交換レンズレビュー

LUMIX G MACRO 30mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.

60mm相当の等倍マクロ シャープな描写と素直なボケ味が楽しめる

今回はLUMIX DMC-GM1Sで試用した。発売は4月。実勢価格は税込4万670円前後

LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8、オリンパスM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroにつづく、マイクロフォーサーズ用で3本目となるマクロレンズ。35mmフルサイズ換算60mm相当の標準マクロとなる。

レンズシフト式の手ブレ補正「MEGA O.I.S.」を搭載している。同社のウェブサイトによると、「撮影距離が約0.7mより近距離になるにしたがい、手ブレ軽減効果は徐々に減少します」とのこと。

カラーはブラックのみで、価格は税込6万1,560円。フードは設定されておらず、ソフトケースが付属している。大手量販店の店頭価格は税込み4万円強となっている。

デザインと操作性

シンプルなデザインの金属製鏡胴に、幅が広めのフォーカスリングを備えている。マウントも金属製だ。最大径は58.8mm、マウント面から前縁までの長さは63.5mm。重さは180g。同社のLEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8(最大径63×長さ62.5mm、重さ225g)に比べると、やや大柄といえる。

シンプルでむだのないデザイン。フォーカスリングは電子式で軽くてスムーズだ。前玉まわりに文字がないのは被写体への映り込みを避けるためで、マクロレンズに多い仕様である

ピント合わせはインナーフォーカス方式で、ピント合わせによる長さの変化はない。レンズ側には撮影距離や倍率の目盛りはないが、パナソニックのボディであれば、MF時におおまかな撮影距離を表示することが可能だ。

実写で使用したのはパナソニックDMC-GM1S。このボディと組み合わせると、たいていのレンズは大きく見えてしまう
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark IIに装着してみたところ。サイズ感としてはこちらのほうがいい

なお、手ブレ補正もレンズ側にはスイッチがなく、オンオフの切り替えはカメラ側のメニューで行なうようになっている。

オリンパスM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroとの比較。焦点距離は半分だが、長さはそれほど違わない。径が大きいのは手ブレ補正機構を内蔵しているからかもしれない

遠景の描写は?

光学系は9群9枚構成で、非球面レンズを1枚採用している。フィルター径は、マイクロフォーサーズ用レンズではポピュラーな46mm。純正ではフードが用意されていないので、必要であれば市販のネジ込み式フードを調達してほしい。

AFは240fps駆動のコントラスト検出AFに対応しているのでピント合わせは速い。等倍マクロだけに、ピントをロストすると回復するのに時間がかかるが、おおむねは快適なAF撮影が楽しめた。

実写での画質は良好。画面中央部は絞り開放から十分にシャープで、その代わり、絞ってもほとんど解像力に変化はない。画面周辺部も絞り開放からまずまずの画質で、F5.6ぐらいまで絞ると四隅までシャープな描写になる。F5.6よりも絞ると少しずつ回折の影響が出はじめるが、F11付近までなら問題なく常用できると思う。

気をつけてほしいのは、三脚撮影時の手ブレ補正の切り忘れだ。ある程度速いシャッタースピードのときは問題ないが、1/8秒あたりで手ブレ補正機構の誤作動と思われるブレが発生した(組み合わせる三脚によって、ブレが目立つシャッタースピードは変化する可能性がある)。もちろん、使用説明書にも「三脚を使用するときは、手ブレ補正を[OFF]にすることをお勧めします」と書かれているので文句はいわないが、三脚に載せた時点で安心して油断しないよう注意していただきたい。

実写は、周辺光量低下を補正する「シェーディング補正」がオフの状態で行なった。絞り開放では周辺光量はやや落ちているものの、量としてはあまり大きくないし、落ち方もなだらかだ。気になる場合はF5.6まで絞り込むといいだろう。倍率色収差は、JPEG画像では自動補正されている。歪曲収差は自動補正なしのRAWで見ても無視できるレベルに補正されている。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

※共通設定:DMC-GM1S / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 30mm

中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16

ボケ味は?

最短撮影距離は0.105m。等倍(1倍)時のワーキングディスタンスは2cmほどなので、レンズの影や被写体との接触には注意したい。マクロレンズだけあって、至近距離、絞り開放という条件でもピントが合った部分は素晴らしくシャープだ。

7枚羽根の円形絞りを採用している。中〜近距離でのボケ味もまずまず。ピント位置のわずかに手前側のボケがややがさついたようなのが少し気になるが、それ以外の部分は問題ない。素直できれいなボケだと思う。

同時に試用したLUMIX G 42.5mm F1.7と同様、クセがなく、使い勝手のいい特性だ。個性的な描写を好む人には物足りないかもしれないが、普通の人にはこのほうがあつかいやすいはずだ。

絞り開放・最短撮影距離(約10.5cm)で撮影。DMC-GM1S / 1/500秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 30mm
絞り開放・距離数mで撮影。DMC-GM1S / 1/400秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 30mm
絞りF4.5・距離数mで撮影。DMC-GM1S / 1/160秒 / F4.5 / -1EV / ISO200 / 絞り優先AE / 30mm

逆光耐性は?

太陽のような強い光源を画面内にフレーミングして撮ったカットでは、マゼンタ系のフレア、グリーン系のゴーストが、やや多めに出た(同条件で撮ったG 42.5mm F1.7よりも多い)。

太陽を画面の外に出すようにフレーミングしたカットでも、量は減るものの、フレア、ゴーストが生じている(このあたりは、フードを装着することで軽減できる可能性はある)。逆光で撮る機会の多い方は注意したほうがいいかもしれない。

太陽が画面内に入る逆光で撮影。DMC-GM1S / 1/2,500秒 / F5.6 / -1EV / ISO200 / 絞り優先AE / 30mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。DMC-GM1S / 1/1,300秒 / F5.6 / -1EV / ISO200 / 絞り優先AE / 30mm

作品

わざとアンダー気味の露出にして、古めかしさを強調してみた。

DMC-GM1S / 1/125秒 / F2.8 / -2EV / ISO200 / 絞り優先AE / 30mm

手ブレ補正の効果はまずまずで、何枚か撮っておけば1/6秒でもブレないカットが拾える。

DMC-GM1S / 1/6秒 / F2.8 / -1.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 30mm

後ボケは自然でなだらか。クセのないボケ味なので、あつかいやすいと思う。

DMC-GM1S / 1/20秒 / F2.8 / -1.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 30mm

歪曲収差をチェックするのに撮ったカット。自動補正を行なわないRAW現像ソフトで見ても、まっすぐな線がまっすぐに写っているのは気持ちがいい。

DMC-GM1S / 1/2,500秒 / F5 / -1EV / ISO200 / 絞り優先AE / 30mm

アップめでF5.6まで絞ったときのボケはこんな感じ。

DMC-GM1S / 1/1,000秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 30mm

絞り開放の等倍撮影。後ボケのふわっととろけるようなボケ方がいい。

DMC-GM1S / 1/125秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 30mm

これも絞り開放、等倍撮影。ワーキングディスタンスが短いので被写体が陰にならないよう注意する必要がある。

DMC-GM1S / 1/640秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 30mm

まとめ

マイクロフォーサーズ用の中望遠マクロは、すでに2本が発売されているが、標準マクロはこのG 30mmが初。実売価格もDG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8(税込6万7,500円程度)、M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro(税込5万1,000円程度)よりも身近なので、マクロレンズに初挑戦したい人には魅力的だろう。

至近距離側では効き目は落ちるとはいえ、手ブレ補正機構を内蔵しているのも大きなポイント。ボディ内手ブレ補正を持たないカメラ(GXシリーズ以外のパナソニック機)のユーザーにとっては見逃せないはずだ。

焦点距離が短いだけに、ワーキングディスタンスも短いところには注意しないといけないが、かさの張らないマクロレンズという使い勝手のよさもある。逆光でフレア、ゴーストが出やすいのが気になったが、絞り開放からのシャープな画質、素直なボケ味など、見どころも多いレンズに仕上がっている。

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら