写真展告知

総合開館20周年記念「山崎博 計画と偶然」

(東京都写真美術館)

©山崎博 〈CRITICAL LANDSCAPE〉より 1985年 作家蔵

本展は写真・映像を「時間と光」というエッセンスによって捉え、1960年代末より活躍してきた作家・山崎博(1946-)の仕事をたどる公立美術館で初めての展覧会です。長時間露光によって太陽の光跡を視覚化した代表シリーズ 〈HELIOGRAPHY〉をはじめ、〈水平線採集〉や〈櫻〉のシリーズなど代表的な写真作品と、また作家が写真と平行して追究してきた映像作品、さらに新作を含む出品点数約200点によって、現代のコンセプチュアルな写真・ 映像の先駆者・山崎博の歩みを今日的な視点から通覧します。

山崎の作品は光の現象のもつ無限の豊潤さや時の流れを感じさせます。作家はつねに一定の枠組みや単純化された方法論をとりながら、「太陽」、「海」、「櫻」といった普遍的なものに一貫して取り組んできました。その作品は、対象と装置、被写体とイメージの関係性を示唆するとともに、光の表現の豊かさや静謐で美的なクオリティを獲得しています。

70年代の初め、山崎は「いい被写体を探して撮る」ことへの疑いから、「被写体を選ばずに撮る」ことを模索し、 自宅の窓のような制約のある風景、特徴のない単純な海景といった「与えられた枠組」の中で方法的な探求を行うスタイルに行き着きました。計画性にもとづく制作と、写真行為の中で起こる偶然性がその作品の大きな特質となっています。作家は「計画がなければ偶然もない」と言います。「計画と偶然」の二つの要素が相互に作用することで、山崎博の作品は成立しているのです。

本展は45年以上のキャリアにおよぶ作家の主な作品シリーズを通して、その表現世界の本質に触れる試みです。

東京都写真美術館

会場・スケジュールなど

  • ・会場:東京都写真美術館
  • ・住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
  • ・会期:2017年3月7日(火)~5月10日(水)
  • ・時間:10時~18時(木・金は20時まで)
  • ・休館:月曜日(祝休日の場合は開館し、翌平日に休館、5月1日は開館)
  • ・料金:一般600円/学生500円/中高生・65歳以上400円(団体割り、その他割引サービス有り)

対談「山崎博をめぐって」

北野謙(写真家)× 石田哲朗(東京都写真美術館学芸員)
・日時:2017年3月25日(土)14時~15時30分
・定員:50名
・会場:東京都写真美術館1階スタジオ

金子隆一(写真史家)× 石田哲朗(東京都写真美術館学芸員)
・日時:2017年4月16日(日)14時~15時30分
・定員:50名
・会場:東京都写真美術館1階スタジオ

展覧会担当学芸員によるギャラリートーク

会期中の第2・第4金曜日14時より、担当学芸員による展示解説が行われる。
2階展示室入口に集合。

作者プロフィール

1946年長野県生まれ。1968年日本大学藝術学部を中退。1969年から本格的に写真を始め、1972年より平行して映画フィルムによる作品制作を始める。1983年長時間露光による太陽のシリーズで第33回日本写真協会新人賞を受賞。2001年第26回伊奈信男賞を受賞。東京造形大学講師、東北芸術工科大学教授を経て2005年から武蔵野美術大学教授(2017年3月まで)。1974年個展「OBSERVATION」(ガレリア・グラフィカ、東京) 以降、ニコンサロン他での個展、グループ展多数。主な著書『HELIOGRAPHY』(青弓社、1983年)『水平線採集』(六曜社、1989年)他。