写真展
石原モトフミ写真展「日限縁日」
(ニコンサロン)
Reported by 本誌:河野知佳(2016/5/2 15:00)
岡山市内にある大雲寺を訪れたとき、作者は幼少時代の記憶が鮮明に蘇った。それは祖母とお寺にお参りに行ったとき、お線香の煙を頭や手足などにかけられ、さすられた温かい記憶だった・・・。
大雲寺は「日限のお地蔵さん」として親しまれ、毎月23日に「日限地蔵縁日」が行われている。 その来歴は、岡山大空襲によりすべて焼けてしまいわからないが、ある説を信じ、皆がお地蔵さんのおかげを受けようとお参りにくる。
「日限地蔵」の名称は、何日までに思いごとが叶うようにと願をかけると、それが日を限って思いが達する、という伝承に由来する。そのため、誰いうとなく日限地蔵さんと敬われるようになった。子どもが欲しい人は、お地蔵さんを借りて帰り、一夜抱いて寝れば子宝を授かるという言い伝えもある。願いが叶ったあかつきには、借りたお地蔵さんを返し、別に新しいお地蔵さんを寄進する習わしになっているため、境内のお地蔵さんは今ではかなりの数になっている。
昭和40年代には1日に5万人もの人が訪れ、約300軒の屋台が軒を連ね賑わっていた縁日。今でも毎月たくさんの人が縁日に訪れているが、以前と比べると寂しくなってきている。どこの地域でも少し前までは、家族みんなで浴衣を着て、おじいちゃんおばあちゃんが孫の手を引いて縁日を楽しんでいた。その中でお地蔵さんに手を合わすことを子どもたちに伝えていた時代もあったのだ。
これからの時代にもお地蔵さんに手を合わせる大切さを伝えるためにも、この歴史ある縁日を存続させなければならないと作者は思う。モノクロ35点。
会場・スケジュールなど
- ・会場:新宿ニコンサロン
- ・住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
- ・会期:2016年5月10日(火)~5月16日(月)
- ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
- ・休館:会期中無休
- ・入場:無料
作者プロフィール
1973年大阪府生まれ。島根県松江市出身。2009年から独学で写真を始める。11年尾上太一氏に師事。現在、岡山県を拠点に活動。