交換レンズレビュー

LUMIX G 42.5mm F1.7 ASPH.

綺麗な玉ボケが楽しめる安価な中望遠レンズ

今回はLUMIX DMC-GM1Sで試用した。発売は4月。実勢価格は税込3万7,740円前後

パナソニックLUMIX G 42.5mm F1.7は、今年4月に発売されたばかりの軽量コンパクトな中望遠レンズである。大口径のLEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2に比べて、価格は1/4、重さは約1/3というお手ごろさが魅力となっている。レンズシフト式の手ブレ補正機構「POWER O.I.S.」を搭載している。

ブラックとシルバーの2色が用意されており、価格は税別5万円(税込5万4,000円)。大手量販店の店頭価格は税込4万円弱。バヨネット式のレンズフードとソフトケースが付属している。

デザインと操作性

すらっとしたデザインの鏡胴は、金属製で高級感がある(もちろん、マウントも金属製だ)。質感もいい。最大径は55mm、マウント面から前縁までの長さは50mm、重さは130g。今回は、LUMIX DMC-GM1Sで試用した。

シンプルながら高級感のあるデザインを採用。カラーバリエーションはブラックとシルバーの2色が選べる

カメラボディがコンパクトなので、やや大振りに感じられるが、GシリーズやGXシリーズ、GFシリーズにはちょうどいいサイズ感だろう。

DG SUMMILUX 15mm F1.7やオリンパスM. 45mm F1.8などと同じく、前縁部にはバヨネット爪を隠すリングが装着されている
リングを取り外したところ。この状態はあまりかっこうがよろしくない
付属のフードを装着したところ

LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7と同様、前縁部には着脱式のリングが装着されていて、付属のフードを取り付ける際は、このリングを取り外す必要がある。フィルター径は37mm。付属のキャップは中つまみタイプで、フードを装着したままでも着脱がしやすい。

手ブレ補正のスイッチはなく、オンオフの切り替えはカメラ側のメニューで行なう。

今回はパナソニックDMC-GM1Sに装着して試用した。ボディが小さいのでレンズが大きく見える
自前のOLYMPUS OM-D E-M5 Mark IIに装着したところ。サイズ感としてはこちらのほうがいい
オリンパスM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8と並べてみた。45mmのほうが少し細身で少し短い。高級感は42.5mmのほうが上だ

遠景の描写は?

レンズ構成は8群10枚。非球面レンズを1枚採用している。ピント合わせはインナーフォーカス方式で、スムーズかつスピーディーに動作する。240fps駆動のコントラスト検出AFに対応しているので、最新のボディであれば快適なAF撮影が楽しめるはずだ。

実写での画質は良好だった。画面中央部は絞り開放からキレがよく、絞っていくにつれてさらにシャープさを増していく。F2.8からF4にかけて解像力のピークを迎える。F5.6からは、回折の影響でわずかながら解像が低下するものの、F11付近までなら常用できるだろう。

画面周辺部は中央部よりもアマめの描写だが、見苦しい流れなどはなく、使い勝手のよさそうな印象だ。F2.8ぐらいまで絞るとまずまずの画質が得られるが、四隅までシャープに仕上げたいのであれば、F4まで絞りたい。

周辺光量低下を補正する「シェーディング補正」はオフで撮影しているが、絞り開放でも周辺光量の低下はあまり大きくなく、落ち方もなだらかなようで、気になりにくい。色収差と歪曲収差は自動的に補正されているようで、まったく気にならない。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

※共通設定:DMC-GM1S / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / 43mm

中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F1.7
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F1.7
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16

ボケ味は?

最短撮影距離は0.31m、最大撮影倍率は0.2倍(35mmフルサイズ換算で0.4倍に相当する)。草花やアクセサリーなどをメインの被写体にする人にとっては魅力的なスペックだ。

明るめの中望遠レンズだけあって設計にもこだわったのだろう、ボケ味も良好だ。至近距離での前ボケに、やや二線ボケっぽい傾向が見られるが、それ以外の条件では申し分のない仕上がりとなった。

前ボケ、後ボケともに自然で柔らかく、素直なボケ描写が得られた。クセのない分、おもしろみには欠けるかもしれないが、万人向けのあつかいやすい特性といえる。

なお、絞りには7枚羽根の円形絞りを採用しており、F2.8でもきれいな形の点光源ボケになってくれるのも見逃せない点だ。

絞り開放・最短撮影距離(約31cm)で撮影。DMC-GM1S / 1/400秒 / F1.7 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 43mm
絞り開放・距離数mで撮影。DMC-GM1S / 1/50秒 / F1.7 / -1EV / ISO200 / 絞り優先AE / 43mm
絞りF5.6・距離数mで撮影。DMC-GM1S / 1/80秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 43mm

逆光耐性は?

太陽のような強い光源を画面内にフレーミングして撮ったカットでは、シーンによってマゼンタ系のフレアとグリーン系のゴーストが出やすいが、嫌な出方ではないし、露出を抑え目にするとあまり目立たなくなる。それほど気にしなくてよさそうに思う。

太陽を画面の外に出すようにフレーミングしたカットでは、フレア、ゴーストともに、目に見えるようなものは発生しなかった。同社独自のナノサーフェスコーティングは採用していないが、優秀といっていいレベルの逆光耐性だと思う。

太陽が画面内に入る逆光で撮影。DMC-GM1S / 1/3,200秒 / F5.6 / -1EV / ISO200 / 絞り優先AE / 43mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。DMC-GM1S / 1/3,200秒 / F5.6 / -1EV / ISO200 / 絞り優先AE / 43mm

作品

開放F1.7の明るさのおかげで室内でも余裕を持って手持ち撮影ができる。金属の質感描写、何がボケているのかがわかるボケ方もいい。

DMC-GM1S / 1/80秒 / F1.7 / -1.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 43mm

手ブレ補正の効き目は、ピクセル等倍で見て、1/30秒はだいたいセーフで、1/15秒になると危険ゾーンといった印象。まずまずのレベルだと思う。

DMC-GM1S / 1/30秒 / F1.7 / -1.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 43mm

ビルの外壁に反射する太陽の光を、露出を切り詰めて強調してみた。絞り気味にしたときのシャープ感がすごい。

DMC-GM1S / 1/6,400秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 43mm

シャドウのディテールやトーンの出方もなかなかいい。

DMC-GM1S / 1/1,600秒 / F5 / -2.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 43mm

7枚羽根の円形絞りを採用しているおかげで、点光源ボケの形はきれいに丸い。

DMC-GM1S / 1/1,000秒 / F2.8 / +1EV / ISO200 / 絞り優先AE / 43mm

花壇にこっそりまぎれ込んでいたウサギを絞り開放で。明るいレンズと組み合わせるなら天気のいい野外でも絞りを開いて撮れる電子シャッター搭載機がおすすめだ。

DMC-GM1S / 1/10,000秒 / F1.7 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 43mm

まとめ

マイクロフォーサーズ用の中望遠レンズとしては、同社のLEICA DG NOCTICRON 42.5mmのほか、オリンパスのM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8がある。前者は大口径だけあって実売価格は税込みで15万円を超すが、後者は実売税込みで3万円を切る。LUMIX G 42.5mm F1.7 ASPH.よりも1万1,000円ほど安いのは魅力的だ(ただし、M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8はフードが別売なので、それを含めて考えると価格差は8,000円を切る)。

一方、LUMIX G 42.5mm F1.7 ASPH.はレンズ内手ブレ補正機構を内蔵していて(これはオリンパスのユーザーには大きなメリットにならないが)、最短撮影距離が0.31mと寄れる。見た目もM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8より高級感がある。そのあたりまで考えると、価格差はほとんど無視していいのではないかと感じる。

厳密な撮り比べはやっていないので細かいことはいえないが、画質面での差も大きくないように思う(どちらもよく写るレンズなのである)。少しでも安いほうがいいならM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8だが、寄れる楽しさを重視するなら8,000円の差は大きくない。マイクロフォーサーズユーザーで、単焦点の中望遠レンズがほしいなら、リストに加えるべき1本だ。

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら