときなど、EX光学ズームONにするだけで画角が変わるので、レンズ交換するよりも便利な場面があった。

 ここではCP+2010のパナソニックブースで撮影した写真のうち、ノートリミングで使えそうなものを例としてピックアップしてみた。普段は周りを広めに入れておき、適宜トリミングした後、画像処理ソフト上で露出補正、色補正、傾き補正などを行ない、800×600ピクセルにリサイズして掲載している。今回は撮影画像のまま載せているので、見苦しい点も多いかと思う。

最も多いパターン。斜め左上からパワーレシオを下げたストロボを当てている
DMC-GH1 / LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8 ASPH. MEGA O.I.S. / 約3.5MB / 2,816×2,112 / 1/60秒 / F8 / 0EV / ISO400 / WB:晴天 / 45mm
液晶モニター表示とカメラ外観の露出を合わせたパターン。モニター表示だけなら比較的簡単に撮れる
DMC-GH1 / LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8 ASPH. MEGA O.I.S. / 約3.5MB / 2,816×2,112 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO400 / WB:晴天 / 45mm
白い被写体は撮りやすい。さらにこの場所は明るかったので、背景落ちが気にならない。その場の光を活かせられれば、それが一番なのだが……
DMC-GH1 / LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8 ASPH. MEGA O.I.S. / 約2.6MB / 2,816×2,112 / 1/40秒 / F8 / 0EV / ISO400 / WB:晴天 / 45mm
こういうカットはフリーアングル液晶モニターが楽。一度慣れるともう元には戻れないかも
DMC-GH1 / LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8 ASPH. MEGA O.I.S. / 約3.2MB / 2,816×2,112 / 1/40秒 / F8 / 0EV / ISO400 / WB:晴天 / 45mm
EX光学ズームOFFの90mm相当で撮影
DMC-GH1 / LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8 ASPH. MEGA O.I.S. / 約2.8MB / 2,816×2,112 / 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:晴天 / 45mm
ほぼ同じ距離からEX光学ズームONの127mm相当
DMC-GH1 / LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8 ASPH. MEGA O.I.S. / 約3.0MB / 2,816×2,112 / 1/60秒 / F8 / 0EV / ISO800 / WB:晴天 / 45mm
等倍まで寄れるので、細かい操作パーツもアップで撮れる。ホコリが多くてすみません
DMC-GH1 / LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8 ASPH. MEGA O.I.S. / 約2.8MB / 2,816×2,112 / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO800 / WB:晴天 / 45mm
これは透明ケース内の被写体。ある程度のテクニックがあれば、反射を入れずきれいに撮るのはそれほど難しくない
DMC-GH1 / LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8 ASPH. MEGA O.I.S. / 約3.7MB / 2,816×2,112 / 1/125秒 / F11 / 0EV / ISO400 / WB:晴天 / 45mm


本誌:折本幸治

2010/4/1 15:04