交換レンズレビュー

AF-S NIKKOR 24mm f/1.8G ED

逆光に強く解像力も不足無し

今回はD810で試用した。発売は9月。実勢価格は税込8万2,100円前後

超望遠レンズやマクロレンズなど一部を除き、ズームレンズが単焦点レンズを人気、生産数などで凌駕して久しい。

一眼レフ用のズームレンズはおおよそ半世紀ほど前に登場するが、MFのフィルム一眼レフ全盛あたりからズームレンズは特殊なものでなくなり、AFフィルム一眼レフが登場すると親和性の高さから一気にスタンダードになっていく。

デジタルになった現在、その傾向はより一層強くなったように思える。しかしながら、単焦点レンズに今だ拘りを持つ写真愛好家がいるのも事実。明るい開放F値や高い描写特性などから愛用するひとは少なくなく、また以前に比べれば少なくなったものの未だ多数の単焦点レンズを各カメラメーカーともしっかりとラインナップしている。

もちろんニコンも例外ではなく、今回ピックアップした「AF-S NIKKOR 24mm f/1.8G ED」はEDレンズやナノクリスタルコートの採用など、同社の意欲作と述べてよい。早速その操作感と描写を見てみよう。

デザインと操作性

先に発売されている「AF-S NIKKOR 28mm f/1.8G」に準じたデザインだ。さらに本レンズでは鏡筒先端、金色の帯の巻かれている部分がフォーカスリングより一回り大きく、それが外観上の特徴となっている。

鏡筒先端はフォーカスリングなど他の部分よりも一回り太い。フィルター径は72mm
ナノクリスタルコート採用のレンズであることを示すNのアイコンが一際目立つ。最短撮影距離は0.23m

フィルターサイズはAF-S NIKKOR 28mm f/1.8Gが67mmであるのに対し、72mmとする。

操作感に関しては、フォーカスリングは同社の他のAFレンズ同様ザラザラとした感触。正直にいえば気持ちのよい感じとはいいがたい。もっともワイドレンズはAF合焦後ピント位置の微調整を行うようなことは少ないと思うので、通常の使用であれば気になるようなことはないだろう。

AFの高速化を可能とするリアフォーカシング方式を採用。電磁絞り機構の搭載は見送られている

鏡筒の大きさは77.5×83mmで重量は355gとする。ちなみに今回作例撮影で使用したD810との組み合わせでは約1,335g、D750の場合では約1,195gとなる。

花型のフードが付属する

遠景の描写は?

まずは画面中央部だが、開放絞りから上々の解像感だ。もちろんさらに絞り込むと、ぐっとエッジの切れは増す。単焦点レンズらしくコントラストも高く、ヌケのよい描写である。

画面周辺部は開放から絞りF2.8までは緩さが見受けられる。F4になると大きく改善され、絞りF5.6でほぼ解消。不足のない解像感となる。

エッジに発生することの多い色のにじみについては、作例を見るかぎり目立つようなものは見られない。特に解像感の増した絞りF5.6ないしF8ではエッジはスッキリとしており、繊細な描写といってよい。絞りF11まで絞り込むと回折現象が現れはじめる。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

※共通設定:D810 / -0.3EV / ISO64 / 絞り優先AE / 24mm

中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F1.8
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F1.8
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16

ボケ味は?

焦点距離24mmのレンズであるが、開放値がF1.8と明るく、近接撮影では思いのほか大きなボケが得られる。ボケ味については気になるような濁りの発生や二線ボケなどなく素直な印象だ。

ワイドレンズということもありボケを描写に反映するシーンは、通常そう多くないように思えるが、0.23mの最短撮影距離を活かした近接撮影のときなど積極的に絞りを開いて撮影してみるのもありだろう。絞り羽根は7枚、円形絞りを採用している。

絞り開放・最短撮影距離(約23cm)で撮影。D810 / 1/5,000秒 / F1.8 / 0EV / ISO64 / 絞り優先AE / 24mm
絞り開放・距離数mで撮影。D810 / 1/4,000秒 / F1.8 / +0.3EV / ISO64 / 絞り優先AE / 24mm
絞りF2.8・距離数mで撮影。D810 / 1/200秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO64 / 絞り優先AE / 24mm
絞りF5.6・距離数mで撮影。D810 / 1/320秒 / F4 / -0.3EV / ISO64 / 絞り優先AE / 24mm

逆光耐性は?

太陽が画面内にある画像も太陽が画面のすぐ外にある画像も、撮影した作例に限っていえば、ゴーストの発生は見受けられない。特に前者はゴーストの発生しやすい条件だけに重箱の隅をつつくようにチェックしたが、太陽の光芒の先端に極薄く小さいものがひとつ見受けられただけで、それ以外は見つけることができなかった。

フレアについてもどちらの条件とも光源の周囲に極弱く見受けられる程度。いずれにしても同社自慢のナノクリスタルコートのスゴさを見せつけられた感じである。画角が広くなるほど、様々な光源が画面のなかに入り込む可能性が高くなるが、本レンズでは気にする必要は少ないといえる。

太陽が画面内に入る逆光で撮影。D810 / 1/800秒 / F8 / -0.3EV / ISO64 / 絞り優先AE / 24mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。D810 / 1/640秒 / F8 / -0.3EV / ISO64 / 絞り優先AE / 24mm

作品

回折現象がはじまっているため、エッジのキレはわずかに弱め。ただし画面周辺部ピントの合ったところの解像感は広角単焦点レンズとして十分なものといえる。

D810 / 1/25秒 / F11 / -0.3EV / ISO64 / 絞り優先AE / 24mm

焦点距離24mmのレンズだが、撮影距離と絞り値によっては浅い被写界深度となり、大きなボケが得られる。強めの周辺減光とともに、活かさない手は無いだろう。

D810 / 1/3200秒 / F2 / -0.3EV / ISO64 / 絞り優先AE / 24mm

開放絞りでの描写。被写体には最短撮影距離近くまで寄っているが、ボケの大きさは被写体の芯が残るもので頃合いがよい。

D810 / 1/200秒 / F1.8 / 0EV / ISO64 / 絞り優先AE / 24mm

絞りはF2.8。柔らかくナチュラルなボケ味だ。広角単焦点レンズとしては文句の付けどころのないボケ味といってよいだろう。ピントの合った部分のキレもよい。

D810 / 1/125秒 / F2.8 / 0EV / ISO64 / 絞り優先AE / 36mm

合焦面のエッジの切れは鋭く画面全体のヌケがよいため、立体感のある描写だ。F2.8まで絞ると、周辺減光も大きく改善される。

D810 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO64 / 絞り優先AE / 24mm

本レンズの描写のピークは絞りF8あたり。写真はそれよりも1段開いた絞りF5.6とする。被写体の細かなディテールなど緻密に再現している。

D810 / 1/50秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO64 / 絞り優先AE / 24mm

まとめ

AF-S NIKKOR 24mm f/1.8G EDは、総じて写りのよいレンズである。しかも明るい開放値にナノクリスタルコートの採用にも関わらず10万円を切るプライスカードを提げ、コストパフォーマンスにも秀でている。

ニコンには開放F1.8、ナノクリスタルコート採用とする広角単焦点レンズといえば前述したAF-S NIKKOR 28mm f/1.8Gのほか「AF-S NIKKOR 20mm f/1.8G ED」の2本をこれまでラインナップしていたので、本レンズの登場で広角単焦点レンズの選択肢はさらに広がったことになる。うれしい悩みの増えたニコンユーザーも多いことだろう。

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。