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【フォトキナ】ソニー、新レンズロードマップを公開
Distagon T* FE 35mm F1.4 ZAなどを順次投入
Reported by 小山安博(2014/9/18 15:40)
世界最大のカメラ関連見本市「フォトキナ2014」のソニーブースでは、「α7」シリーズや、直前にドイツ・ベルリンで開催された「IFA 2014」で発表されたレンズスタイルカメラ「DMC-QX1」、アクションカム「HDR-AZ1」、オランダ・アムステルダムで開催された「IBC 2014」で発表された4Kカムコーダー「PXW-FS7」といった展示が中心。
デジタルカメラのボディは新発表がなかったが、フォトキナにあわせて発表したレンズを展示したほか、自社設計・製造のレンズ技術をアピールするコーナーも設けており、αユーザーに対して基本性能をアピールしていた。
フォトキナで発表されたレンズは、「Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 OSS」と「FE PZ 28-135mm F4 G OSS」の2本。今回、16-35mm F4レンズを投入することで、24-70mm F4、70-200mm F4と合わせて、いわゆる「小三元」レンズがそろったことになる。
これまでのレンズロードマップも更新され、2015年にさらなるレンズを投入することも明らかにされた。3月には「Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA」、「FE 90mm F2.8 Macro G OSS」、「FE 28mm F2」および「16mmフィッシュアイコンバーター」と「21mmウルトラワイドコンバーター」を発売予定。2月には「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」も発売する。
これによりレンズラインナップ、フルサイズ向けは35本、APS-Cサイズ向けは29本の計64本になる見込みで、同社の業務執行役員SVP イメージング・プロダクツ&ソリューションセクター 副セクター長デジタルイメージング事業本部長の石塚茂樹氏は「要望が多かったレンズを徹底的にやる」と話し、ボディではなくレンズに注力したという。
その注力の一環としてブースでは、「レンズが他社の製造だと思っている人もいる」(同社)ことから、自社設計・製造で独自技術も開発して力を入れている点をアピールする。例えば超音波モーターの「Direct Drive SSM」、静粛なAFを可能にするリニアモーター、動画向けに絞りの開閉をゆっくりに制御するサーキュラー絞り、ナノARコーティングなど、さまざまなレンズ技術を紹介し、レンズの実力をアピールしていた。
カメラの基本性能では、α77 IIやα6000などに搭載されているファストハイブリッドAFを、新たに「4Dフォーカス」というブランド名に変更。横、縦、奥行きの3次元に加えて、動きを予測する意味での「時間」軸を加えた4次元での高速で正確なAFを実現している点をアピールしていた。
QXシリーズは、昨年のIFAに引き続いて新製品の発表で、今回はAPS-Cサイズセンサーを搭載してレンズ交換に対応したQX1の方がメインの紹介のようだ。石塚氏は、QXシリーズが「期待通りと期待外れ」という2つの側面があり、昨年の発表以降反響は大きく、「一定の成功はあった」という。ただ、石塚氏は「コンセプト的には受け入れられたが大ブレークしなかった」というという認識だ。とはいえ、もともと「数を追う製品ではない」というスタンスで開発しているようだ。
QX1は「需要が大きいとは思わない」と石塚氏。QXシリーズは「面白いと思って買ってくれる人がいるのはわかった」ため、そうしたユーザーに向けての展開に加え、レンズ交換式ということで、「天体望遠鏡に装着してタブレットで確認して撮影する」など、これまでとは異なる用途が出てきていると石塚氏。「トライアンドエラーしつつ、諦めずにやっていこうと思っている」と強調する。
コンパクトデジカメでソニーは、高級コンパクト、高倍率ズーム機、ネオ一眼タイプの3種類では欧州市場でシェアを拡大しているが、それぞれのジャンルで競争は激しくなっている。石塚氏は、「さらに一歩先に行く仕込みをしている」と話し、次の新製品では、「“この手があった、こんな技術があったのか”というカメラを紹介できると思っている」と言う。
また「“正常進化”というより、1歩も2歩もジャンプしたような進化で、(想像の)斜め上に行きたい」と石塚氏は意気込みを語り、今後の商品戦略に期待を持たせている。