デジカメアイテム丼

“こだわりのカメラバッグ”が第2世代にリニューアル

ハクバ「GW-PRO G2」シリーズ

実に多くのカメラバッグをラインナップしているハクバ。その中でもGW-PROシリーズは、プロ写真家の現場で要求される効率的なパッケージとハードな使用にも耐えられるタフさを兼ね備えたカメラバッグとして高い評価を得てきた。

そのGW-PROシリーズが機能と耐久性を向上して、セカンドジェネレーション「G2」にモデルチェンジした。ここでは主に、バックパックの「GW-PROバックパックG2」について紹介したい。

アルミフレームの採用で剛性がアップ

GW-PROシリーズにはバックパックタイプとショルダータイプのカメラバッグが用意されている。いずれも表皮は張りのある黒のナイロン製で、ひと目でプロユースなバッグであることが判る。一般的なカメラバッグと比べると少し大きめなバッグの部類に入るが、プロの撮影現場に持ち込みたい機材の量が積載できる容量でありながら、出来うる限りコンパクトに持ち運ぶことができるギリギリのサイズとなっている。

筆者は前タイプのGW-PROバックパックを発売当初から愛用しており、列車や航空機での移動が必要なロケには欠かすことが出来ないカメラバッグとなっている。このG2タイプは前タイプと基本的なフォルムや収納できる機材のパッケージに変わりはないが、生地素材やバッグの基本構造はもとより、ポケット部の構造など細かい部分までもが刷新されている。ここからはG2バックパックを中心にユーザー目線で新しくなった箇所を紹介していこう。

G2となったGW-PROバックパックの一番大きな変更点はその構造体にある。

前モデルでは外装に加えて、バッグの中心線に沿うよう縦に取り付ける、2枚の大きな仕切りが支柱となり、バッグ全体の剛性を保っていた。

G2バックパックではバッグの外周を形作るようにアルミフレームを埋め込んだ。これによりさらに剛性を高めている。よりハードな使用でも型くずれがしにくくなったという。また全体をフレームで支えるため、バッグ内の仕切りを全て取り外した状態でも剛性を落とすことなく使用できるようになった。

バックパックの基本構造体にアルミフレームが組み込まれたことで剛性が上がるとともにフォルムの崩れがおきにくくなった
バックパック外周に埋め込まれたアルミフレーム。通常は生地の折り返しで隠れている
フレーム構造となったことで仕切りを全て取り除き大きな気室としての使用が可能に。超望遠レンズをケースごと収納するといった使い方もできる

新素材の採用で強靭さと軽さを両立

バッグ本体の生地として、強靭でありながら軽量の840デニールナイロンを採用。さらに傷つきやすい箇所には防弾チョッキにも採用される1680デニールナイロンを使用することで、ハードな使用にも耐えうる外装となっている。防水性はないが小雨程度の水滴であれば撥水生地であるのでバッグ内に水がしみ込む恐れは少ない。

バッグを構成する壁には復元力の高い厚手の発泡フォームを採用。外装、内壁、フレームの三位一体による高い剛性を実現している。

バッグの外周がフレームで支えられたことにより、背中に当たる面も立体構造とすることが可能となった。これにより日本人の体型にあった形とすることで重い機材を背負っても負担を最小限に抑えられる
前モデル(左写真)と比べて背当て部から腰部にかけてが曲線的なラインとなると同時に、クッションが厚手となったことでより身体にフィットするようになった。また肩にかけるハーネスの付け根が下がりバッグ全体を持ち上げる効果を生んでいる。これによりバッグの重心が高くなり身体にかかる負担が軽減される。腰ベルトの付け根がバッグ外側から内側へと変更されたことも安定性の向上に貢献している
背当て部分およびハーネスのクッションは厚みのあるメッシュ構造。背中と肩にフィットすることで荷重を分散させて疲れを軽減すると同時に通気性を保ち汗による蒸れを予防する
前モデルでは細めだった吊りハンドルは太いものとなり、ラバーグリップが付いた。バックパックを背負わずにちょっと持ち運びするのに吊りハンドルは多用するので、この改善はありがたい
ウエストベルトの形状も変更された。両サイドのファスナー付きのポケット付きは小物を入れておくのに便利。ウエストベルトはバックルでワンタッチで取り外しできるので状況に応じて有無が選べる
バッグの底は防水生地になっているので、湿った地面に置いてもバッグ内に水がしみ込むことはない。摩擦に対する耐久性も高い生地なので砂利の上などに置いても傷めにくい
使用しているファスナーはすべて信頼性の高いYKK社製。機材の出し入れのため開閉の頻度が高くなるのでファスナーの耐久性はとても大事だ。引き手には大きめのリングが付けられているので手袋をはめたままでも扱いやすい
ハーネスの肩の部分にはカメラのストラップをかけることができる「くびの負担がZEROフック」が装備されている。名前の通り首にカメラの重さがかかることがないので、首への負担が劇的に軽減される

プロの現場に対応する大容量バックパック

GW-PROバックパックG2の魅力は、多くの機材を安定した状態で持ち運びできるところにある。通常であればアルミバッグのように頑丈で大きなカメラバッグをクルマに積んで持ち運ぶようなプロカメラマンでも、クルマが使えない状況では持ち歩けるカメラバッグのみで必要な機材を持ち運ばなくてはならない。そのような時にこそGW-PROバックパックG2は活躍するのだ。

カメラ機材は背当て側の蓋と天蓋を開けて出し入れする。機材を満載したバッグを肩から下ろすときは背当て側を上にして置くことが多いので理にかなった造りだ。背当てを地面で汚さないで済むのも良い。また背負った状態で知らぬ間にファスナーを開けられてしまう盗難事故防止にも効果的だ
GW-PROバックパックG2にはこれだけのカメラボディ、レンズが収納可能。カメラ2台に標準、広角、望遠ズーム、単焦点レンズ4、5本と本格的な撮影にも十分対応可能な機材量だ
背当て側蓋の内側にはフィルターなどを収納できるファスナー付きメッシュポケットが新設された。前モデルの蓋の内側にはポケットがなかった
背当て側蓋の一部分のみを開き機材を出し入れできる開口部。メッシュポケット付き
天蓋を開けてレンズを付けた状態でカメラを出し入れする。バッグ内の仕切りレイアウトを変化させれば70-200mm F2.8クラスの望遠ズームをカメラに装着した状態のままで収納することも可能
バッテリーグリップを装着していないカメラは付属のパッドを使用することで安定して収めることができる
天蓋は二重構造。ファスナー付きの蓋を閉めたその上にバックルで固定するアウターを重ねる。天蓋内側にはファスナー付きメッシュポケットがある
アウターには砂塵や水滴が天蓋のファスナーから侵入することを防ぐ役割もある。なお使用されているバックルなど樹脂パーツはITW-NEXUS社やDURAFLEX社などの高い耐久性を持った部品を使用。バックルは手袋をはめたままでも開閉がしやすい新型のアウタープッシュ式を採用している
アウターにはスマートフォンも入るサイズのファスナー付きポケットが用意されている。伸縮性のあるドローコードも備えられており、途中で脱いだウインドブレーカーなどを簡易的に括り付けるのに便利だ
バックパック前面には大きなポケット状の気室が備えられている。15インチクラスのノートPCやタブレット、地図やレインウエアなどカメラ機材以外も収納できるスペースだ。簡易であれば夏期1泊分程度の衣類も入るだろう
バックパックの両サイドには大きめのポケットがある。筆記具やメモ帳、エナジーバーといった行動食などを入れておくのにちょうど良い。前モデルにもポケットはあったが、開き方が背当て方向にフラップが開く逆方向だった。写真のように背当て開口部を上に向けて置いた場合は新型の開き方の方が扱いやすい
三脚はバックパック前面に2本の専用ベルトで固定する。1本目で蓋に固定し、サイドから伸びた2本目で三脚の重みで蓋が振れないようにさらに固定する
バッグに三脚を固定する際には脚の先端をホルダーに差込む。ホルダーは蓋の収納部より引き出して使用する。また三脚を固定した際にはバックパックを三脚の脚を支えにして自立させることもできる
新たに耐水圧1,500mmの専用レインカバーが付属された。バックパックの外装ナイロンには撥水性もあるが、本格的な雨降りにはレインカバーを使用する必要がある。ぬかるんだ地面にバッグを置くようなシーンでもレインカバーを使えばバッグを汚さずに済む
バッグに取付けられるオリジナルネームタグが付属する。このようなちょっとした気遣いが意外と嬉しい

開発者自らが望んだ「本当に使いたいカメラバッグ」

新型となったGW-PROバックパックG2は、前モデルで打ち出したプロユースというコンセプトを引き継ぎながらも、それに満足することなく、さらなる剛性アップと機能向上を目指して開発された。今回試用を開始するにあたり、開発チームから話を聞く機会を得たが、印象的だったのが彼らのGW-PROカメラバッグに対する自信度の高さだ。

開発者自身が実際に試作品を背負って撮影に赴くことで、自身が感じた改善すべき点をひとつひとつ挙げて行く。また既存ユーザーから届く不満の声を真摯に受けとめ、かつスピーディーに分析・解決することをなによりも優先している。そのために必要とあれば、まだ一般的には知られていない新素材さえも探し出し、納得できるまで試作を繰り返すという。

これらはユーザーに良いものを送り出したいという気持ちは当然ながら、開発者自身が使いたいと本気で思えるカメラバッグを作るのだという情熱によるところも大きいと感じられた。

筆者自身もこれを機に、愛用してきた前モデルから、このGW-PROバックパックG2へと移行する予定である。すでに機材満載での撮影旅行も視野にいれており、最適となる機材レイアウトも検討中だ。もちろん次世代モデルでのさらなる改良を期待して、フィードバックは厳しくさせていただくつもりである。

GW-PROショルダーバッグG2も紹介

バッグの奥行きを「ボディ横幅ギリギリ」まで切り詰めるため考え出された、特徴的な内部レイアウト。グリップで生じる隙間には、13型ノートPCなどが入るスペースが設けられている
G2から採用されたクッション部が上にはみ出した構造。蓋を閉じたときの見た目もかっちりしてかっこいい
前面のポケットが大きくなったのもトピック。いろいろなものが入りそうだ。
底面にゴムボートの素材を使うことで防水性を確保。濡れた地面においても平気だ。G2ショルダーバッグからは、防水エリアが底面から側面下部までカバーするようになった。

協力:ハクバ写真産業株式会社

礒村浩一

(いそむらこういち)1967年福岡県生まれ。東京写真専門学校(現ビジュアルアーツ)卒。広告プロダクションを経たのちに独立。人物ポートレートから商品、建築、舞台、風景など幅広く撮影。撮影に関するセミナーやワークショップの講師としても全国に赴く。近著「マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド(玄光社)」「今すぐ使えるかんたんmini オリンパスOM-D E-M10基本&応用撮影ガイド(技術評論社)」Webサイトはisopy.jp Twitter ID:k_isopy