デジカメドレスアップ主義
ライカQに宿る本物志向の緊張感
ライカQ
Reported by澤村徹(2015/12/30 07:00)
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ライカ初の35mmフルサイズセンサーを搭載するコンパクトデジタルカメラ、ライカQが発売になったのは2015年6月だ。あれから半年が経過し、ようやく対応レザーケースが増えてきた。筆者が知る限りでは、ゲリズ、アルティザン&アーティスト、鳥井工房などから、それぞれライカQケースが登場している。そうした中、今回は鳥井工房のライカQエバレディケースを選んだ。その理由は、ライカQの設計思想と通底するものを感じたからだ。
ライカQを手に取ったことのある人はわかると思うが、あのカメラは細部の作り込みが実にていねいだ。ピントリングを使ったマクロモードの切り替え、AFとMFを切り替えるロック機構、レンズフードの造形も卓越している。コンパクトカメラはレンズ交換式カメラに対し、どうしても二番手として扱われることが多い。しかしライカQは、妥協なきオンリーワンモデルとして本物志向を極めている。このあたりは既出のレビューなどで多く語られているので、改めて言葉を重ねるまでもないだろう。
こうしたライカQの方向性にしっくりとフィットするのが、鳥井工房のライカQエバレディケースである。同社のケースは本コーナーで幾度と取り上げているが、それらと同様、ライカQエバレディケースもタイトフィットな仕上がりだ。
本製品は同社初となる底蓋仕様が真骨頂である。底面の一部が外れ、バッテリーとメモリーカードにすばやくアクセスできる。底蓋はマグネット式で、蓋そのものがケースから着脱可能だ。鳥井工房によると、取り外した蓋をメモリーカードに添えると、メモリーカードの着脱がスムーズだという。特に驚いたのは底蓋の側面処理だ。鳥井工房は革のコバ(切断面)をていねいに磨いていることで有名だが、底蓋のコバも切り目本磨きで処理してある。細部にまでとことんこだわり抜いた作り込みが圧巻だ。
また、従来からオマケとして付属している液晶モニターの保護カバーも進化した。これは液晶部分をくりぬいた際の革のハギレで作ったものなのだが、いつの間にか取っ手が付き、本格的な保護カバーに仕上がっている。鳥井工房は登場当初から技術レベルの高いメーカーだったが、さらなる高みに到達したかのようだ。
広角28mmレンズのコンパクト機というと、かつての高級コンパクトカメラブームを彷彿とさせる。しかしながらライカQの撮影結果を見ると、当時のカメラとは一線を画した仕上がりだ。フルサイズセンサーと開放F1.7という大口径タイプのレンズにより、浅い被写界深度は無論、画質に余力が感じられる。ドレスアップ面については、ホットシューに外付けファインダーやサムグリップの装着が可能だ。レンズフードについては純正品の作りが秀逸なので、これを超えるフードの選出が課題となるだろう。