写真展

山崎弘義写真展「DIARY ―母と庭の肖像―」

(ニコンサロン)

「今日の母は無表情だった。庭に出てみるとムラサキハナナが一気に咲き始めている。日々の移ろいを感じる瞬間だ。」

認知症の母と庭をほぼ毎日、日記的に撮影した作品である。撮影期間は2001年9月4日から母が亡くなった2004年10月26日までの3年間で、撮影枚数は3,600枚を超えた。

作者の母は、1999年頃から物忘れがひどくなり、徘徊や情緒不安などの問題行動が増えて、一人っ子の作者が母の介護をすることになった。幸い昼間はヘルパーさんに看てもらい、夜と週末は作者と作者の妻が介護した。

母の状態は時として穏やかな笑顔を見せたり、あるいは問題行動を起こしたりで、いつしか作者の名前も忘れがちになったが、そんな母が見せた表情が写真の中にある。

作者は、母を介護するようになってから、不思議と植物たちの息吹が気になるようになった。母を撮影した後に庭の一角を撮影することによって、死に向かう母と四季折々の表情を見せる植物たちの、命の二つの有様を定点観測して浮かび上がらせようとしている。カラー30点。

(写真展情報より)

会場・スケジュールなど

  • ・会場:新宿ニコンサロン
  • ・住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • ・会期:2015年4月28日火曜日~2015年5月4日月曜日
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

作者プロフィール

1956年埼玉県生まれ。80年慶応義塾大学文学部哲学科卒。86年フォトセッション’86に参加し、森山大道氏に師事。87年東京写真専門学校報道写真科Ⅱ部卒業。現在、日本写真芸術専門学校非常勤講師。

主な写真展に、90年「路上の匂い」(ミノルタフォトスペース)、92年「はざまの表情」(オリンパスホール)、94年「クロスロード」(コニカギャラリー)、96年「ウォーク・オン・ザ・サニーサイド」(ドイフォトプラザ)、2014年「Outskirts」(Totem Pole Photo Gallery)などがあり、15年『DIARY―母と庭の肖像―』(大隅書店)を出版。

(本誌:河野知佳)