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PENTAX K-01とDA 40mm F2.8 XSで「マクロテレプラス」を試す

Reported by 糸崎公朗

PENTAX K-01レンズキットをアレンジした、マクロ撮影システム。レンズはDA 40mm F2.8 XSに「ケンコー 2× マクロテレプラスMC7」(生産終了)を装着し、無限遠から等倍を超えるマクロ撮影までを可能にしている。外部ストロボはサンパック「PF20DX」には自作の丸形ディフューザーを装着し、マーク・ニューソン氏のデザインとコーディネートしてみた(笑)

斬新かつカメラらしいK-01のデザイン

 「PENTAX K-01」は、APS-Cサイズのセンサーを搭載したノンフレックス(ミラーレス)デジカメであるにも関わらず、一眼レフと同じペンタックスKマウントを採用した、ユニークな存在だ。

 しかしぼくが何より驚いたのは、カメラとして斬新で美しいそのデザインだ。しかも実際に手に取ると、単に形だけではなく、しっとりとしたボディの感触や、金属製のダイヤル類の質感など、モノとして非常に良くできていることに感心する。それでいて操作性はカメラとしてオーソドックスで、非常に使いやすい。

 このカメラをデザインしたマーク・ニューソン氏を、ぼくは恥ずかしながらこれまで知らなかった。しかしペンタックスリコーイメージングのPENTAX K-01スペシャルサイトにインタビュー動画が掲載されており、これを見ればマーク・ニューソン氏がいかに素晴らしいアーティストであるのかがよく理解できる。

 マーク・ニューソン氏はインタビューで、「カメラのデザイン経験はなかったが、写真を撮るのは大好きだし、消費者の立場で自分が持っていたい思うカメラをデザインした」というように答えている。その想いはK-01を手に取るだけで伝わってくるし、一見カッコイイけどその実カメラとしての魂が抜けたような製品とは、一線を画しているようにぼくには思える。

マーク・ニューソン氏がデザインしたPENTAX K-01。“個性的デザイン”を前面に押し出しながら、“カメラの基本”もきっちり押さえた素晴らしい製品だ。レンズキットに付属のDA 40mm F2.8 XSもマーク・ニューソン氏のデザインで、レンズの薄さがボディの厚みと好対照をなしている 個人的にもっとも感心したのが、埋め込み式のレンズ着脱ボタン。非常にスッキリとした処理でありながら、操作性もスポイルされていない。他の部分も細部にわたって気配りされた、素晴らしいデザインのカメラだといえる
カメラ底面のバッテリー室の脇には「Mark Newson」のサインが印刷されている。マーク・ニューソン氏のインタビュー動画では、K-01を 「作品」と形容していたが、まさにカメラに姿を借りたアートだといえるかもしれない 著名な工業デザイナーが手がけたカメラとして、田中芳郎氏による「フジペット」を持っていたのを思い出し、一緒に並べてみた。富士フイルムが1957年に発売した低価格カメラ(120フィルム使用)だが、これもデザインと機能が融合した素晴らしいプロダクトだ。マーク・ニューソン氏もインタビューで指摘していたが、このような個性的なカメラは、最近の市場でほとんど存在していなかったといえる

K-01のデザインを活かしたマクロシステム

 K-01はレンズキットのDA 40mm F2.8 XSも含め、マーク・ニューソン氏によってデザインされている。だからその反面、他のKマウントレンズを装着するとデザインのバランスが崩れてしまう、という悩ましい欠点がある。

 もちろん、組み合わせのミスマッチもK-01の楽しみだといえるし、DA 40mm F2.8 XSの方だって、あらゆるKマウントカメラに装着できてしまうのだ。

 しかし今回はマーク・ニューソン氏の素晴らしいデザインに敬意を表して、それをできるだけ損なわず、なおかつ高性能で使いやすいマクロシステムを考えてみた。

―注意―
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今回は生産終了のアクセサリー「ケンコー 2× マクロテレプラスMC7」(以下マクロテレプラス)を中心にマクロシステムを組んでみる。これはその名の通り2倍のテレコンバーターだが、ヘリコイドを内蔵することでマクロ撮影を可能にした、ユニークなアイテムだ。各社マウント用が発売されていたが、これはもちろんKマウント仕様。AFに対応してないが、電気接点が装備されているタイプだ。ちなみにぼくはフィルムカメラ時代、オリンパスOMマウントのマクロテレプラスを愛用していた 内蔵のヘリコイドを最大に繰り出した、マクロテレプラス。テレコンのレンズは固定でヘリコイドだけが伸びる構造で、マスターレンズを装着すると言わば「前群フォーカス」となる。50mmの標準レンズを装着すると100mmマクロとして使用でき、最大等倍までの撮影ができる。またヘリコイドには、50mmレンズ装着時の倍率指標が記されている。中間リングと異なり、無限遠からマクロ域まで使えるのも利点だ
まずはマクロテレプラスに、推奨されたとおりの50mm標準レンズである「FA 50mm F1.7」を装着してみた。しかしそれぞれがいかにもちぐはぐで、K-01のせっかくのデザインをスポイルしている。合成焦点距離とF値は、100mm F3.4となる(K-01に装着の場合150mm相当の画角) そこでマクロテレプラスにDA 40mm F2.8 XSを装着してみたのだが、なかなかコンパクトでまとまりの良いマクロレンズになった。合成焦点距離とF値は、80mm F5.6となる(K-01に装着の場合120mm相当の画角)。今回のマクロシステムは、この組み合わせのレンズを採用することにした
次にストロボだが、いつものようにマクロ用のディフューザーを自作する。構造はこれまでの連載で使用してものと同一だが、さらに小改良を加え合理化している。左前が厚手のトレーシングペーパーを切り抜いたパーツ。他の2点は100円ショップで購入したアルミシートを切り抜いたパーツだ 100円ショップで購入したタッパーに、先に用意した3つのバーツを、ご覧のようにセットする。タッパーの蓋には、あらかじめカッターで四角い穴を開けておく
ディフューザーはマジックテープによって、サンパックの外部ストロボPF20DXに装着する。今回のディフューザーは、内側をアルミシードで覆うことで、ストロボ光の損失をより少なくする構造を採用してみた ディフューザー付きのストロボをカメラに装着した状態。丸い形状のディフューザーが、マーク・ニューソン氏のデザインとマッチするよう、考慮してみた。ついでにカメラボディの「Mark Newson」サインにあやかって、ディフューザーに「Kimio Itozaki」サインを入れてみた。両アーティストのコラボレーションになっただろうか?(笑)
マクロテレプラスとマスターレンズのヘリコイドを、共に最大に繰り出した状態。レンズ全体としてそれほど長く伸びないので、使い勝手はなかなか良い。ちなみにDA 40mm F2.8 XSのヘリコイドはヘソのように真ん中だけが出っ張るユニークな構造をしている 今回組んだマクロシステムを後方から見たところ。じつはK-01の内蔵ストロボはオートモード(調光補正可能)のみなので、マクロ撮影には使いづらい。その点PF20DXはマニュアル調光が可能で、被写体の状態に左右されず安定した露出が得られる

テスト撮影

 テスト撮影だが、DA 40mm F2.8 XSとFA 50mm F1.7をそれぞれマクロテレプラスに装着し、比較撮影を行なってみた。

 被写体は10円玉で、絞りを開放から最小に1段ずつ変えて撮影した。なお、マクロテレプラス装着時はF値に2倍(絞り値で2段)の露出倍数が掛かる。そこで実絞り値と共に、カッコ内にマスターレンズの絞り値を表記した。

 撮影倍率は、共に最大に固定して撮影。FA 50mm F1.7+ マクロテレプラスの撮影倍率は等倍(ライカ判換算1.5倍)である。DA 40mm F2.8 XS + マクロテレプラスでは、等倍を超えるマクロ撮影が可能なことがわかる。

画質もDA 40mm F2.8 XS + マクロテレプラスの方が優れており、単体のマクロレンズにも引けをとらないレベルだ。

DA 40mm F2.8 XS + マクロテレプラス FA 50mm F1.7 + マクロテレプラス
  F3.4(F1.7)
F5.6(F2.8) F5.6(F2.8)
F8(F4) F8(F4)
F11(F5.6) F11(F5.6)
F16(F8) F16(F8)
F22(F11) F22(F11)
F32(F16) F32(F16)
F44(F22) F44(F22)

実写作品と使用感

 今回は神奈川県葉山町で撮影した、ちょっとマニアックな昆虫の写真を掲載する。

 レンズはDA 40mm F2.8 XS + ケンコーマクロテレプラスの組み合わせのみを使用した。合成焦点距離とF値は80mm F5.6で、ライカ判換算120mm相当の望遠マクロとなる。

 テスト撮影で見たように、この組み合わせはマクロレンズとしても高画質で、K-01の1,628万画素に十分耐えうる性能を有している。

 また等倍以上の最大倍率時においても、ワーキングディスタンスが約10cmと長く使い勝手が良い。AFは作動しないが、マクロ写真はMFが基本なので、その限りにおいては問題がない。

 K-01のカメラとしての使用感は、基本的には良好だ。デザインは斬新だが、撮影する道具として真面目な作りで、説明書を見なくともだいたいの操作方法はわかる。

 しかしK-01の液晶モニターは、一眼レフのスクリーンに比べてピントの山がちょっと掴みにくい。これを補うため、背面のOKボタンを押すとモニターの任意の部分が拡大される「フォーカスアシスト機能」を装備している。

 しかし、モニターの拡大表示はシャッターボタンの半押しで解除され、全画面表示に戻ってしまう。この仕様は三脚を使用した撮影には便利だろうが、手持ち撮影では必ずピントがぼけてしまう。

 また、K-01はマニュアルモードでシャッターのストロボシンクロ速度(1/160秒)を上回って設定すると、内部ストロボはもちろん外付けストロボも発光しない。これはペンタックスブランドの一眼レフに共通の仕様で、これがいかに不便かは以前の連載でも指摘した。

 などと、多少の欠点はあるのものの、K-01は使っていて楽しいカメラ、持っていて満足感のあるカメラであることは間違いない。

神奈川県葉山町の山中で見つけたヒゲナガコメツキ。ぼくは実物を初めて見たが、その名の通り枝分かれした長い触覚が特徴。赤褐色の体が金色の毛に覆われ、美しい昆虫である。K-01 / DA 40mm F2.8 XS + 2X Macro TELEPLUS MC7(80mm F5.6相当) / 4,928×3,264 / 1/60秒 / F22(F16) / ISO200 / WB:太陽光 / 外部ストロボ使用 同じヒゲナガコメツキを、別の角度から最大倍率で撮影してみた。何とも言えず複雑な作りの顔で、ビー玉がはめ込まれたような目も印象的だ。K-01 / DA 40mm F2.8 XS + 2X Macro TELEPLUS MC7(80mm F5.6相当) / 4,928×3,264 / 1/60秒 / F22(F16) / ISO200 / WB:太陽光 / 外部ストロボ使用
葉山町の森で見つけたハエの一種。体長5mmほどと小さいが、よく見ると変身ヒーローのマスクのような精悍な顔つきをしている。背景を明るめに描写するために、シャッター速度を1/25秒まで落としたが、手ブレ補正機構が強力なためか手ブレは見られない。K-01 / DA 40mm F2.8 XS + 2X Macro TELEPLUS MC7(80mm F5.6相当) / 4,928×3,264 / 1/25秒 / F22(F16) / ISO200 / WB:太陽光 / 外部ストロボ使用 全長8mm程度のハエの一種。モニターを拡大してみて驚いたが、胸部の後(背中の真ん中あたり)に何本かのトゲが生えている。何のためにあるのか全く不明だが、面白い造形だ。K-01 / DA 40mm F2.8 XS + 2X Macro TELEPLUS MC7(80mm F5.6相当) / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F22(F16) / ISO200 / WB:太陽光 / 外部ストロボ使用
交尾するアメンボだが、スイスイと水面を泳ぎなかなかじっとしてくれないので、撮影はなかなか難しい。何枚も撮ったうちベストのカットをセレクトした。K-01 / DA 40mm F2.8 XS + 2X Macro TELEPLUS MC7(80mm F5.6相当) / 4,928×3,264 / 1/60秒 / F22(F16) / ISO400 / WB:太陽光 / 外部ストロボ使用 こちらも交尾中の、マルムネジョウカイという甲虫の一種。ハナカミキリに似るが、別の科の昆虫である。K-01 / DA 40mm F2.8 XS + 2X Macro TELEPLUS MC7(80mm F5.6相当) / 4,928×3,264 / 1/30秒 / F22(F16) / ISO200 / WB:太陽光 / 外部ストロボ使用
キアシナガバチの初期巣を見つけた。女王が自分で巣を作り守っている。巣の奥に卵が見えるが、幼虫はまだかえっておらず、当然のことながらまだ働きバチはいない。K-01 / DA 40mm F2.8 XS + 2X Macro TELEPLUS MC7(80mm F5.6相当) / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F22(F16) / ISO200 / WB:太陽光 / 外部ストロボ使用 5mm足らずの虫のフンにしか見えないが、実はムシクソハムシという甲虫の一種。しかも産んだ卵に自分のフンをコーティングして、カムフラージュする様子が、はっきりと写っている。もちろん肉眼では判別不可能な世界で、画像でも拡大しなければ確認できない。K-01 / DA 40mm F2.8 XS + 2X Macro TELEPLUS MC7(80mm F5.6相当) / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F22(F16) / ISO200 / WB:太陽光 / 外部ストロボ使用
フジの葉にいたその名もフジハムシ。これも近所の国分寺市では見たことのない虫だ。拡大すると粒と筋模様のある前翅は半透明で、後翅が透けて見えている。なかなかオシャレなデザインの虫である。K-01 / DA 40mm F2.8 XS + 2X Macro TELEPLUS MC7(80mm F5.6相当) / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F22(F16) / ISO200 / WB:太陽光 / 外部ストロボ使用 この写真はオマケというか、近所の国分寺で撮影したコクワガタのオス。最大倍率で目と触覚のあたりを拡大した。まさに工芸品的質感だ。K-01 / DA 40mm F2.8 XS + 2X Macro TELEPLUS MC7(80mm F5.6相当) / 4,928×3,264 / 1/160秒 / F22(F16) / ISO200 / WB:太陽光 / 外部ストロボ使用






糸崎公朗
1965年生まれ。東京造形大学卒業。美術家・写真家。「非人称芸術」というコンセプトのもと、独自の写真技法により作品制作する。主な受賞にキリンアートアワード1999優秀賞、2000年度コニカ ミノルタフォト・プレミオ大賞、第19回東川賞新人作家賞など。主な著作に「フォトモの街角」「東京昆虫デジワイド」(共にアートン)など。ホームページはhttp://itozaki.fc2web.com/ Twitterは@itozaki

2012/6/1 00:00