写真展
平野敦写真展「Slumdog」
(ニコンサロン)
Reported by 本誌:河野知佳(2015/12/9 12:00)
~俺たちはスラムドッグだからさ。だけど、自分の家族、仲間、仕事には誇りをもっているよ~
2013年7月、作者はインドの大規模スラムであるダラヴィスラムを訪れた。
ダラヴィスラムの主な仕事はリサイクル業で、いたるところにリサイクル工場が所狭しと並んでいる。アルミニウム工場では朝9時頃から作業が始まる。まずアルミニウム製品を細かく粉砕したものを炉に入れ、熱しドロドロになるまで溶かす。昼過ぎにはさらに粉を追加し、かさを増していく。粉を追加するたびに黒煙とともにアルミニウムが舞い、作業をしている男たちの服は瞬く間に黒ずんでいく。夕方には屋根の隙間から光が差し込み、黒煙と混ざり合いながら光の筋となって工場内を照らしている。
スラムドッグとはスラムの負け犬という意味である。
この言葉が使われたのは、08年に上映された『スラムドッグ・ミリオネア』である。この映画のモデルになったダラヴィスラムで、作者は仲良くなった人たちに「自分がスラムに住んでいることをどう思う?」と質問した。「早くスラムを出てもっと楽な暮らしをしたい」という答えが返ってくるに違いないと思っていたが、彼らは「ダラヴィスラムで仕事をすることに誇りを持っている。この仕事は自分にしかできないことだから」と口を揃えて答えた。
貧しい人々が暮らすスラム地区というものは、確かに貧しい街なのかもしれない。しかし、彼らはそこで自分の家族、仲間、仕事に誇りをもって日々を生きている。
会場・スケジュールなど
- ・会場:新宿ニコンサロン
- ・住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
- ・会期:2015年12月15日火曜日~2015年12月21日月曜日
- ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
- ・休館:会期中無休
- ・入場:無料
作者プロフィール
1992年東京都生まれ。14年日本写真芸術専門学校卒業。同年から株式会社アキューブに勤務。